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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

歩道の下の…

2009-11-22 19:48:24 | 秋田のいろいろ
昨日に続き、道路工事シリーズです。今回も貴重なシーンかもしれません。
昨年度あたりからだろうか、秋田市中心部の竿燈大通りでは、道路管理者の秋田県による歩道の工事が断続的に続いている。区画単位で行われ、歩道は原則全面通行止め、車道1車線をふさいで仮歩道にし、沿道の店舗や地下道への出入りは渡り板を渡し、バス停を移設し、警備員を複数配置してと、大がかりな工事だ。(何の工事かは徐々にご説明します)

現在は通りの北東で行われており、二丁目橋の上流側も対象。
橋でない区間は敷いてあるブロックをすべてはがして工事しているが、ブロック敷きでない橋の上ではアスファルトをはがし、このようになっている。
金網を敷いて、その上に等間隔に白いホースを引いている
ホースは一般的な水道用よりはやや細い。
ホースは針金で金網に固定されている

末端できれいに折り返して1本につながっている
さて、これは何者かお分かりでしょうか?
この後、埋められて地下に潜むこのホースは、雪国で生活する我々の暮らしを大いに助けてくれるアイテムなのですが、地中だけになかなか目にする機会がない。
ちなみに20年ほど前に同種の工事を見た時はホースでなく、金属の管だった。

これは、路面の融雪装置(ロードヒーティング)の配管です。 ※昨シーズン(今年1月)の記事はこちら
雪国以外の方には想像がつかないのも無理はないが、雪が積もれば歩きにくいから、雪を寄せなければ(除雪)いけない。凍ってスケートリンクのようになることもあり、転んでケガをするおそれもある。
車道は道路管理者が除雪してくれるが、基本的に歩道の除雪はその前の各家庭や会社が行うことが半ば暗黙の了解になっている。重労働だし、大雪になれば積み上げる場所すらなくなって、歩道が機能しなくなる。
北陸などでは、水を流しっぱなしにして雪を融かす装置もあるが、秋田市内では見かけない。気温が低くその水が凍ってしまってかえって危険なこと、路面や靴が濡れること、それに地下水を使う場合地盤沈下の可能性があることなどが理由かもしれない。

それを解決するのが、路面を温めて雪や氷を融かしてしまうロードヒーティング。秋田市内では、坂道の車道や市街地の幅の広い歩道で普及している。最近は駐車場など家庭用のものもあるようだ。
たまに、ロードヒーティングのことを「電熱」と呼ぶ人がいる。電気で発熱するものを直接埋め込んでいるイメージがあるのだろう。たしかに家庭用では電気や灯油を使ったものがあるが、「ラクだけど雪と一緒におカネも消えた」と話すユーザーがいたほどなので、ランニングコスト面で大規模な公道では現実的でなく、電熱式はあまり採用されていないようだ(歩道橋の階段など制約のある場所でのみ使用)。
極寒の北海道では、ガスでお湯を沸かして、それを管に循環させる方式がある(旭川市の例)が、秋田はそこまでは寒くない。

僕もよく分からないが、秋田ではこのホースに「何らかの熱源で温めた液体を循環させて」雪を融かしていると思われる。熱源は「ヒートポンプ」のようなものかもしれないし、液体は水(湯)もしくは何かを混ぜた不凍液かもしれない(どなたかご存じであれば教えてください)。
【追記】施工業者によるこのような掲示がありました。
家庭用の場合、路面にセンサーがあり、「濡れた状態」かつ「一定の温度以下になった場合」だけ作動するので、公道用も同じ仕組みかもしれない。路上には制御器の入った箱が設置されている。

というわけで、上の写真のホースのおかげで冬も快適に歩けるわけだから、縁の下ならぬ「“歩道の下”の力持ち」だ。
竿燈大通りは20年以上前(だと思う)にロードヒーティングが設置されていたので、現在の工事は新設でなく更新工事。昨シーズンの記事にした通りJTB秋田支店前の区間では装置が作動せず、県から委託された業者(清掃など維持管理を一体的に受託しているのか)が一生懸命雪を寄せていたから、装置の老朽化が進んで寿命だったのだろう。
さて、
 
写真左はまだ更新工事がされていない区間、右は故障を受けて今年度早々に更新されたJTB前。
もともと、全区間同じブロックが敷かれていたはずだが、JTB前は融雪装置更新と同時にブロックも新品に更新された。視覚障害者誘導用のブロック(点字ブロック)も違うし、それ以外のブロックも縁が波形から直線(長方形)のものに変わった。
マンホール部分だけは旧ブロックのまま

そして、最近工事が行われているJTBの向かい側では、
従来の波形のブロックを再利用している(色がくすんでいるのは砂をまいたためだと思う)
県で冷静に考えてみたら「全区間のブロックを新しくする予算がない!」なんてことになったのだろうか。使えるものは大事にしましょ。

でも、点字ブロックだけは白(グレー)でなく黄色いものになっており、更新したのかもしれない。
点字ブロックはもともとは黄色だったが、一時、デザインを重視し、地味な色の点字ブロックが流行した時期があった。しかし、現在は弱視者への配慮から、再び黄色いものが主流になっているそうなので、その流れに乗って交換したのではないだろうか。使えるものは使い、変える必要のあるものは変える。秋田県にしては珍しく配慮が行き届いた工事だ。

でも、ブロックを敷き直すのは大変そう。特に端っこの半端な部分。
元通りにできますか?
難しければジグソーパズルの名人でも雇ったらいかがでしょう。

さて、工事が済んだのに、なかなかブロックが敷かれない場所がある。
浅い金属の枠になっていて、水がたまっている
注意して見ると、竿燈大通りの他の区画にも同じような枠の上にブロックを敷いた場所が多いし、ネットで見たら積雪地でないブロック敷きの歩道にも同じようなものがあった。それに秋田市内のロードヒーティングのある歩道でもこの枠がない所もあるから、融雪装置に直接関係のあるものではなさそう。
おそらく、各種ライフラインが通る地下の「共同溝」に関係した何かではないだろうか。(出入りできるようなマンホールは別にありそうだが)

ここで時間をさかのぼってみる。まず、ブロックを敷く前
管を埋めて丁寧にセメントを塗っている
その前
配管した状態
何もない部分は砂利の上に、橋の上と同じく金網とホースを置いている。
ところが、金属の枠の中は、それぞれ枠ごとに(昔僕が見たのと同じような)金属の管を配置している。
 
なぜか管の方向や密度はまちまちだが、こうしておけば、共同溝の一部を工事する時にロードヒーティングへの影響を最小限にできる仕掛けなのだろう。よく分からないがよくできている。
路上のマンホールの1つはロードヒーティング用のものらしく、
コックやメーターが付いていた
それにしても工事は終わりそうでなかなか終わらない。ちまちまと何かやっているし、傍目には無駄な立入禁止区画が多く、車線減少や歩きにくいといった影響もあるし。
でも、今や雪国の生活欠かせない装置。冬しか使わず、暖冬傾向、人口減とはいえ、決して無駄な工事だとは思わない。いつ雪が積もってもおかしくない時期になったが、工事が間に合うことを祈ります。
【12月21日追記】結局間に合いませんでした。こちら
【2010年2月27日追記】ブロック再利用の工事、融雪の概要・仕組み等についてはこちらの記事もご覧ください。
コメント (5)
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