新潮文庫 2011年
カフカがこんなにも絶望していたなんて知らなかった。
どんどん落ち込みスパイラルに陥って、沼に沈んでいっ
てしまうカフカ。それをそっと見守る頭木氏。どんなに
ガンバっても、自分を評価できないなんて、なんて可哀
想な人なんだ。ぼくはどっちかっていうと、すぐ自分を
天才だ、と思っちゃう人なのね。なんか書いても、これ
は天才だね、と自分で自分を褒めちゃうね。日々の努力は
怠らないようにしているから、それくらい自分にいって
あげてもいいと思うのだ。ひきかえ、カフカ氏は自分を
卑下するあまり、本当に病気になって、喀血して、しんで
しまう。そのかわり、彼は永遠性を手にすることになる。
名声を得ても、きっと満足できないんだろうな、カフカ氏。
(読了日 2022年5・24(火)21:30)
(鶴岡 卓哉)