JRの特別企画乗車券(=いわゆるトクトクきっぷ)の「五能線パス」が3月30日利用開始分を最後に廃止され、代わりに「五能線フリーパス」が発売されることになった。
まず、現行の「五能線パス」について。
秋田新幹線「こまち」と五能線の観光列車「リゾートしらかみ」が運行を開始した1997年に「五能線周遊きっぷ」として発売開始、2002年から「五能線パス」になった。
有効区間(フリーエリア)が異なる3種類がある。
オレンジ色が奥羽本線、青色が五能線
いずれも2日間有効で、エリア内は普通列車に乗り降り自由。
しかもエリア内の普通・快速列車の指定席に追加料金なしで乗車できる。つまり、リゾートしらかみにも、何度でも追加料金なしで乗車できる。(無料の指定券を発券してもらう必要はある)
また、特急券等を買い足せば、奥羽本線の特急列車などに乗車できる。
僕は「A」を中心に何度も利用しているが、とても使い勝手がいいきっぷだ。
五能線を使わず、単純に奥羽本線(大館)経由で秋田-弘前間を往復するだけでもモトが取れる(正規で往復5040円だから40円だけだけど)。
秋田-青森間なら正規料金で往復6520円だから、1520円も安い!
昨年の秋にはちょっとだけリゾートしらかみに乗ったりして、楽しませてもらった。
区間と金額を変えた3種類があることで旅程に合わせたきっぷを選択できたし、五能線と奥羽本線両方を有効区間とすることにより行きは五能線でゆっくり旅行して帰りは奥羽本線で一気に戻るとか、大鰐温泉辺りに立ち寄るとか、いろいろな旅を楽しむことができたと思う。
ところが、4月1日から利用開始(3月1日から発売中)となる「五能線フリーパス」。(名前がよく似てる)
種類は1種類だけになった。
フリーエリアは、 秋田(奥羽本線)東能代(五能線)川部(奥羽本線)弘前・青森
という、ほぼ一本道。東能代-弘前間の奥羽本線がエリアから外れ、短距離・狭いエリアの設定がなくなった。。
色が薄い部分はエリア外
2日間有効で3700円。別途購入で特急等に乗車できる点は変更なし。
さらに、普通列車の指定席も別料金となり、「リゾートしらかみ」に乗るには別途指定券を購入(1回につき510円か310円)しなければならなくなった。
この点については、JR東日本では最近、東京方面など他の企画乗車券でも特急券は別途購入させ、乗車券部分だけを対象としたものが多いので、その流れかもしれない。
それから、五能線パスはJR東日本秋田支社管内のほか、盛岡支社と仙台支社管内の駅窓口などでも購入できたが、五能線フリーパスは秋田支社管内+新青森・青森駅だけでしか買えなさそう。
これは「値下げ」ではある。
この経由でエリアの端から端まで(秋田-青森)の正規運賃は片道4310円だからそれだけでモトは取れる。
しかし、観光客がこのエリア内を普通列車だけで行き来するのは現実的でなく、リゾートしらかみを利用することになるだろう。
2回リゾートしらかみに乗れば510円(閑散期以外)×2回=1020円。それにフリーパスが3700円だから、計4720円。
旧五能線パス(A)の5000円とそんなに違わない。
したがって、これでは、取り立ててメリットがなく、はっきり言って“改悪”ではないだろうか。
なんでこんなきっぷになったのだろう。理由を考えてみた。
・奥羽本線経由で“秋田-青森往復きっぷ”的に使われてしまった?
ゴメンナサイ。僕も使いました。
でも、当初は弘前・川部までだったエリアを、料金据え置きで青森まで拡大した経緯がある。当時「ずいぶん太っ腹だな」と思ったものだった。
これが理由だったら「五能線パス」のまま、値上げすればいいのに。
・新青森→五能線→秋田、秋田→五能線→新青森という片方向・片道の移動を前提にした?
北東北は広い。東京方面から北東北へ来る観光客の流動を考えれば、到着したのと同じ駅へ戻るより、別の駅から帰った方が効率的。そういう移動の形には無駄がなくて適したきっぷかもしれない。
でも、従来の五能線パスなら可能だった、例えばついでに奥羽本線内の大鰐温泉や碇ヶ関、大館などに立ち寄る、といった旅はできなくなる。
そして、地元の人がちょっとだけ五能線に乗りたい場合、従来はB・Cがタイプが使えたが、今後はそれがない。
秋田では、家族旅行や小規模な職場旅行で「たまには列車に乗ってみるか」と五能線の日帰り旅行をするケースもあるようだが、そうした機会が減るかもしれない。
・高速道路無料・上限料金とかいう、ワケの分からん政治のせい?
だとすればいい迷惑です。
昨年12月の東北新幹線新青森開業とリゾートしらかみの4両編成化・一部ハイブリッド新型車導入により、リゾートしらかみの利用者は大幅に増えたそうで(この年末年始は昨年比246%)、絶好調のようだ。
団体客もいるだろうし、今回の変更はトータルでみれば影響は少ないかもしれない。でも、個人的には残念だ。
新青森開業時には、弘前周辺の各種公共交通機関が乗り放題の「津軽フリーパス」が値上げを伴ってリニューアルされた。
(これも個人的には使い手が悪くなったが、新幹線で新青森へ来た人や弘前市内でバスにたくさん乗る人には使いやすくはなったので、改悪とは言いません)
僕は弘前市へ滞在することが多いから、その目的では津軽フリーパスを使うことはないだろう。よほど時間に余裕がない限り。
今後、弘前に行くときは、正規料金の乗車券を買うしかないのだろう。
まず、現行の「五能線パス」について。
秋田新幹線「こまち」と五能線の観光列車「リゾートしらかみ」が運行を開始した1997年に「五能線周遊きっぷ」として発売開始、2002年から「五能線パス」になった。
有効区間(フリーエリア)が異なる3種類がある。

五能線全線と奥羽本線の秋田-青森間(上の図の範囲内すべて)の「A」が5000円。
秋田寄りに絞った五能線の東能代-千畳敷間、奥羽本線の秋田-東能代間の「B」が3000円。
東能代以南秋田方面の奥羽本線を省き、五能線全線と奥羽本線の東能代-青森間の「C」が3200円。
※発売当初、AとCは奥羽本線は川部までがエリアだった。後に値段はそのままで青森まで拡大された。
秋田寄りに絞った五能線の東能代-千畳敷間、奥羽本線の秋田-東能代間の「B」が3000円。
東能代以南秋田方面の奥羽本線を省き、五能線全線と奥羽本線の東能代-青森間の「C」が3200円。
※発売当初、AとCは奥羽本線は川部までがエリアだった。後に値段はそのままで青森まで拡大された。
いずれも2日間有効で、エリア内は普通列車に乗り降り自由。
しかもエリア内の普通・快速列車の指定席に追加料金なしで乗車できる。つまり、リゾートしらかみにも、何度でも追加料金なしで乗車できる。(無料の指定券を発券してもらう必要はある)
また、特急券等を買い足せば、奥羽本線の特急列車などに乗車できる。
僕は「A」を中心に何度も利用しているが、とても使い勝手がいいきっぷだ。
五能線を使わず、単純に奥羽本線(大館)経由で秋田-弘前間を往復するだけでもモトが取れる(正規で往復5040円だから40円だけだけど)。
秋田-青森間なら正規料金で往復6520円だから、1520円も安い!
昨年の秋にはちょっとだけリゾートしらかみに乗ったりして、楽しませてもらった。
区間と金額を変えた3種類があることで旅程に合わせたきっぷを選択できたし、五能線と奥羽本線両方を有効区間とすることにより行きは五能線でゆっくり旅行して帰りは奥羽本線で一気に戻るとか、大鰐温泉辺りに立ち寄るとか、いろいろな旅を楽しむことができたと思う。
ところが、4月1日から利用開始(3月1日から発売中)となる「五能線フリーパス」。(名前がよく似てる)
種類は1種類だけになった。
フリーエリアは、 秋田(奥羽本線)東能代(五能線)川部(奥羽本線)弘前・青森
という、ほぼ一本道。東能代-弘前間の奥羽本線がエリアから外れ、短距離・狭いエリアの設定がなくなった。。

2日間有効で3700円。別途購入で特急等に乗車できる点は変更なし。
さらに、普通列車の指定席も別料金となり、「リゾートしらかみ」に乗るには別途指定券を購入(1回につき510円か310円)しなければならなくなった。
この点については、JR東日本では最近、東京方面など他の企画乗車券でも特急券は別途購入させ、乗車券部分だけを対象としたものが多いので、その流れかもしれない。
それから、五能線パスはJR東日本秋田支社管内のほか、盛岡支社と仙台支社管内の駅窓口などでも購入できたが、五能線フリーパスは秋田支社管内+新青森・青森駅だけでしか買えなさそう。
これは「値下げ」ではある。
この経由でエリアの端から端まで(秋田-青森)の正規運賃は片道4310円だからそれだけでモトは取れる。
しかし、観光客がこのエリア内を普通列車だけで行き来するのは現実的でなく、リゾートしらかみを利用することになるだろう。
2回リゾートしらかみに乗れば510円(閑散期以外)×2回=1020円。それにフリーパスが3700円だから、計4720円。
旧五能線パス(A)の5000円とそんなに違わない。
したがって、これでは、取り立ててメリットがなく、はっきり言って“改悪”ではないだろうか。
なんでこんなきっぷになったのだろう。理由を考えてみた。
・奥羽本線経由で“秋田-青森往復きっぷ”的に使われてしまった?
ゴメンナサイ。僕も使いました。
でも、当初は弘前・川部までだったエリアを、料金据え置きで青森まで拡大した経緯がある。当時「ずいぶん太っ腹だな」と思ったものだった。
これが理由だったら「五能線パス」のまま、値上げすればいいのに。
・新青森→五能線→秋田、秋田→五能線→新青森という片方向・片道の移動を前提にした?
北東北は広い。東京方面から北東北へ来る観光客の流動を考えれば、到着したのと同じ駅へ戻るより、別の駅から帰った方が効率的。そういう移動の形には無駄がなくて適したきっぷかもしれない。
でも、従来の五能線パスなら可能だった、例えばついでに奥羽本線内の大鰐温泉や碇ヶ関、大館などに立ち寄る、といった旅はできなくなる。
そして、地元の人がちょっとだけ五能線に乗りたい場合、従来はB・Cがタイプが使えたが、今後はそれがない。
秋田では、家族旅行や小規模な職場旅行で「たまには列車に乗ってみるか」と五能線の日帰り旅行をするケースもあるようだが、そうした機会が減るかもしれない。
・高速道路無料・上限料金とかいう、ワケの分からん政治のせい?
だとすればいい迷惑です。
昨年12月の東北新幹線新青森開業とリゾートしらかみの4両編成化・一部ハイブリッド新型車導入により、リゾートしらかみの利用者は大幅に増えたそうで(この年末年始は昨年比246%)、絶好調のようだ。
団体客もいるだろうし、今回の変更はトータルでみれば影響は少ないかもしれない。でも、個人的には残念だ。
新青森開業時には、弘前周辺の各種公共交通機関が乗り放題の「津軽フリーパス」が値上げを伴ってリニューアルされた。
(これも個人的には使い手が悪くなったが、新幹線で新青森へ来た人や弘前市内でバスにたくさん乗る人には使いやすくはなったので、改悪とは言いません)
僕は弘前市へ滞在することが多いから、その目的では津軽フリーパスを使うことはないだろう。よほど時間に余裕がない限り。
今後、弘前に行くときは、正規料金の乗車券を買うしかないのだろう。