ジャズファンなら“テキサス・テナー”という言葉をどこかで聞いたことがあると思います。アーネット・コブ、バディ・テイト、そして今日取り上げるイリノイ・ジャケーあたりが代表格で、いずれも大音量でブリブリ吹きまくる激しいブロウが持ち味です。同じテナーサックスでも前回取り上げたスタン・ゲッツの対極に位置するようなスタイルで、王道ジャズファンからは「ジャズというよりR&Bじゃないの?」とワンランク下に見られがちです。正直私もその傾向はなきにしもあらずです。この「スウィングズ・ザ・シング」も1100円の廉価でなければたぶんスルーしてたでしょう。ただ、いざ聴いてみるとこれはこれでなかなか捨て難い。特にバラードにおける男性的で雄大さを感じさせるプレイは、コルトレーンやゲッツの繊細なバラードとは一味違った魅力を放っています。
本作は1956年、ヴァーヴに残されたジャケーの代表作です。サポートメンバーはロイ・エルドリッジ(トランペット)、ジミー・ジョーンズ(ピアノ)、ハーブ・エリス(ギター)、レイ・ブラウン(ベース)、ジョー・ジョーンズ(ドラム)。いずれも当時全盛だったハードバップより一世代前のメンバーが集まっています。演奏される曲もジャンプナンバーっぽいブルースやスイング調のスタンダードが中心で、最初の感想は「何か古臭いジャズやなあ」でした。ただ、何度も聴くうちにジャケーのテナーの音色にだんだん魅了されてきます。特にミディアム~バラード調の曲が素晴らしく、下世話なまでにムードたっぷりのバラード“Harlem Nocturne”、ジミー・ジョーンズの華麗なピアノソロで始まる意外と端整な“Can't We Be Friends”、シンプルながら心温まるメロディの“Have You Met Miss Jones?”といずれも出色の出来栄え。残るアップテンポ3曲はジャケーとエルドリッジがスピーカーが壊れんばかりの大音量で激烈なソロを繰り広げますが、こちらは正直好き嫌いが分かれるかも。私はジャケーのブロウはともかく、エルドリッジの甲高いラッパがちょっと苦手です。
本作は1956年、ヴァーヴに残されたジャケーの代表作です。サポートメンバーはロイ・エルドリッジ(トランペット)、ジミー・ジョーンズ(ピアノ)、ハーブ・エリス(ギター)、レイ・ブラウン(ベース)、ジョー・ジョーンズ(ドラム)。いずれも当時全盛だったハードバップより一世代前のメンバーが集まっています。演奏される曲もジャンプナンバーっぽいブルースやスイング調のスタンダードが中心で、最初の感想は「何か古臭いジャズやなあ」でした。ただ、何度も聴くうちにジャケーのテナーの音色にだんだん魅了されてきます。特にミディアム~バラード調の曲が素晴らしく、下世話なまでにムードたっぷりのバラード“Harlem Nocturne”、ジミー・ジョーンズの華麗なピアノソロで始まる意外と端整な“Can't We Be Friends”、シンプルながら心温まるメロディの“Have You Met Miss Jones?”といずれも出色の出来栄え。残るアップテンポ3曲はジャケーとエルドリッジがスピーカーが壊れんばかりの大音量で激烈なソロを繰り広げますが、こちらは正直好き嫌いが分かれるかも。私はジャケーのブロウはともかく、エルドリッジの甲高いラッパがちょっと苦手です。