河出文庫 2017年
小池女史という人はすごくロマンティックな人だ。どんな
時でも人は小説を読んできた、本を欲した、言葉は人を
救ってきた、と書く。言葉の持つ力を信じているのだろう。
女友達が大学時代フライドポテトを作ってくれた、と思い
出す。思えば、ぼくもいつも学生時代から、友達に冷凍の
フライドポテトを揚げていた。揚げてあげたダチは今でも
そのことを覚えているだろうか。いや、小池さんのように
は覚えていないような気がする。
猫はいつも生きているときも死んだ後も、自分を愛して
くれた人をそっと守り続ける生きものなのだ、と語る。
飛びちゃんやムーヤ、ロック、ミミ、ぼくの人生におい
て大切だった猫たちはぼくをそっと守ってくれている
だろうか。うん、守ってくれている気がする。ああ、
やっぱり、小池さんはロマンティストだな。