本日はアルト奏者ジジ・グライスの「レミニシン」を紹介します。ジジ・グライスは日本のジャズファンの間ではそれほど人気が高いわけではありませんが、プレイヤーとしてだけでなく作曲やアレンジャーにも能力を発揮するなどハードバップ界きっての才人と言っていいでしょう。アート・ファーマーとの共演作「ホエン・ファーマー・メット・グライス」やドナルド・バードと組んだ「ジャズ・ラブ」が比較的有名なので、それらの作品を聴けば彼の才能を感じてもらえると思います。
プレスティッジに多くのリーダー作を残した彼ですが、本作は1960年にマーキュリーから発売された1枚で、トランペットとヴァイブを加えた6重奏で軽快なハードバップを聴かせてくれます。特に大きくフィーチャーされているのがリチャード・ウィリアムズのトランペット。決してメジャーではありませんが、ジジの作品には必ず起用されている彼の秘蔵っ子で、良く鳴る高音のプレイが魅力です。その他のメンバーはリチャード・ワイアンズ(ピアノ)、エディ・コスタ(ヴァイブ)。ベースが曲によってジョージ・デュヴィヴィエ、レジー・ワークマン、ジュリアン・ユーエル、ドラムをボビー・トーマス、ウォルター・パーキンスが分担して担当しています。
曲は意外とオリジナルが少なく“Blue Lights”と“Reminiscing”のみ。前者はエディ・コスタのバージョンが有名な哀愁あふれるハードバップ、後者は美しいバラードでこれもアート・ファーマーの名演で知られています。他は“Caravan”“Yesterdays”“A Night In Tunisia”“Take The A Train”など誰もが知っているジャズ・スタンダードが並びますが、そこはジジらしくアレンジに工夫を凝らしており、飽きさせない内容に。特にアップテンポに料理したファンキーな“Yesterdays”は一聴の価値あり。軽やかなタッチの“Dearly Beloved”もいいですね。