昨日のアル&ズートに続きまして、今日もジャズ史上に残る名コンビであるアート・ファーマー&ベニー・ゴルソンを取り上げます。この2人の共演作は数多くありますが、中でも59年に結成されたザ・ジャズテット名義での活動が特に有名です。62年に解散されるまで全部で6作品発表されましたが、今日紹介する「ヒア&ナウ」は5作目にあたり、62年にマーキュリーから発売された作品です。
ジャズテットはファーマー(トランペット)とゴルソン(テナー)の2人を軸にトロンボーン、ピアノ、ベース、ドラムの6人で構成されていますが、リーダーの2人以外は流動的で本作ではグレイシャン・モンカー(トロンボーン)、ハロルド・メイバーン(ピアノ)、ハービー・ルイス(ベース)、ロイ・マッカーディ(ドラム)となっています。結成時のカーティス・フラー、マッコイ・タイナーと比べると格が落ちるなあというのが率直な印象ですが演奏そのものは高水準です。
曲目はメンバーのオリジナルとスタンダードを織り交ぜた内容。ゴルソンの十八番“Whisper Not”やファーマーのオリジナル“Rue Prevail”も入っていますが、こういうマイナー調の曲だと2人のプレーはややくどすぎるきらいがあります。むしろ私的にはアップテンポな曲調の方がお気に入りですね。メイバーン作のファンキーな“Richie's Dilemma”、ラストのモンカー作痛快ハードバップ“Sonny's Back”が理屈抜きで楽しめます。ただ、マイベストトラックはジェローム・カーンのスタンダード曲“In Love In Vain”。ゴルソン、ファーマーの温かみのあるプレイとメイバーンの軽やかなピアノが融合した極上の一品です。