強風の影響で遅れて、雪が降りしきる秋田駅に入線する下り貨物列車。
何気なく撮影した“日本海縦貫線”の貨物列車。帰ってからその機関車を見ると、それはちょっと特別な機関車だったので、ちょっとうれしくなった。
その機関車は、沿線ではすっかり見慣れたEF510形電気機関車。最近、JR東日本から売却されてそのままの塗装で走っている青いEF510が現れたけれど、これはそれとは違う、本来の赤い塗装の11号機。
現在までおそらく23両(JR東日本保有or東日本から貨物への譲渡分を除く)製造されているうちの1台に過ぎない。
EF510-11の何が特別かというと…
「♪ぱぴぷぺプチプチ」という、歌やフレーズが頭に残っていませんか?
ブルボンの小型お菓子シリーズ「プチ」のキャラクター「プチクマ」が出ているCM。
現在流れている「エコレールマークでプチクマ出発!」編に、EF510形11号機がCG化されて“出演”しているのだ。
ブルボンホームページより
一定の割合以上、鉄道貨物輸送を行っている製品に付けられる「エコレールマーク」がプチに付いたことを伝えるCM。
EF510-11に牽かれた貨物列車に、プチクマたち(プチクマはプチの商品バリエーションと同じ24匹いるそうだ)が楽しく乗っているCGアニメ。
「協力:日本貨物鉄道(株) 公益社団法人鉄道貨物協会」と表示される。
ブルボンのホームページに「日本貨物鉄道様の全面協力を得て、かわいいながらもプチッとリアルな貨物車両のCGにも注目してください。 」とあるように、かなりリアルなEF510-11で、鉄道好きは注目せずにいられない。
EF510は、「く」の字形のシングルアームタイプのパンタグラフを搭載しているが、その“関節”が内側向きなのが特徴(日本の鉄道車両ではかなり珍しいはず)で、それもしっかり再現されている。ちなみにパンタグラフが2基とも上昇しているので、ここは直流電化区間ということか。(秋田近辺など交流電化区間では後ろ側のパンタグラフのみを使用するので、前側は下ろしてたたんでいる)
ぱっと見て実物と異なる点は、「JRF」ロゴはあるのに愛称「RED THUNDER」ロゴがないことと、一部の通風口が省略されているくらいか。
あと、後ろで商品を立てて持っているプチクマがいるけれど、パンタグラフより高い位置なので架線に接触している可能性が高く、プチクマは感電しているかもしれない。
EF510から身を乗り出している緑色のプチクマは乗務員風の帽子をかぶっていて、ホームページには「プチクマが車掌になって」とある。実際には、今は貨物列車に車掌はいない。
そういえば、今は覚えている/知っている人は少なくなっていると思うけれど、国鉄時代の貨物列車には、最後尾に黒い「車掌車」がくっついていて、車掌が乗務していたものだ(1985年まで)。
エコレールマークは誕生して10年弱経つようで、僕は知っていたけれど、知らない人がまだ多いのではないだろうか。エコレールマークを取り上げたCMもほとんどなかったはずで、その意味でも、意義ある作品と言えよう。
でも、どうして11号機が選ばれたんだろう。
後ろのコンテナには本当に「プチ」が積み込まれていたりして?!
【28日追記】11号機以前の問題として、新しい貨物用機関車はいくつもの形式があるのに、なぜEF510形が選ばれたのか? ということにもなるが、これはブルボンの本社や工場が新潟県、すなわちEF510が走る沿線にあるためではないだろうか。新潟から貨物列車で出荷される製品は、必然的にEF510の列車で運ばれていることになり、その事実を忠実に反映したのかもしれない。
【3月7日追記】プチシリーズは、3月に8種類が新発売された。全部で24種類なのは変わらないようなので、入れ替えたということか。
これに伴い、CMも若干リニューアル。今度はCGのEF510が警笛を鳴らすようになった。その警笛や連結時の音は、実物の音を使っているという。公式サイトで収録のメイキング映像が公開されており、それによれば警笛は2号機を使って収録された。(EF510は左手で扱うレバーで警笛が鳴るのか)
秋田近辺のJR貨物の運転士ははほとんど警笛を鳴らさないので、EF510の警笛の音は初めて聞いたかもしれない。(音自体は、やや太めながら、いかにも機関車らしい汽笛)
ところで話が逸れますが、最近のテレビCMでは、「CM上の演出です」とか「専門家の監修のもと撮影しています」といったテロップが出ることが多くなった気がする。
CMでやっていることを真に受けて実際にやって、事故にでもなって訴えられるのを防ぐ目的なんだろう。
だけど、アニメの「ルパン三世」による中古バイク買取りのCMで「CM上の演出です。公道走行時はヘルメットの着用が義務づけられています」とか出るのは、なにか違うような…
そんな調子なら、「貨物列車に乗ることはできません」とか、はたまた「秋田県知事に龍角散を処方しても、褒美はもらえません」とか「名刺交換の際はロト7のマークシート用紙との取り違えにご注意ください」とかも表示しないといけなくなってしまうような…
一方で、とても判読できない大量の文字を一瞬だけ表示して、「表示した(注意喚起した)」ことにする、自動車メーカー各社の自動ブレーキ装置のCMもまた…
話を戻してもう1つは、秋田で見る機会はまずなくなってしまった古いディーゼル機関車「DD51」形。これも実物ではなく、模型。
土崎駅の待合スペースには、DD51形1号機の模型が置かれている。秋田駅にあるD51の模型くらいのスケールのけっこう大きいもの。
1号機は元試作車だったので、他のDD51とは異なる丸っこい外観。実機は秋田に長く配置された経歴があり1980年代に廃車されて、現在は「碓氷峠鉄道文化むら」で保存・展示されている。
先日、その土崎駅の待合スペースに座っていた時のこと。
待合室と同じ空間にある、今や貴重となった立ち食いそば屋で、若いおばあさんと小学校入学前後くらいの男の子がそばを食べていた。
男の子はDD51の模型に興味を示したようで、おばあちゃんに「いくらするの?」としきりに尋ねる。おばあちゃんは、ちょうど手が空いたそば屋の店員さんに尋ねるが、知る由もなく「駅員さんなら分かるかも」。
男の子はどうしても値段が知りたいようで、改札口のほうを眺めるが、間もなく列車が到着する時間。「駅員さんは今忙しいから後でね」とおばあちゃんに止められていた。僕はその列車に乗ったので、どんな結末になったかは分からなかった。
男の子が知りたがった値段というのは、模型の価格だろうか、それとも機関車実物?
模型だとすれば、非売品だろうから答えにくそうだし、安くはなさそう。機関車実物だとしても50年前の製造だから、貨幣価値の変化を含めて子ども向けに回答するのは難しい。
ちなみに、JR貨物の最新型ディーゼル機関車「DF200」形は1台4億円、それをJR九州「ななつ星」用にした7000号機は5億円とのこと。(余談だが電車1両の場合、在来線は1億、新幹線は3億が相場)
どっちにしても、男の子は値段を知ってどうしたかったのか気になりながら、列車に乗り込んだ。
何気なく撮影した“日本海縦貫線”の貨物列車。帰ってからその機関車を見ると、それはちょっと特別な機関車だったので、ちょっとうれしくなった。
その機関車は、沿線ではすっかり見慣れたEF510形電気機関車。最近、JR東日本から売却されてそのままの塗装で走っている青いEF510が現れたけれど、これはそれとは違う、本来の赤い塗装の11号機。
現在までおそらく23両(JR東日本保有or東日本から貨物への譲渡分を除く)製造されているうちの1台に過ぎない。
EF510-11の何が特別かというと…
「♪ぱぴぷぺプチプチ」という、歌やフレーズが頭に残っていませんか?
ブルボンの小型お菓子シリーズ「プチ」のキャラクター「プチクマ」が出ているCM。
現在流れている「エコレールマークでプチクマ出発!」編に、EF510形11号機がCG化されて“出演”しているのだ。
ブルボンホームページより
一定の割合以上、鉄道貨物輸送を行っている製品に付けられる「エコレールマーク」がプチに付いたことを伝えるCM。
EF510-11に牽かれた貨物列車に、プチクマたち(プチクマはプチの商品バリエーションと同じ24匹いるそうだ)が楽しく乗っているCGアニメ。
「協力:日本貨物鉄道(株) 公益社団法人鉄道貨物協会」と表示される。
ブルボンのホームページに「日本貨物鉄道様の全面協力を得て、かわいいながらもプチッとリアルな貨物車両のCGにも注目してください。 」とあるように、かなりリアルなEF510-11で、鉄道好きは注目せずにいられない。
EF510は、「く」の字形のシングルアームタイプのパンタグラフを搭載しているが、その“関節”が内側向きなのが特徴(日本の鉄道車両ではかなり珍しいはず)で、それもしっかり再現されている。ちなみにパンタグラフが2基とも上昇しているので、ここは直流電化区間ということか。(秋田近辺など交流電化区間では後ろ側のパンタグラフのみを使用するので、前側は下ろしてたたんでいる)
ぱっと見て実物と異なる点は、「JRF」ロゴはあるのに愛称「RED THUNDER」ロゴがないことと、一部の通風口が省略されているくらいか。
あと、後ろで商品を立てて持っているプチクマがいるけれど、パンタグラフより高い位置なので架線に接触している可能性が高く、プチクマは感電しているかもしれない。
EF510から身を乗り出している緑色のプチクマは乗務員風の帽子をかぶっていて、ホームページには「プチクマが車掌になって」とある。実際には、今は貨物列車に車掌はいない。
そういえば、今は覚えている/知っている人は少なくなっていると思うけれど、国鉄時代の貨物列車には、最後尾に黒い「車掌車」がくっついていて、車掌が乗務していたものだ(1985年まで)。
エコレールマークは誕生して10年弱経つようで、僕は知っていたけれど、知らない人がまだ多いのではないだろうか。エコレールマークを取り上げたCMもほとんどなかったはずで、その意味でも、意義ある作品と言えよう。
でも、どうして11号機が選ばれたんだろう。
後ろのコンテナには本当に「プチ」が積み込まれていたりして?!
【28日追記】11号機以前の問題として、新しい貨物用機関車はいくつもの形式があるのに、なぜEF510形が選ばれたのか? ということにもなるが、これはブルボンの本社や工場が新潟県、すなわちEF510が走る沿線にあるためではないだろうか。新潟から貨物列車で出荷される製品は、必然的にEF510の列車で運ばれていることになり、その事実を忠実に反映したのかもしれない。
【3月7日追記】プチシリーズは、3月に8種類が新発売された。全部で24種類なのは変わらないようなので、入れ替えたということか。
これに伴い、CMも若干リニューアル。今度はCGのEF510が警笛を鳴らすようになった。その警笛や連結時の音は、実物の音を使っているという。公式サイトで収録のメイキング映像が公開されており、それによれば警笛は2号機を使って収録された。(EF510は左手で扱うレバーで警笛が鳴るのか)
秋田近辺のJR貨物の運転士ははほとんど警笛を鳴らさないので、EF510の警笛の音は初めて聞いたかもしれない。(音自体は、やや太めながら、いかにも機関車らしい汽笛)
ところで話が逸れますが、最近のテレビCMでは、「CM上の演出です」とか「専門家の監修のもと撮影しています」といったテロップが出ることが多くなった気がする。
CMでやっていることを真に受けて実際にやって、事故にでもなって訴えられるのを防ぐ目的なんだろう。
だけど、アニメの「ルパン三世」による中古バイク買取りのCMで「CM上の演出です。公道走行時はヘルメットの着用が義務づけられています」とか出るのは、なにか違うような…
そんな調子なら、「貨物列車に乗ることはできません」とか、はたまた「秋田県知事に龍角散を処方しても、褒美はもらえません」とか「名刺交換の際はロト7のマークシート用紙との取り違えにご注意ください」とかも表示しないといけなくなってしまうような…
一方で、とても判読できない大量の文字を一瞬だけ表示して、「表示した(注意喚起した)」ことにする、自動車メーカー各社の自動ブレーキ装置のCMもまた…
話を戻してもう1つは、秋田で見る機会はまずなくなってしまった古いディーゼル機関車「DD51」形。これも実物ではなく、模型。
土崎駅の待合スペースには、DD51形1号機の模型が置かれている。秋田駅にあるD51の模型くらいのスケールのけっこう大きいもの。
1号機は元試作車だったので、他のDD51とは異なる丸っこい外観。実機は秋田に長く配置された経歴があり1980年代に廃車されて、現在は「碓氷峠鉄道文化むら」で保存・展示されている。
先日、その土崎駅の待合スペースに座っていた時のこと。
待合室と同じ空間にある、今や貴重となった立ち食いそば屋で、若いおばあさんと小学校入学前後くらいの男の子がそばを食べていた。
男の子はDD51の模型に興味を示したようで、おばあちゃんに「いくらするの?」としきりに尋ねる。おばあちゃんは、ちょうど手が空いたそば屋の店員さんに尋ねるが、知る由もなく「駅員さんなら分かるかも」。
男の子はどうしても値段が知りたいようで、改札口のほうを眺めるが、間もなく列車が到着する時間。「駅員さんは今忙しいから後でね」とおばあちゃんに止められていた。僕はその列車に乗ったので、どんな結末になったかは分からなかった。
男の子が知りたがった値段というのは、模型の価格だろうか、それとも機関車実物?
模型だとすれば、非売品だろうから答えにくそうだし、安くはなさそう。機関車実物だとしても50年前の製造だから、貨幣価値の変化を含めて子ども向けに回答するのは難しい。
ちなみに、JR貨物の最新型ディーゼル機関車「DF200」形は1台4億円、それをJR九州「ななつ星」用にした7000号機は5億円とのこと。(余談だが電車1両の場合、在来線は1億、新幹線は3億が相場)
どっちにしても、男の子は値段を知ってどうしたかったのか気になりながら、列車に乗り込んだ。