たけじいの気まぐれブログ

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あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む

2023年11月24日 20時17分51秒 | 懐かしい小倉百人一首

足腰大丈夫な内に、出来る限り不要雑物整理をしようと決心してから久しいが、正直あまり捗っていない。書棚や天袋、押入れ等に詰め込まれていた古い書籍や辞書、百科事典等の類も、ここ数年間で大胆に整理処分してきたつもりだが、中には、「これ、面白そう?」等と目に止まり、残してしまったものも結構有る。その中のひとつに、多分、長男か次男かが、学生時代に使っていたものに違いない、小町谷照彦著 文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が有る。パラパラとページを捲ってみたところ、なかなか詳しく、分かりやすく、決して、「今更 向学心?」なーんてものではなく、子供の頃、作者や歌意も分からないまま、「けふ、けふ、けふ・・」「なほ、なほ、なほ・・・」等と、正月になると必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなってしまったからで、今更になって、「へー!、そういう歌だったのか・・」、目から鱗・・になっているところだ。
「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がしてくる。
ブログネタに?、頭の体操に?、いいかも知れない等と思い込んでしまい、2~3年前、「春」、「夏」、「秋」、「冬」、季節を詠んだ歌を取り上げて、ブログ・カテゴリー 「懐かしい小倉百人一首」に書き留めたが、続いて、最も数の多い、「恋」を詠んだ歌を取り上げて、順不同、ボツボツ、書き留めてみることにしている。
しばらく中断していたが、秋も深まりつつある季節、再開することにした。


百人一首で「恋」を詠んだ歌 その38

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
長々し夜を ひとりかも寝む

出典
拾遺集(巻十三)

歌番号

作者
柿本人麻呂

歌意
山鳥の垂れ下がった尾のように
長い長いこの秋の夜を
私はひとりで寝なければならないのだろうか。
さてもつまらないことよ。

注釈
「あしびきの」は、「山」にかかる枕詞。
「山鳥」は、キジ科の鳥で、雄は、尾が長い。
(ネットから拝借画像)

「しだり尾の」は、「しだり尾」は、ながく垂れ下がった尾の意。
「の」は、「・・・のように」の意。
「長々し夜」は、「長々しき夜」とするところを
語調を整えるため、「き」を省略したと考えられる。
「ひとりかも寝む」の「か」は、疑問の係助詞、「も」は、感動を表す。

「山鳥」の雄雌は、夜間、谷を隔てて別々に寝ると言われており、
「山鳥」という語感からは、その哀れさが響いてくる。
恋しい人を待つ秋の夜長の、
寂しくやるせない情感が伝わってくる歌である。


柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
持統天皇、文武天皇、両朝に仕えた歌人。
身分は低かったようだが、
宮廷歌人として数多くの作品を残している。
万葉最盛期の歌風を代表する歌人で、
後世、「歌聖」として崇められている。
三十六歌仙の一人。
万葉時代で三十六歌仙に入っているのは、
大伴家持、山部赤人、柿本人麻呂の三人だけ。
因みに、
「万葉集」では、この歌の作者は、不明となっている。


参照・引用
小町谷照彦著「小倉百人一首」(文英堂)


(つづく)


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