ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

リタ・ライス/ジャズ・ピクチャーズ

2012-09-09 12:00:21 | ジャズ(ヴォーカル)
本日はやや趣向を変えてヴォーカルものです。最近「JAZZ THE BESTお宝コレクション」から女性ヴォーカルものが発売されたのでそこからの1枚でリタ・ライス「ジャズ・ピクチャーズ」を取り上げます。リタ・ライスはオランダ出身でヨーロッパを中心に活躍した女性シンガーですが、アメリカの一流ミュージシャン達とも多くの共演作を残しており、日本のジャズファンにもお馴染みの存在です。代表作はジャズ・メッセンジャーズも参加した「ザ・クール・ヴォイス・オヴ・リタ・ライス」でしょうが、個人的にはオリヴァー・ネルソン指揮のビッグ・バンドを従えた「リタ・ライス・ミーツ・オリヴァー・ネルソン」を高く評価しています。



1961年録音の本作はギター入りカルテットをバックに従えたライブ録音。メンバーはピアノのピム・ヤコブス、その弟でベースのルート・ヤコブス、ギターのウィム・オーヴァーハウという地元オランダの3人に、ヨーロッパに移住していたドラムのケニー・クラークが加わっています。バップ・ドラムの開祖であるクラークの参加が目を引きますが、ピアノのピム・ヤコブスもヨーロッパのジャズシーンでは相当有名な存在らしいので演奏の質は保証できます。何より彼とリタは前年に結婚したばかりの新婚ホヤホヤですから、当然呼吸もピッタリです。

曲目はお馴染みのスタンダードが中心。バラードからアップテンポまでバラエティ豊かですが、お薦めはミディアムテンポのスインギーなナンバーで、特に“I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter”“Poor Butterfly”“Tangerine”などが秀逸。随所に挟まれるピムのピアノソロもいいですね。他はアップテンポの“Cherokee”“I've Got You Under My Skin”も捨てがたい。この2曲ではオーヴァーハウのギターソロがキラリと光ります。ライスの歌声はやや鼻にかかった独特の声質で、迫力こそないものの高音の伸びが素晴らしい。歌い方はアドリブで軽くフェイクさせる程度ですが、バックのコンボの軽妙な演奏とうまくマッチしていて、とてもお洒落なヴォーカル・アルバムに仕上がっております。いかにも60年代風のカラフルなデザインのジャケットも素晴らしいですね。
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