ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

バディ・デフランコ/スウィート・アンド・ラヴリー

2012-07-12 19:52:56 | ジャズ(ウェストコースト)

本日は白人クラリネット奏者バディ・デフランコを取り上げます。クラリネットはスイングジャズの時代こそベニー・グッドマン、ウディ・ハーマンなど多くのスタープレイヤーを輩出する人気楽器でしたが、ビバップ以降はすっかり目立たない存在となりました。ビッグバンドのアンサンブルや歌伴には欠かせない楽器ではあり続けたものの、スモールコンボでコンスタントにリーダー作を発表したとなるとこのデフランコぐらいではないでしょうか?



今日紹介する「スウィート・アンド・ラヴリー」は1954年から翌55年にかけて録音されたもので、デフランコが50年代前半にヴァーヴ・レーベルに集中的に吹き込んだ作品の一つです。サポートメンバーはソニー・クラーク(ピアノ)、ジーン・ライト(ベース)、ボビー・ホワイト(ドラム)。55年のセッションには通好みの白人ギタリスト、タル・ファーロウも加わっています。ジャズファン的に目を引くのがあの「クール・ストラッティン」のクラークの参加でしょう。実はクラークはブルーノートと契約する前は主に西海岸でプレーし、特にデフランコのグループには3年間も在籍しています。ドライビング感抜群のピアノソロはこの頃から健在ですね。

ただ、私的に注目したいのはむしろタル・ファーロウの参加。デフランコとクラークの共演は「枯葉」「イン・ア・メロウ・ムード」など他の作品でも聴くことができますが、正直軽薄になりすぎるきらいがあります。ただ、本作はファーロウのギターが加わることによりアンサンブルに厚みが増しています。オープニングのゆったりしたブルース“Getting A Balance”は3人の名人芸が融合した名演と言えるでしょう。続く“That Old Black Magic”“They Say It's Wonderful”はどちらも超アップテンポな演奏。デフランコの自在なクラリネットとクラークのノリノリのピアノが最高です。バラードの“But Beautiful”では珍しいクラークのオルガンが聴けたりもします。デフランコと言えばカラフルな美女ジャケでもお馴染みですが、グリーンの色調に統一されたクールなジャケットも印象的です。

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