ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

エディ・ハリス/ジ・イン・サウンド

2012-09-03 22:23:02 | ジャズ(ハードバップ)

最近ずっとアトランティックの名盤シリーズを集めているのですが、このレーベルには正統派ジャズとは一線を画したR&Bやソウル・ジャズ系の作品がたくさんあります。以前にも紹介したデイヴィッド・ニューマン、ハンク・クロフォード、そして今日取り上げるエディ・ハリスなんかがそうですね。エディ・ハリスと言っても正直あまりピンと来ない人が多いと思いますが、電気サックスを駆使し60年代後半から70年代にかけてジャズ・ファンク的な作品で一世を風靡した人らしいです。と言われても普通のモダンジャズ好きはまず食指が動きませんよね。私もレス・マッキャンとの共作「スイス・ムーブメント」で彼のプレイを聴きましたが、正直ファンク過剰できちんと評価する気にはなれませんでした。



ただ、1965年に録音された「ジ・イン・サウンド」はファンク路線に転向する以前の意外と正統派なハリスのプレイを聴くことができます。そもそもこの段階では電気でない普通のテナーサックスを吹いてますし、演奏フォーマットもワンホーンカルテットが3曲、トランペットを加えたクインテットが3曲と実にオーソドックス。収録曲も6曲中4曲が有名なスタンダードです。“The Shadow Of Your Smile”“Born To Be Blue”での哀愁漂うバラード演奏、トランペットを加えたドライブ感満点の“Love For Sale”、ボサノバ調の“'S Wonderful”と、どの曲でもメロディアスなハリスのテナープレイが堪能できます。後にマイルス・デイヴィスがカバーした“Freedom Jazz Dance”だけはやや前衛的な演奏ですが、全般的に見て普通と言えば普通すぎるくらいのジャズです。メンバーはリズムセクションがシダー・ウォルトン(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、ビリー・ヒギンズ(ドラム)。どれも当時のジャズシーンを代表する一流所ばかりです。6曲中3曲に参加するレイ・コドリントン(トランペット)だけは謎めいた存在ですが、リヴァーサイドにリーダー作を残した幻のグループ、JFKクインテットの一員と言えばよほどマニアな人ならわかってくれるかも?

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