ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

バリー・ハリス/ブレイキン・イット・アップ

2012-06-07 20:35:22 | ジャズ(ピアノ)

しばらくJAZZ THE BESTシリーズ続けます。本日紹介するのはバリー・ハリスが1958年にアーゴに残した初リーダー作「ブレイキン・イット・アップ」です。ハリスはデトロイト出身のピアニストで1950年代半ばから多くの録音に顔を出し、特にサイドマンとしてサド・ジョーンズ「マグニフィセント」、リー・モーガン「ザ・サイドワインダー」、デクスター・ゴードン「ゲッティン・アラウンド」など数々の名盤に参加しています。ただ、自身の名前を冠した作品となるとあまり恵まれてない気がしますね。実は私も彼のリーダー作を買うのは初めてです。



内容の方ですが、一言で言って趣味の良いピアノトリオですね。ウィリアム・オースティン(ベース)とフランク・ガント(ドラム)と言う地元メンバーのサポートを得て、奇を衒わないながらも質の高い演奏を聴かせてくれます。曲はスタンダードが3曲、チャーリー・パーカー等のビバップナンバーが3曲、ハリスのオリジナルが2曲です。個人的お薦めはまず冒頭の“All The Things You Are”。ミドルテンポで演奏されることが多い有名曲をしっとりバラードに料理しています。続くパーカーナンバー“Ornithology”での軽やかなタッチも見事。自作曲“SRO”もリラックスムードの佳曲。そしてラストはスタンダードの“Stranger In Paradise”。この曲どっかで聴いたことあるなあ、他のジャズマンの演奏かな?と思っていたら、何とボロディンの「だったん人の踊り」でした。クラシックとジャズの素敵な融合ですね。

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ジョン・コルトレーン/コルトレーン

2012-06-07 20:15:33 | ジャズ(モード~新主流派)

本日はJAZZ THE BESTシリーズからジョン・コルトレーンのその名もずばり「コルトレーン」を紹介します。録音は1962年。コルトレーンがインパルスに移籍して第1弾のアルバムです。純粋なハードバッパーだったプレスティッジ時代、モードジャズの旗手として名を挙げたアトランティック時代を経て、インパルスに移籍してからのコルトレーンはフリー・ジャズ路線へと突き進んで行くわけですが、この頃はまだフリーキーなトーンは少なく、普通に聴けるジャズです。メンバーはコルトレーンに加え、マッコイ・タイナー(ピアノ)、ジミー・ギャリソン(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラム)。後に「黄金のカルテット」と呼ばれる4人ですね。



とは言え、この頃からフリー寄りのアプローチもちらほら。冒頭14分を超える“Out Of This World”や3曲目の“The Inch Worm”ではスタンダード曲の原型を残しつつも、ソロではかなりアグレッシブなアドリブを聴かせます。ラストの“Miles' Mode”も熱のこもった演奏。ただ、それらを「動」とするなら、私はむしろ「静」のコルトレーンの方が好きかな。スピリチュアルなブルース“Tunji”もさることながら、何と言っても“Soul Eyes”が最高。マル・ウォルドロン作のこの曲、コルトレーン自身も参加した「インタープレイ・フォー・2トランペッツ&2テナーズ」にも収録されている名バラードですが、コルトレーンのエモーショナルなテナーとそれに続くマッコイのきらびやかなピアノソロがため息の出る素晴らしさです。

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