本日はピアノ・トリオの隠れた逸品としてハンプトン・ホーズ「スパニッシュ・ステップス」をご紹介します。ハンプトン・ホーズと言えば1950年代に西海岸のジャズシーンで活躍し、特にコンテンポラリー・レーベルに残した諸作品で名を残しています。人種的には黒人ですが、ロサンゼルスをベースに活動していたこともあって、スタイル的にはむしろウェストコーストジャズの流れを組む軽快な演奏を持ち味としていました。しかし、1958年に麻薬所持の罪で服役。ジャズが最も華やいでいた時代に約5年間にわたって演奏活動から遠ざかる羽目に陥ります。本作はそんなホーズが本格的にジャズシーンに復帰し、1967年から68年にかけてヨーロッパで演奏活動を行っていた時期に録音されたものです。発売元はブラック・ライオンというイギリスの小さなレコード会社ですが、昔から隠れ名盤としてマニアの間で評価が高かったとか。
ただ、内容を聴けばそれも納得。同時期にドイツのMPSに残した「ハンプズ・ピアノ」とともに、ホーズのキャリア後半における代表作と言えるでしょう。個人的にはむしろ50年代のトリオ作品よりもこの頃のホーズの演奏の方がよりピアニストとしてのスケール感が増しているような気さえします。サポートメンバーはエリントン楽団のベーシストだったジミー・ウッドと、モダンジャズを代表する名ドラマーのアート・テイラーという最高のラインナップ。2人とも当時ヨーロッパに移住しており、ツアー中だったホーズと現地で合流したものと思われます。収録曲はオリジナル盤が全6曲。1曲を除いて全てホーズの自作という意欲的な内容で、バピッシュなピアノが冴えわたる“Blues Enough”、歌謡曲調の哀調あふれるメロディが印象的な“Sonora”、上述「ハンプズ・ピアノ」にも“Hamp's Blues”のタイトルで収録されていた美しい“Black Forest”、愛らしい小品“Spanish Steps”と粒揃いの内容です。唯一のスタンダード曲“My Romance”がまた素晴らしい出来で、あのビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビー」収録バージョンと双璧を成す同曲の決定的名演と言っていいでょう。なお、CDにはオリジナル未収録曲も3曲入っており、うちバド・パウエルに捧げた“Blues For Bud”も会心の出来です。
ただ、内容を聴けばそれも納得。同時期にドイツのMPSに残した「ハンプズ・ピアノ」とともに、ホーズのキャリア後半における代表作と言えるでしょう。個人的にはむしろ50年代のトリオ作品よりもこの頃のホーズの演奏の方がよりピアニストとしてのスケール感が増しているような気さえします。サポートメンバーはエリントン楽団のベーシストだったジミー・ウッドと、モダンジャズを代表する名ドラマーのアート・テイラーという最高のラインナップ。2人とも当時ヨーロッパに移住しており、ツアー中だったホーズと現地で合流したものと思われます。収録曲はオリジナル盤が全6曲。1曲を除いて全てホーズの自作という意欲的な内容で、バピッシュなピアノが冴えわたる“Blues Enough”、歌謡曲調の哀調あふれるメロディが印象的な“Sonora”、上述「ハンプズ・ピアノ」にも“Hamp's Blues”のタイトルで収録されていた美しい“Black Forest”、愛らしい小品“Spanish Steps”と粒揃いの内容です。唯一のスタンダード曲“My Romance”がまた素晴らしい出来で、あのビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビー」収録バージョンと双璧を成す同曲の決定的名演と言っていいでょう。なお、CDにはオリジナル未収録曲も3曲入っており、うちバド・パウエルに捧げた“Blues For Bud”も会心の出来です。