来年3月での営業終了を伝える張り紙=コープ加西

 加西市の中心、北条鉄道北条町駅前の再開発ビル「アスティアかさい」から来年3月、コープ加西が撤退することが決まった。生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)が不採算などを理由に判断。「残してほしかった」「便利だったのに」と買い物客が惜しむ一方、中核店舗の閉店に対し、テナントからは「客足が遠のかないように」と市に対応を求める声も上がった。(敏蔭潤子)

 アスティアかさいは、行政や地元関係者でつくる北条駅周辺地区市街地再開発組合が整備を進め、2003年3月にオープン。1、2階にはコープ加西のほかに専門店や病院、遊戯施設などがあり、3、4階は市民が展覧会や講座などを開く地域交流センターと市立図書館が入る。施設の運営、管理は加西市長が社長を務める第三セクターの加西北条都市開発が担う。

 コープ加西は開業当初から営業。22年には車を運転しない高齢者や障害者らを自宅から加西店まで無料で送迎するコープこうべのサービス「買いもん行こカー」を導入するなど、住民目線の活動を続けてきた。

 一方、08年には近くに大型商業施設「イオンモール加西北条」がオープン。その後もスーパーやドラッグストアなどの競合店が相次ぎ市内に進出、厳しい収支が続いていた。

 今年3月、24年度の「営業終了候補店」に挙げられ、売り場見直しに取り組んだが収支の改善には至らず。10月の理事会で閉店が決まった。11月1日にはコープこうべから、アスティアのテナントなどに閉店が伝えられ、1階に事務所を置く加西商工会議所は「跡地はにぎわいのある店舗を誘致してほしい」と要望。組合員には12月8、12日に加西店で説明会が開かれるという。

 市によると、コープこうべは加西北条都市開発の取締役でもあり、高橋晴彦市長は「(コープ側は)撤退に対しての責任や影響は十分理解されている。非常に残念だが、区分所有者でもあるので今後はお任せするよりほかない」とコメント。新たな店舗の早期立地を求めると同時に「アスティアの核となる店舗。市として可能な限りの努力はしなければならない」としている