たけじいの気まぐれブログ

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藤沢周平著 「竹光始末」

2021年07月15日 04時46分49秒 | 読書記

図書館から借りていた 藤沢周平著 「竹光始末」(新潮文庫)を 読み終えた。本書には 表題の「竹光始末」の他、「恐妻の剣」「石を抱く」「冬の終わりに」「乱心」「遠方より来る」の 武家もの、市井ものが織り混ざった短編6篇が収録されている。いずれも世の片隅で生きる男達の意地と度胸をユーモラスに描いた作品だ。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう爺さん、読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも その都度、備忘録としてブログ・カテゴリー「読書記」に書き留め置くことにしている。


「竹光始末」(表題作)
会津藩の片柳図書の紹介書付を持ち、士官の口を求めて、はるばる海坂藩柘植八郎左衛門を訪ねてきた浪人小黒丹十郎と妻子、すでに新規召し抱えは終わっており、八郎左衛門にとっては迷惑な話だが、一肌脱ごうとする。川人足で日銭を稼ぎ、旅籠の飯代を支払い、宿泊代不払の困窮の丹十郎に持ちこまれたのは、「上意討ち」の話。その相手、金吾善右衛門に警戒心が脱落したが、「竹光」「戸田流小太刀浦ノ波」が キラリ!、いかにも藤沢周平らしい結末。

「恐妻の剣」
馬場作十郎は、70石、無役。作十郎は、一刀流別部道場の師範代格だったが、陰謀?で馬場家の入婿となり、大手門、南門の警護等に明け暮れ、家付き女房初江の尻に敷かれ、息子雄之進、娘年乃からも軽んじらている。そんな作十郎が、家老志田佐治兵衛に呼び出される。藩で預かっていた元平岩家の家臣2人平賀八兵衛野甚七が逃亡、江戸で直訴に及ばれては、藩の監視不行き届きが指摘され、藩の命取りになりかねないとし、即刻追い、連れ戻せ、場合によっては斬り捨てろと言い渡される森本麓蔵と二人で追跡。藩の危機を未然に防ぎ、大目付田代半太夫からは犒われ、結婚するはずだった美貌の加矢と再会・・。でも、玄関から入ると初江の険しい声、「一体、ゆうべはどこにお泊まりですか・・・、わけをお聞かせいただきます・・」、げんなりする非番の作十郎。

「石を抱く」
太物屋石見屋に奉公している直太は、店の主新兵衛が 後妻のお仲(25歳)を放ったらかしにして、妾おえん(30歳)に入り浸っている気持ちが分からないでいるが・・・。お仲には金をせびりにくるヤクザな弟菊次郎がおり・・・。かっての賭博仲間の権三が殺され・・・、直太は 「権三殺し」「石見屋30両盗難」の嫌疑で小伝馬町の牢に送られ厳しい牢問にかけられる。牢問の責め苦に遭うとき、直太の心にお仲の声や・・・・。

「冬の終りに」
板木職人の磯吉は一緒に仕事をしている富蔵に教えられ、亀戸天神の南側の百姓屋の土蔵の中で開かれていた賭場に初めて出掛けたが、元手二両が五十両余りになり慄えが来て抜け出したが、実は胴元がわざと勝たせた金で、胴元の手下に追われる。必死で逃げ込んだ百姓屋で、「だれ?」、女の怯えた声。お静に匿ってもらい難を逃れたが・・・。磯吉には 母親お徳と嫁姑の地獄から、2年前別れた女房おせんがいたが、以後独身。お静、みさ母子が気になり・・・。現われた旅姿の男袈裟次とは何者?、「あの人は死んだんですね」。

「乱心」
近習組の新谷弥四郎は 奥村道場の道場仲間、馬廻組の清野民蔵の様子が このところおかしいのを心配している。弥四郎は 妻の文江から 民蔵の妻茅乃と組頭三戸部彦之丞との不義の噂を耳にするが、やがて、弥四郎、民蔵、彦之丞、3人共、江戸への出府を命じられる。何事も起こらず1年が経過、帰国の途に、二本松で斬り込み事件発生・・・。その結末は?

「遠方より来る(きたる)」
読み始めてから、なんとなく以前に読んだことのあるような内容に気がつき、「ブログ内検索」してみる、2021年1月31に読み終えた「月明かり」の中にも収録されていた短編だった。さらに、その以前に読んだ「海坂藩大全(上)」の中にも収録されていたことが分かり、今回3回目ということになる。やはり、東北の架空の小藩海坂藩を舞台にした作品である。


振り返り記事 2021年1月31日 「月明かり」 → こちら


 


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