【15日追記】
東北観光博サイトの誤訳が報道されたこともあり、当ブログへ多数のアクセスをいただいています。
当ブログでは誤訳に関して複数の記事をアップしています。
以下の各記事ですので、余裕のある方は順番にご覧いただくことをおすすめします。
4月7日(この記事) → 4月8日 → 4月12日 → 4月13日 → 4月25日
東北観光博サイトの誤訳が報道されたこともあり、当ブログへ多数のアクセスをいただいています。
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東日本大震災で落ち込んだ観光需要を景気づけようと、国土交通省観光庁などが「東北観光博」を開催というか実施している。
東北地方全域を博覧会の会場に見立てたもので、今年3月18日から来年3月31日までイベントなどが開催される。
今朝の秋田魁新報や夕方のNHK秋田のローカルニュースで、その東北観光博の英語版ホームページの英文がひどいことが報じられた。
日本語版のページを英訳したもので、「あきた千秋公園桜まつり」を「Senshu park cherry tree Festival which we got tired of」つまり、「飽きた千秋公園~」と訳している(NHKでは「あきあきした~」と表記)。※これは現在は修正済み
ホームページ制作・運営は民間に委託しており、翻訳自体はさらに別の会社(翻訳ソフトの会社)が翻訳ソフトで行ったらしい。NHKによれば「自動翻訳の間違いを、誰がチェックするか、決まっていなかった」「誤訳の一部は修正されましたが、どれだけの誤訳があるのかも、まだわからない」とのこと。
【9日追記】公式ページにロゴが表示されるが、翻訳の委託先は東京の「クロスランゲージ」という企業。
NHKによれば、秋田県庁では3月中に間違いに気づき国土交通省へ連絡したものの、一向に修正されず、6日に再度連絡したとのこと。秋田市では昨日、外部から指摘があるまで気づかなかったとのこと。
NHKでは若い記者が出てきて、秋田県や秋田市の意識の低さにも問題があるような指摘をしていたが、それは違うんじゃないだろうか。たしかに、国がやる大きなイベントだから、県や市がもうちょっとアンテナを張っていれば気づいたと言いたいのかもしれない。
でも、国土交通省や観光庁から県や市にこんなホームページをアップしたよという連絡があったわけではないだろうから、存在自体気づかなくても仕方ないのではないだろうか。それに、今回の誤訳は、秋田県や秋田市以外の自治体、さらには民間施設や飲食店にまで及ぶ。NHKではそれらにも、責任があると言うつもりか。
昨年、秋田県が東京で秋田県産米のおにぎりを配布した際、製造業者が「新潟産」のシールを貼ってしまい、取り仕切った広告代理店とともに、いろいろ問題になった。
今回もそれと同じことだが、言うまでもなく、受託した企業と国土交通省・観光庁の責任が重大。不完全なものを納品し、それを公開しているのだから。
それから、昨年6月に出版されたとある翻訳本が、機械翻訳ほぼそのままで発売され、回収騒ぎになったことがあった。それとも同じことが、国が関わるイベントで発生したことになる。出版社側の強行スケジュール・見切り出版が原因だったようだが、今回の原因は何だろう。
秋田と青森を中心にごく一部だけ見てみたが、英語が苦手な者でも見つけられる、単純なかつひどい誤訳がたくさんあった。誰一人チェックせずに、アップされたのだろう。
間違いのレベルと多さからすれば、このまま公開しておくべきではないと思う。いったん英語のページを閉鎖し、当事者にも確認するなどして完全なチェックと修正を行ってから公開するべきではないだろうか。
揚げ足取り、かつ英語が不得手な者が申し訳ないですが、具体例をいくつか。
※見出しだけを見ています。本文中にも誤訳があったり、逆に本文では正確な場合があるかと思います。
※Googleの翻訳機能を一部で使わせてもらいました
・ウッドペッカー
NHKでも岩手県の「啄木望郷の丘」を取り上げていたが、「啄木」を「Woodpecker」と訳してしまっている。(盛岡局ではニュースになっていないようだが、なぜか秋田局で例として挙げていた)
「石川啄木」とフルネームの場合は「Ishikawa Takuboku」と正しく訳され、「啄木」だけの場合は直訳して「Woodpecker」すなわち「キツツキ」になってしまう。(個人的にはアニメキャラクターの「ウッディー・ウッドペッカー」を連想してしまう)
したがって、「啄木祭」「啄木忌」「啄木新婚の家」など、全部「ウッドペッカー祭」「ウッドペッカー忌」「ウッドペッカー新婚の家」になってしまう。
ウッディー・ウッドペッカーの「アハハハハ、アハハハハ、アハハハ…」という鳴き声が聞こえてきそう。
【14日追記】※「啄木」は本来はキツツキの異名。病気療養中にキツツキの音が聞こえて癒されたことがきっかけで、ペンネームにしたという。4月13日は命日の「啄木忌」だった。
・港のパセリ
「Port tower Japanese parsley on」?
「Japanese parsley」は「日本のパセリ」で、「セリ(芹)」のこと。
だから、「港の塔芹ON」?
そう、「ポートタワー/芹/ON」で「ポートタワー セリオン」のこと。
ちなみに、Googleの翻訳では「Therion」とそれらしく翻訳した。スウェーデンのバンド名らしい。(秋田のセリオンは「selion」)
「道の駅 あきた港(ポートタワー・セリオン)」という項目もあり、それは「Port (port tower Japanese parsley on) where roadside station got tired of」。
やっぱり「飽きた」で訳している。疲れた港の道端の駅で港のパセリ塔みたいな???
ここで開催されるイベント「セリオン&マルシェ」は「SELION & MARCHE」となぜか完璧。
・枕として使う蚊
「Mosquito event to use as a pillow of six volost」
「6つの郷の枕として使う蚊のイベント」?? ※volostはロシア語?
「6郷の/蚊/枕/行事」で、秋田県美郷町で2月に行われる「六郷のカマクラ行事」。
雪で作る横手の「かまくら」とルーツは同じだが、ぜんぜん違うお祭りで、「竹打ち」というヤツ。
なお、横手の「かまくら」はちゃんと「Kamakura」。
・若鶏ハイウェイ
「Yuri-Honjo young bird highway "downtown young bird circulation"」
「由利本荘の若い鳥の高速道路“下町若鶏循環”」??
「由利本荘/雛/街道「町中/雛/巡り」」で、「由利本荘ひな街道「町中ひなめぐり」」。
ひな人形をひな鳥と訳したのが混乱の原因。
英語では「街道」と「高速道路」ってどちらも「highway」なの?
じゃあ、司馬遼太郎も「高速道路をゆく」?
・笹たちの踊り
「Bamboo grass and others dance of Kakunodate」
「角館の笹とその他の踊り」??
「角館の/笹/等(ら)/舞」で「角館のささら舞」。
・何年だっけ?
「1967 street」
秋田県小坂町に「1967通り」があるらしい。
1967を「1967年」と考えると「昭和42年」。さらに明治元年からちょうど100年目、つまり「明治100年」。
したがって、康楽館前のニセアカシア並木の「明治百年」通りだそうです。
本当に1967年に命名されたのかもしれないが、余計な気を回した翻訳だ。
ちなみに、日本最古の芝居小屋「康楽館」は、「Easeful enjoyment building」と1文字ずつ直訳。
・四天王
「Four Devas gurinnrando」
「Four Deva」は「四天王」、と「gurinnrando」??
秋田県潟上市の「天王グリーンランド」のこと。
どこから「四」が出てきたのかは不明。
そして、日本語ページでは「天王グリーンンランド」と「ン」が1つ余計なので、それで「gurinnrando」とおかしくなったのだろう。
※ちなみに、数年前まで、某バス会社の一部車両の天王グリーンランド行きの行き先表示は「天王グリーランド」と「ン」が抜けていた(現在はLED化されて正常)。これで相殺されたことになる?
・バリ島が東北に?
「Cat Bali rock」
「Bail」はバリ島? 「猫/バリ島/岩」。
バリ島ではなく、秋田県五城目町にある「ネコバリ岩」のこと。
猫との関係もなく、秋田弁の「ねっこばる」、「根が張ったように踏ん張る」が由来か。
・地名いろいろ
角館はなぜか大丈夫だったが、秋田の「六郷」のようなそれほど有名でない地名、「あきた」のような正規表記でない地名は苦手な模様。
「Five castle eyes morning markets」
「5/城/目/朝市」で「五城目朝市」。
「Cross Cherries Festival」
「十字路(十字架?)さくらんぼまつり」で「十文字さくらんぼまつり」。
「House of Akita-shi male sum village」
「秋田市/オス/合計/村/の家」で「秋田市雄和里の家」。
ほかに仙台市の地名「定義(じょうぎ)」を、「物事を言葉で明確に限定すること」を意味する「定義(ていぎ)」と誤訳した、「Definition adder's tongue lily viewing society」は「定義カタクリ鑑賞会」。
福島県田村市にも「六郷清水」があり、それは「Six Kiyoshi Go water」。「6/清/Go/水」。
「田」「崎」などの濁音か清音かを取り違えたものも多い。
・その他
間違い方すら不明なもの。
「Akita Tatsuko Museum」。
田沢湖(辰子姫伝説)の「辰子」かと思いきや、秋田市にある県児童会館の「秋田県立子ども博物館」。
どうして「子ども」が「Tatsuko」なんだろう?
【8日追記】コメントで教えていただいた。「秋田県/立子/ども/博物館」と区切って訳したようだ。「ども」が行方不明になってしまっているが、たしかに「立子」で「たつこ」。
なんか複雑というかもう面倒で、例示だけ。
「Is eight Tsu, pigeon-toedness, or roll up; gregarious volost」「八津・鎌足かたくり群生の郷」
「Top fishing in crane ka pond of potato」「いものこまつりin鶴ヶ池」
誤訳が非常に多い中、「なまはげ」「ねぶた」「かまくら」「
当事者からチェックや指摘があったのかもしれないし、単に運が良かっただけかもしれない。
英語版のページ上部には、「これは機械翻訳だから不正確かも」みたいな注釈があるが、以上のような間違いだらけでひどすぎる。日本政府の信用にも関わるのではないか。
「蚊を枕として使うお祭りを見てみたい!」とわざわざ海外からお客さまがいらしたら、がっかりすることだろう。(まあ、写真や説明文や他のサイトを見れば、気付くとは思うけれど)
それにしても、こんなに楽しく英文に触れられた経験は今までなかったです。
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