たけじいの気まぐれブログ

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諸田玲子著 「波止場浪漫」

2020年10月23日 14時47分13秒 | 読書記

図書館から借りていた 諸田玲子著 「波止場浪漫」(上)(下) (日本経済新聞出版社)を やっと、やっと、読み終えた。

 

目次(上巻) 序、大正1「カンカン帽」、明治1「ハワイ」、大正2「一葉」、
        明治2「駆け落ち」、大正3「早春賦」、明治3「土左衛門」、
        大正4「フリーラブ」、明治4「カラムシ」、大正5「明暗」、
   (下巻) 明治5「りんご」、大正6「宵待草」、明治6「軍夫」、
        大正7「カチューシャ」、明治7「小刀」、大正8「みだれ髪」、
        明治8「舟女郎」、大正9「女一揆」、明治9「タコマ」、
        大正10「浜辺の歌」、跋

主人公は 幕末から明治に掛けて 「泣く子もだまる」「海道一の親分」と呼ばれた清水の次郎長こと山本長五郎の養女になり、次郎長を看取り、次郎長の妻三代目おちょうを看取り、次郎長が晩年開業した船宿「末廣」を守った「波止場のおけんちゃん」こと、山本けん
実在の人物である山本けんの 明治20年代と大正初期を 交互に描いた長編歴史小説である。

「明治期」の物語では 渡世人から博徒の親分になり縄張り争いに明け暮れした前半生から すっかり郷里清水のため東奔西走する後半生の次郎長が清水に招いた若き西洋医・植木重敏けんが出会い恋に落ちていく段、厄介者の次郎長の庶子桜井初志郎が次々起こすトラブル、次郎長の死、けんが生涯独身を通すきっかけになった事件等が綴られている。
「大正期」の物語では、20数年ぶりで再会した植木に けんの恋心は燃え上がり、妻子有る植木も けん一途になっていく。3代目おちょうが没し、次郎長夫婦の跡を継いで船宿「末廣」を守るけん、苦しい生活の中でも 常に 次郎長だったら こうしたであろう・・という思いで 社会的弱者により添う姿が描かれている。清水港は開港され、喜びに沸く一方で、けんは 肺結核に掛かり、船宿「末廣」を売却する決意をする。
結局、植木とは夫婦になれなかった。子もなさず・・・・それでも再会して心をかよいあわせることができたのはいちばんの幸せである。・・「先生、入院する前に ふたりきりで どこかへいきましょう。・・・」

明治期から大正期は、日清戦争、日露戦争等の戦争も有り、社会も、暮らしも、世相も大きく変遷した時代、樋口一葉、与謝野晶子等の文学にも触れ、夏目漱石、正岡子規、森鴎外等の名前も登場し 当時の時代背景が丁寧に描かれている。

著者の意図的な構成で 「明治期」、「大正期」を 交互に綴っている本作品。
記憶力減退、頭の切り替えが素早く出来ない爺さんにとっては 
読み進めるのに やや難渋した感有りで、
幕末から明治期、大正期を 時系列で構成されていれば
もっと読み易かったような気がする。

「あとがきに代えて」にも記述されているように、
著者諸田玲子氏の母方の祖母は 清水の次郎長こと山本長五郎の姪で 
次郎長の養女だったという。
言わば 諸田氏は 清水の次郎長の末裔になり、
これまでも 清水次郎長一家に関係した小説を何冊か出されているようだ。
まだ読んだことがないが、機会があればまた読んでみたいと思う。。


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