本日は1960年発表の人気作品「ミート・ザ・ジャステット」です。ジャズテットとはトランペッターのアート・ファーマーとテナーのベニー・ゴルソンによる双頭リーダーによる3管編成のセクステットで本作を皮切りに1962年まで6つの作品をアーゴ及びマーキュリーに残しています。本ブログでも以前にマーキュリー盤「ヒア・アンド・ナウ」を取り上げました。リーダーの2人以外のメンバーは流動的で本作ではカーティス・フラー(トロンボーン)、マッコイ・タイナー(ピアノ)、アートの弟アディソン・ファーマー(ベース)、レックス・ハンフリーズ(ドラム)という顔ぶれです。ちなみに当時21歳のマッコイ・タイナーはフィラデルフィアからニューヨークに出てきたばかりで、これが初レコーディングだそうです。
曲は全10曲。全てが3分から5分程度の短い演奏で、うち半分の5曲が有名な歌モノスタンダードです。残りの5曲中4曲もゴルソンのオリジナル曲ですが、ラストの"Killer Joe"を除けば"I Remember Clifford""Blues March"など既出の曲ばかり。ずばり売れ線狙いの構成と思います。本作はジャズ名盤特集などで必ずリストアップされるほどの人気作品ですが、個人的にはそのあたりがやや鼻につくこともあり、そこまで高く評価していません。とはいえ、演奏の質はやはりさすがで、ゴルソンのテナーは若干くどいですが、まだまだ熱かったファーマーのトランペット、"Avalon"や"It's All Right With Me"で超高速パッセージを連発するフラーらのアンサンブルが楽しめます。半年後にジョン・コルトレーン・カルテットに加入するタイナーはまだ新人だったせいかお得意の飛翔するピアノソロは控え目ですが、随所にキラリと光るプレーを見せてくれます。おすすめはルロイ・アンダーソンのクラシック曲を超アップテンポに料理した"Serenata"、有名なジャズ・メッセンジャーズのバージョンとは違う楽しさがある"Blues March"、アート・ファーマー作の必殺ファンキー・チューン"Mox Nix"、本作が初出で後に定番曲となるとなる"Killer Joe"などです。