当ブログでは東北観光博のサイトの誤訳に関して複数の記事をアップしています。
以下の各記事ですので、余裕のある方は順番にご覧いただくことをおすすめします。
4月7日 → 4月8日 → 4月12日 → 4月13日 → 4月25日(この記事)
以下の各記事ですので、余裕のある方は順番にご覧いただくことをおすすめします。
4月7日 → 4月8日 → 4月12日 → 4月13日 → 4月25日(この記事)
国土交通省観光庁などが行なっている「東北観光博」の外国語ホームページに、低レベルの誤訳が大量にあった件。
4月下旬まで外国語ホームページを閉鎖して、修正作業中であるというところまでを、今までお伝えしていた。
その後の動き。
24日付で観光庁や東北観光博のホームページに新たな告知が出た。
「東北観光博ポータルサイト多言語版の再開延期について」というもので、「より精度の高いものとなるよう東北の各地域の関係者による確認や各言語についてボランティアによる確認を行う」ことや「情報の随時追加・更新に伴い発生する不適切な翻訳を防止するため、関係者による事前確認を可能とするシステム上の改良を加えること」にしたため、「多言語サイトの再開を一旦見送り、5月下旬に延期することと致しました」という。
25日には、ボランティア募集が始まった。
ほーら言わんこっちゃない。
どう考えたって2週間であれだけの修正ができるわけない。
観光、翻訳、コンピュータやホームページいずれについても素人である私めでも想像がついたことなのに、今回の発覚後の対応の二転三転(公開を続けながら修正→4月下旬まで閉鎖→5月下旬までに延長 等々)は何なんだろう?
観光庁長官や国土交通大臣は、黙っているようだけど、謝罪とかコメントはしないのだろうか。
(マエダ国交大臣は問責決議でそれどころじゃないかな)
九州の西日本新聞のコラム「春秋」では、恒例の漢検協会の変換ミスコンテストといっしょに、東北観光博の誤訳を取り上げていた。例として「あきた千秋公園桜まつり」が挙げられていて、千秋公園が九州の紙面に登場したことになる。
河北新報では宮城県観光課の「誤訳が話題となり、東北観光博が脚光を浴びた面もあるが、今度こそ誤りのない表現にしてほしい」というコメントが出ており、たしかにその“効果”はあったのだろうけれど。
ご紹介していなかった誤訳の実例がもう少しあるので、紹介します。
「It is joke festival Shizukuishi」
「雫石冗談祭り」? そんな冗談みたいな行事があるわけない。
「雫石よ/洒落/祭り」で「雫石よしゃれ祭」。
なお、説明文中にある民謡の一節の「よしゃれ」は「yoshare」と訳している。
「Fair in omonogawa which is boiled which is boiled」
雄物川が煮えたぎっているようなイベント。
「わくわくフェアinおものがわ」だそうです。
ちなみに中国語版(繁体・簡体とも同じ)は、
「沸騰的沸騰的公平的in omonogawa」
まんべんなく、とても熱そう。
「フェア(fair)」を誤訳し、よく分からないけど「わくわく」も明らかに間違っていそう…
「Horseback riding experience to be heated that spring is boiled」
馬の背に乗る体験が、加熱して、温泉もしくはバネが煮えて??
「春のわくわく乗馬体験」。同じ「わくわく」でも、雄物川とは違う間違い方。
「肘折温泉郷なめこ・こけし祭り」のイベント内容詳細にいろいろと。
「Behavior of the nameko stew」、「nameko knob competition」、「Lick; an art or a green meeting」が強烈。
「なめこシチューの行動」、「なめこノブ競争」、「舐める、芸術または緑の会合」?
正解は「なめこ汁の振る舞い」、「なめこ箸つまみ競争」、「なめこつかみどり大会」。
なめこ汁は「振る舞い」の意味の取り違い、箸つまみは「つまみ」の動詞と名詞の取り違いによるものか。
つかみどりは、以前、ヤマメのつかみどりで「緑(green)」と区切って誤訳していたのもあったが、なんで芸術(art)?
artには、芸術のほか、「技術, こつ, 要領(プログレッシブ英和中辞典より)」という意味もあった。この「こつ」は漢字では「骨」と書くそうだが、その「こつ」。
つまり、「舐め/こつ/か/緑/大会」か…
他の項目では、「so orchids」と「good point has dark」。
「とっても蘭」と「良い点は暗い」?
「ソー/蘭」と「良さ/濃い」で「ソーラン」と「よさこい」だそうです。
「fault stew」は「責任・過失のシチュー」?
「fault」は「あら(荒/粗)」(←「あら探し」とかいう時の「あら」)で「あら汁」だそうです。
今回、翻訳システムを無償提供したという企業のシステムは、国内の多くのポータルサイトの翻訳サービスにも採用されている。
サイトによって若干の差があるが、その中には、現時点でも東北観光博のサイトとほぼ同じく誤英訳するサイトもある。
今回の一件で思い浮かんだことわざがある。
「ただほど高いものはない」。
実際には、この一件でどの程度の損失もしくは新規費用がかかったのかは知らないけれど。
ふと思って、某ポータルサイトで英訳してみると…
「ただほど~」と「ただより~」2つの言い方があるが、(個人的には「ほど」のほうがしっくりくる)
「ただより~」では、
「You never get something for nothing」
単語単位の直訳ではなく、文章一括でこのことわざに相当する「たたでは何も得られない」という英語のことわざに訳された。
ヘンなところで正確ですね。
でも、「ただほど~」で訳すと、「There is not a thing of ただほど high potato」。
「ただほど高“芋”のはない」ね…
最近のスマートフォンは、知りたいことを話しかければその答えを音声で返してくれるそうだ。この分では100年後にはほんとうにドラえもんがいるかもしれない。
その一方、他言語への翻訳はまだこの程度。ドラえもんの道具の1つ「ほんやくコンニャク」の実現は遅くなるかもしれません。
【6月1日追記】5月31日夜から、外国語版ホームページの公開が再開された。(中国語の一部ページを除く)