ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジャズ・クーリアーズ/ザ・ラスト・ワード

2012-12-20 21:38:12 | ジャズ(ヨーロッパ)

本日はおなじみ澤野工房からブリティッシュ・ジャズの名コンボ、ジャズ・クーリアーズの作品をご紹介します。ジャズ・クーリアーズと言われても大方のジャズファンはピンと来ないかもしれませんが、タビー・ヘイズについてはご存知の方も多いと思います。イギリス、いやヨーロッパを代表する名テナーで、50年代後半から60年代にかけて多くの名演を残しました。特にフォンタナ盤「ダウン・イン・ザ・ヴィレッジ」は名盤として広く出回っています。ジャズ・クーリアーズはそんなヘイズが同じくイギリスを代表するテナー奏者であるロニー・スコットと組んだクインテットで、1957年から59年までの短期間ながら英国のジャズシーンに大きなインパクトを与えたとか。本作は彼らのラストアルバムでメンバーはリーダー2人に加え、テリー・シャノン(ピアノ)、ケニー・ナッパー(ベース)、フィル・シーメン(ドラム)となっています。



全7曲、オリジナルは1つもなく全て有名スタンダードばかり。ある意味ベタな選曲で、一歩間違えると没個性に陥りがちですが、クインテットの素晴らしい演奏のおかげで耳の肥えたジャズファンも満足させる内容となっています。聴きモノは何と言ってもリーダー2人のけれん味のないテナーバトルですね。どちらも似たようなスタイルで正直どちらが吹いているのかわかりませんが、コクのあるトーンと淀みなく出てくるフレーズがたまらない魅力です。特にお薦めはアップテンポの曲で“If This Isn't Love”“Easy To Love”“Too Close For Comfort”“Love Walked In”と痛快なハードバップが堪能できます。随所に挟まれるテリー・シャノンのピアノソロもいいですね。スコットはテナー1本ですが、ヘイズの方はヴァイブも操るマルチ・プレイヤーで、“Autumn Leaves”では最初は華麗なマレットさばきを披露し、後半はスコットとスリリングなテナーバトルを繰り広げます。モダンジャズで2テナーと言えば、何と言ってもアル&ズートが有名ですが、このヘイズ&スコットも決して負けてはいませんよ。英国ジャズだからと侮るなかれ!ですね。

コメント