ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

キャノンボール・アダレイ・セクステット・イン・ニューヨーク

2012-12-26 23:35:39 | ジャズ(ハードバップ)
本日はキャノンボール・アダレイが1962年、ニューヨークの名門クラブであるヴィレッジ・ヴァンガードで録音したライブ盤をご紹介します。メンバーはリーダーのキャノンボール、その弟ナット・アダレイ(コルネット)、ユーゼフ・ラティーフ(テナー)、ジョー・ザヴィヌル(ピアノ)、サム・ジョーンズ(ベース)、ルイス・ヘイズ(ドラム)の6人です。キャノンボール・アダレイのライブと言えば59年の「イン・サンフランシスコ」がファンキージャズを代表する名盤として名高いですが、その象徴であったピアノのボビー・ティモンズがジョー・ザヴィヌルに代わり、さらにラティーフが加わり3管編成となっています。2人の加入により音楽性にも若干の変更が見られ、ファンキー一辺倒からモーダル&スピリチュアル路線にシフトしつつあります。特に“Planet Earth”“Syn-Anthesia”の2曲を提供したユーゼフ・ラティーフの影響は顕著です。ただ、個人的には本作に限らずラティーフの作る変に東洋趣味っぽい摩訶不思議なジャズは取っつきにくくて苦手です。



と言う訳でキャノンボールはやっぱりファンキーチューンに限るでしょう。冒頭キャノンボールのMCに続く“Gemini”はテナー奏者ジミー・ヒースの作曲。ラティーフのフルートが一瞬エキゾチックな空気を漂わせますが、その後は熱いソロの応酬で盛り上がります。アーニー・ウィルキンスの“Dizzy's Business”は思わず口ずさみたくなるキャッチーなメロディに続き、全員が軽快にスイングします。ラティーフもこういう曲ではごく普通のハードバピッシュな演奏を聴かせてくれます。ザヴィヌル作の“Scotch And Water”も楽しいファンキー・ジャズ。最後は“Unit 7”の別称の方が有名な“Cannon's Theme”でメンバー紹介を交えながら幕を下ろします。ザヴィヌル&ラティーフの参加でややバンドの方向性にも変化の兆しが見られる過渡期の録音ですが、まだまだ良い意味でキャノンボールらしいファンキージャズが楽しめる作品です。これ以降のキャノンボールは私からすれば徐々に魅力を失っていくのですが・・・
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