ITmedia エンタープライズ 5月18日(月)8時11分配信『 進学校・スポーツ強豪校として知られる桐蔭学園(横浜市青葉区)は、4月に入学した中学1年生を対象にiPadを授業で活用するICT教育をスタートさせた。利用開始から約1カ月が経過し、生徒らのITリテラシーの育成に役立つ様々なヒントが見えてきたという。
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ICTによる協働学習の環境
iPadの導入は、文部科学省が2011年に発表した「教育の情報化ビジョン」で掲げる、2020年までに全ての学校で1人に1台のタブレットを導入したICT授業を実現するという目標に対応したものだ。桐蔭学園では生徒が少人数のグループで学習内容を相談したり、発表したりすることで学ぶ力を養う「アクティブラーニング」に取り組み、iPadの活用もその一環となる。
導入規模は生徒向けの約500台と教員向けの約140台の合計約640台。生徒にはiPadを貸与し、自宅への持ち帰りも許可している。日中の利用に耐えるバッテリ容量や導入コスト、多くのデータを保存できるメモリ容量や見やすい大画面といった条件を満たす端末として、iPad Air 2のWi-Fi 64Gバイトモデルを選択した。モバイル端末の管理(MDM)にはアイキューブドシステムズのCLOMO、セキュリティ対策にはデジタルアーツのi-Filterを採用した。
アプリはドキュメント作成のPagesや表計算のNumbers、プレゼンテーションのKeynote、動画作成のiMovieなどを利用するほか、協働学習などにはLoiLoの「ロイロノート」を活用している。生徒が自分のアイデアをまとめたり、生徒同士や教員と共有したりすることが簡単にでき、オフラインでも利用可能なことから、特に重宝されているという。
教室に電子黒板と無線アクセスポイント、Apple TVによるシステムを設置して無線ネットワークを構築。各iPadが接続され、生徒や教員との間で画面やデータを共有し、電子黒板にも投影する。授業での具体的な利用方法は、教員の裁量に任されているという。例えば、生物の授業では生徒がiPadのカメラで植物を撮影して、教員に種類を質問したり、技術の授業では写真から設計図を作成する際に、教員がiPadに書き込んだアドバイスを電子黒板に表示したりといった具合だ。
リテラシーをどう育む?
思春期真っ只中の生徒たちにとって、iPadのようなツールは実に魅力的だろう。生徒がITツールを安全に活用できるようになるためにどうすべきか――大人にとって実に悩ましい問題だ。
桐蔭学園中学校男子部の山口大輔教諭は、「好奇心から安易にカメラで撮影した画像をSNSなどにアップしてしまえば、肖像権の侵害といった大きな問題になりかねず、先に肖像権とは何かといったことを伝えないといけません。安全に利用していくための制限や管理と、ICTの利便性を体験していけるバランスをどう確保するかがポイントになります」と話す。
例えば、iPadを使ったコミュニケーションは生徒同士では許可しておらず、生徒と教員の間だけに限定している。メールなどツールの正しい使い方を先に学ぶ必要があるとの考えからだ。また、インターネット検索はGoogleに限定している。Googleやi-Filterのフィルタリング機能を利用して、生徒が不適切なデータに接することなく安全に情報を得られるようにするためだという。iPadに登録されているアカウントも生徒には通知しておらず、iCloudなどのサービスは利用できない。
「校内では学校のセキュリティシステムや各種の対策ツールによって生徒を守ることができますが、自宅など学校以外の場所ではどうしても制約があります。生徒の利用状況を全て学校が把握することは事実上不可能なので、後からでも利用状況を把握でき、適切な対応が講じられるようにしています」(山口教諭)
実際に運用を開始してみると、教員にとって意外な発見が幾つかあったという。例えば、生徒がiPadに登録されているMDMの構成プロファイルを削除してしまうという出来事があった。
MDMの構成プロファイルは削除不可にも設定できるが、桐蔭学園では諸事情から消去可能にしているという。構成プロファイルを削除すると、iPadが初期化されると同時に、消去された日時などがすぐに管理者へ通知されるようにしている。
「消去した生徒も驚いたようですが、そもそもiPadを管理する仕組みを理解していないと、消去操作はできません。生徒がここまでできてしまうことを知りました。構成プロファイルを削除すればiPadが使えなくなるという体験を通じて、生徒も何をしてはいけないのかをいうことを学べると思います」(山口教諭)
また、山口教諭がWebサイトへのアクセス状況やフィルタリング機能でブロックしたWebサイトの状況を調べたところ、約1割のWebサイトがブロックされていたことが分かった。フィルタリング機能でブロックしたWebサイトのほとんどは芸能ニュースやブログだったという。「こうしたWebサイトの閲覧が悪いわけではありませんが、学校から貸与されたiPadでの閲覧は適切ではないと理解してくれたと思います。フィルタリングはブラックリストで行っていますが、ホワイトリストで厳しく制限すればこうした実態は把握できません」(山口教諭)
生徒に貸与しているiPadは3年間利用される予定。製品のライフサイクルやiOSのアップデートにも対応しやすいという。来年度に入学する生徒への貸与や高校での取り組み、また、生徒のITリテラシーの成熟度やその度合いに応じた教育を今後どのように実施するについては、教員のICT教育委員会でこれから検討していくという。
山口教諭は、「大人の常識では思いも寄らない生徒たちの使い方は、教員にとっても良い刺激になり始めています。生徒の新しい使い方に対応できる新しい教育の内容や方法を工夫していきたいですね」と語っている。』
スマホやパソコンのツールのツイッターやフェイスブック、LINEM習わないでも使いこなせ今の子供たちiPadも先生が考える以上に上手に何でも使えると思います。日本の学校教育の授業形態も大きく変わる時期に来ていると思います。学校で目か疲れないように目の健康体操を取り入れるべきでは有りませんか。
ja.wikipedia.org/wiki/情報リテラシー
(じょうほうリテラシー、information literacy)とは、情報 (information)と 識字 (literacy) を合わせた言葉で、情報を自己の目的に適合するように使用できる能力 のことである。「情報活用能力」や「情報活用力」、「情報を使いこなす力」とも表現する。
情報リテラシー(じょうほうリテラシー、information literacy)とは、情報 (information)と識字 (literacy) を合わせた言葉で、情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のことである。「情報活用能力」や「情報活用力」、「情報を使いこなす力」とも表現す る。したがって情報リテラシーとは、情報を主体的に選択、収集、活用、編集、発信する能力と同時に、情報機器を使って論理的に考える能力が含まれてい る。"情報=IT"との連想やインターネットの利用時において情報リテラシーが要求される等の理由から、しばしばコンピューターリテラシーと混同される。 しかし、以下に定義されるように、本来必ずしもコンピュータと直結するものではない。
概要
アメリカ図書館協会が1989年に発表した最終報告書は、情報が必要とされるときに情報を"効果的"にそして"効率的"に(1)探し出し、(2)精査し、そして(3)使うことができる能力を保持する人のことを情報リテラシー能力を保持している人と定義する[1]。また、Shapiro & Hughes (1996)による Information literacy as a liberal art は、現代におけるリベラルアーツと定義する[2]。つまり、中世の大学における三科 (文法・論理・修辞) のように、現在の情報化社会において、コンピューターをただ使用するだけではなく、情報にアクセス、精査し、社会的、文化的、そして哲学的な状況・影響を知ることができる能力としている。
北米においては、高等学術機関向けに Association of College and Research Libraries (ACRL, 2000)が作成したInformation literacy competency standards for higher educationがある。これを基に、オーストラリア・ニュージーランドの 環境を加え、改変したのが Australian and New Zealand Institute for Information Literacy が2004年に発行した Australian and New Zealand Information Literacy Framework] である[3]。Australian and New Zealand Information Literacy Framework は、情報リテラシーが備わっている人には次の6つの要素が備わっているとする。下記6項目は原資料では細目に展開され、その中には「複数の情報源を使用しての意思決定」「他者の著作権・知的財産権への配慮」「他者の文化的背景等の尊重」等が記される。
- 情報に対するニーズを認識し、必要とする情報の性質と範囲を決定できる。
- 効果的に、そして、能率的に必要な情報を見付けられる。
- 批判的に情報や情報探索過程を評価できる。
- 収集した情報や自らの研究などから生み出された情報を管理できる。
- より重要で新しい情報を適用して新しい概念や新しい理解を生み出せる。
- 理解しながら情報を用い、情報を用いるということの周囲にある文化的・倫理的・経済的・社会的な問題を認識できる。
「財団法人社会経済生産性本部認定UBA能力試験」のウェブサイトにある「情報リテラシーとは」は以下の記述をする。
- 情報は様々な形式で表されるため、情報リテラシーは、これまでの文字に代表される印刷物以外の媒体についても対象となる。
- 文字の読み書き以外にも、視覚、聴覚、コンピュータ(携帯機器、ネットワークを含む)に関する能力などが含まれる。
- 大きくは、情報を収める媒体に注目したメディア・リテラシーと、情報の高速多量の処理が可能なコンピュータに注目したコンピュータ・リテラシーに分けられる。
これらのことを踏まえると、「激しく変化する社会の中で生き抜くためには生涯学習が必須となり、そしてその方法をそれぞれが身に付けるためには情報 リテラシー能力の獲得が必須となっているということ」、情報リテラシーとは、「私たちが社会生活を行っていく上で、媒体を問わずあらゆる情報に対する (1)情報ニーズを認識する能力(2)情報を発見・獲得する能力(3)情報及び情報探索過程を評価する能力(4)情報管理能力(5)情報に基づいて新たな 理解を生み出す能力(6)情報の背後にある問題を認識する能力」であることが言えよう (『私たちの暮らしにとって情報リテラシーとは何か』より)。
情報リテラシーの日本的概念
日本では情報リテラシーとは情報機器を活用して情報社会を生きていく能力といったニュアンスで使われているようである。
米国の情報リテラシー(以下「インフォメーションリテラシー」とする。)と日本で考えられている情報リテラシーには相違部分が以下のように見られる。
- 「情報の検索」インフォメーションリテラシーは日本の情報リテラシー概念に比べ情報の検索に重点が置かれている。
- 「情報の評価」インフォメーションリテラシーの中心概念の一つで日本の情報リテラシーにはあまり見られない視点である。
- 「利用の文脈」日本の情報リテラシーが、その能力が活かされる領域を具体的に設定していないのに対し、インフォメーションリテラシーは生涯学習の色が濃く現れている。
- 「技術と操作」インフォメーションリテラシーでは、技術や個別の操作的事項の教育のウェイトが低い。
したがって、情報リテラシーの日本的概念は以下のような6つの要素からなるものと考えられる。
- 情報の発生、流通、収集、組織、利用のプロセスあるいはシステム
- 情報を探し出し、入手するためのシステムとサービスの利用法
- 図書館を含む多用な情報チャンネルと資源の有効性と信頼性を評価する方法
- 自分の必要とする情報を収集し、加工し、保管するための基礎的技能
- 成果発表の方法
- 広く情報に関する諸問題(著作権、プライバシー、情報公開等)を理解出来る知識
情報リテラシーにかかわる取り組みの経緯
世界
国際図書館連盟(International Federation of Library Associations and Institutions, IFLA)内に設置されていた利用者教育ラウンドテーブル(the User Education Roundtable)が情報リテラシーのための活動への関心が世界規模で広まったため2002年に情報リテラシー分科会(Information Literacy Section)に拡充された。ここでは、2006年に公表された"Guidelines on Information Literacy for Lifelong Learning"の最終草稿の見直しが以下の目次のように行われている。
- Information Literacy Concepts (情報リテラシーの概念)
- Information Literacy and Lifelong Learning (情報リテラシーと生涯学習)
- International Standards(国際標準)
- Institutional Commitment(制度的関与)
- Action Plan(行動計画)
- Learning/Instruction Management(学習/教育の管理)
- Personnel Development(従事者の育成)
- Learning Theories(学習に関する諸理論)
- Learning Assessment(学習の評価)
- Glossary(用語集)
- Bibliography(書誌)
- Index(索引)
米国
上述Australian and New Zealand Information Literacy Frameworkによると、情報リテラシー(Information Literacy)という言葉が最初に使われたのは、Paul Zurkowski著The Information services environment, relationship and priorities(1979)の中だといわれている。その後、アメリカ図書館協会(American Library Association, ALA)内に設置された「ALA Presidential Committee on Information Literacy」の第1次報告において大綱が示され、1989年に同委員会からFinal Reportが発表されたのち、アメリカでは図書館での取り組みが進められていった。
日本
日本で「情報活用能力」が公的に述べられたのは1986年の臨時教育審議会による『教育改革に関する第二次答申』が最初であるといわれている。その 後文部省で1990年に『情報教育に関する手引き』が発行されたり、1992年に全国学校図書館協議会で『資料・情報を活用する学び方の指導』体系表がま とめられたり、1998年の小中学校学習指導要領の改訂の中で生きる力の育成が目玉とされ(その一環として情報活用能力が重要視される)たりするなど、 様々な取り組みが進められた。また、1998年に日本図書館協会から『図書館利用教育ガイドライン』が出版されたり、同年に京都大学で始まった全学共通科 目「情報探索入門」で図書館が情報リテラシー教育支援の取り組みを行い、それが日本全国の大学へと広まっていくなどの経緯があった。90年代後半からイン ターネットの商用利用が拡大するとともに、業務能力の一環として捉えられるようになり、従来までの学究的な意味合いと区別するために、経済産業省、商工会 議所などが「情報活用力」を用いるなど、同義語が拡大する傾向にある。(近年では文部科学省も学士力の定義の中で、情報活用力を用語として用いている。)
脚注