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「中宮様は生涯の主人」・まんがゼミナール「枕草子」その8

2021年06月04日 10時18分24秒 | 読書記

足腰大丈夫な内に出来る限り、不要雑物処分・身辺片付け整理をしよう等と思い込んでからすでに久しいが、正直なかなか進んでいない。それでもここ2~3年には、押し入れや天袋、物置、書棚等に詰まっていた古い書籍類をかなり大胆に処分してきた。ただ、中には「これ、面白そう・・」等と目が止まり、残してしまった書籍もまだまだ結構有る。その中に 漫画家赤塚不二夫著、元東京学芸大学附属高等学校教諭石井秀夫指導の古典入門まんがゼミナール「枕草子」(学研)が有る。多分、長男か次男かが、受験勉強中に使っていた「枕草子」の解説本・参考書の一つのようだが、錆びついた老脳でもなんとか読めそうな、まんがで描いたくだけた内容、その内いつか目を通してみよう等と仕舞い込んでいたものだ。ながびく新型コロナ禍、不要不急の外出自粛中、ふっと思い出して、やおら引っ張りだしてみた。当然のこと、本格的な「枕草子」解説本、参考書とは異なり、限られたサワリの部分に絞ったものであるが、学生時代に多かれ少なかれ齧っていたはずの日本の代表的な古典、清少納言の「枕草子」も、ほとんど覚えていないし、「古典」に疎く、苦手な人間には、十分楽しめそうで、御の字の書である。(以上 過去記事コピペ文)


「中宮様は生涯の主人」・まんがゼミナール「枕草子」その8

第301段 「そのころ、また、同じ物忌みしに」の
平安時代には、物忌みが有ると不吉を避けるため、方違え等が行われていたが、そんな物忌のため、清少納言が宮中から出て他所で3日程泊まった際、中宮定子と朋輩の宰相の君から、清少納言が居ないと宮中が寂しいから早く帰って来るようにという手紙が届き、いい気になった清少納言、「自分がいないと宮中でも退屈しているのですね」等といった返歌を送ったが、帰参したおり、中宮定子から「なんてしょってる返歌」だとさんざんに皮肉られたことがあったという回想の段。

三月の頃「物忌」をするため、御所を離れておりますと・・・、
ふわーあ。いとつれづれに やわあー。
ゆうびん!
宰相の君のとてもきれいな筆の跡・・、
中宮様の仰せ言やわ。
どのようにして今までの月日を過ごしてきたのでしょう。
そなたのいない昨日今日さえ、もてあまして困っているのよ。
わあ!、中宮様からの文はラブレターのようやわ。うれしい!
今日1日だけでもう千年も過ごしす気持ちです!、
早く参内するように・・・。
これは 宰相の君の私信やわ。
早速、ワテも返事書きたいのやが、
書きたいことがなかなか思い浮かべへんわあ。
なんとかでけました。
宅急便、お待たせさん!
便りの後を追うようにあかつきには参内したのでおます。
ゆうべの返歌は すこうしひどおます。
えらい憎たらし思いますえ。
はっ!、ごきげん、よろしない・・・。
ワテ調子にのり過ぎたのやろか?、えらい、恥ずかし。


原文だよーん

そのころ、また、同じ物忌みしに、
さやうの所に出で来るに、二日といふ日の昼つかた、
いとつれづれまさりて、ただ今も参りぬべき心地する程にしも
仰せごとのあれば、いとうれしくて見る。
浅緑の紙に、宰相の君、いとをかしげに書い給へり。
   いかにして 過ぎにし方を 過ぐしけむ 
   暮らしわづらふ、昨日今日かな
となむ。
私には、
  「今日しも 千年の心地するに 暁には疾く」 
とあり。
この君の宣ひたらむだにをかしかるべきに、
まして、仰せごとのさまは、おろかならぬ心地すれば、
   雲の上も 暮らしかねける 春の日を 
   所がらとも ながめつるかな
私には
   「今宵の程も 少将にやなり侍らむとすらむ」
とて、暁に参りたれば、
   「昨日の
返し 「かねける」いと憎し。いみじうそしりき」
と仰せらるる。いとわびし。まことに、さることなり。


(注釈)

その頃、また、同じような物忌みをするために、以前と似た所に退出していたところ、2日目という日の昼頃、ひどく所在なさがつのってきて、たった今にも参上してしまいたいような気がする、ちょうどその時に、中宮様からお便りが有ったので、とてもうれしくてそれを見ると、薄緑色の紙に、宰相の君が、実に美しく代筆なさっている。
   「どのようにして過去の月日を送ってきたのだろうか。お前がいない昨日今日は、
   1日をどうして過ごしてよいか苦労していますよ」
とある。
宰相の君の私信としては、

   「今日という今日は千年を過ごすような気がしますので、
   明朝には早くお帰りを」
とある。

この宰相の君のおっしゃっるだけでも興味深いはずなのに、まして中宮様のお言葉の趣は、並大抵ではない、有難い心地がするので、
   「宮中でも暮らしかねなさっているとかいう春の日ですのに、
   私は田舎のせいでわびしいのかと物思いに沈んでいましたわ」

宰相の君宛ての私信には
   「私も今夜の内に待ち兼ねて、例の少将のような状態になってしまいそうですわ」
と書いて、翌朝参上したところ、
   「昨日のお前の返歌の「暮らしかねける」の句は実に憎たらしい言い分だ。
   ひどく皆が悪口を言っていたよ」
と 中宮様がおっしゃるのが、とてもつらい。本当に、その通りなのだ。


メモ

「をかし」=「招く(おく)」という動詞を形容詞化したもので、招き寄せたい程に心惹かれる気持ちを表す。風景等の場合は 趣きが有ること。事件等の場合は 興味深いこと。人物等の場合は 美しい、可愛いこと。「枕草子」は 「をかしの文学」等と言われている。


 


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