ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

MJT+3

2012-06-29 23:51:38 | ジャズ(ハードバップ)
本日はちょっとマニア向けでアーゴ・レーベルの1957年作品「MJT+3」を取り上げましょう。MJQならぬMJTと言われても一般のジャズファンだとピンと来ない人が大半でしょうが、何でもModern Jazz Twoの略称で、ベースのボブ・クランショーとドラムのウォルター・パーキンスが結成したデュオだそうです。そこにピアノ、トランペット、サックスが「プラス3」として加わり、結果としてクインテットになるというわけです。

2人のうちボブ・クランショーはソニー・ロリンズの「橋」や60年代のブルーノート作品に多く名を連ねているので名前を目にしたことのある方は多いのではと思います。ただ、片割れのパーキンスの方はよほどのジャズ通じゃない限り誰それ?って感じなのでは?残りの3人はもっと無名です。ポール・セラーノ(トランペット)、ニッキー・ヒル(テナー)、リチャード・エイブラムス(ピアノ)。3人ともシカゴをベースに活躍していたジャズメンらしいですが、見事に誰も聞いたことありません。果たしてどんな音楽が展開されるのか期待と不安が相半ばするところです。



結論から言って演奏の方は大したことありません。スタンダードが“My One And Only Love”と“They Can't Take That Away From Me”の2曲収録されていますが、テクニックもアドリブも平々凡々です。ただ、オリジナル曲が意外といいんですな。ピアニストのリチャード・エイブラムスが6曲を書き下ろしているんですが、どれも魅力的なメロディを持った香り高きハードバップです。特に“End Of The Line”と“No Name”の2曲はズバリ名曲と言っていいでしょう。何でもエイブラムスはその後前衛音楽の世界で名を馳せるそうですが、そんな要素は微塵も感じられません。以上、決して名盤と言う訳ではありませんが、当時のシカゴのジャズシーンがよくわかる貴重な1枚と言えるのではないでしょうか?
コメント