古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

書盗  内田魯庵

2024-12-17 05:21:30 | 本の紹介

ぼくはもっぱら、楽しみの為、一択で本を

 

読んでいる。それでいいのだ、と思ってい

 

るのだが、この世には本を憎悪し、悪書として

 

あげへつらい、或いは、愛する余り、燃やして

 

しまうひともいるらしい。

 

今日は、内田魯庵と云う昔の翻訳家の短編です。

 

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集英社文庫   大正三年

 

一語一語愛でるように読んだ。それくらい昔に

 

つかわれていた漢字には力がある。

 

今の漢字を軽く感じた。内田魯庵と云う人は、

 

ドストエフスキー「罪と罰」を訳出するなどして、

 

十九世紀文学を日本に初めて紹介したひとという

 

ことだ。

 

書盗とは、本当に本を盗む人のことで、昔はいたらしい。

 

借りて返さないこともそう言うと云い、法皇も致したこと

 

があると言う。その手の類例を挙げている。その次に

 

書狂と云うのを紹介している。これは書を護符かなにかの

 

ように思って集めることだけに専心し、書を愛す余り狂って

 

いるように見える人のことを言うらしい。ある英国の金持

 

ちの蒐集家が自分の持っている本の他にもう一冊巴里に

 

あると知って、海を渡り、その本を売ってくれ、弐萬五千

 

フラン払う、と言って、漸く売ってもらい、英国に帰り、

 

その本を燃やしてしまい、これで、私の本は一冊になった、と

 

天下一品になったことを喜んだと言うが、これは、

 

作り咄しかもしれに、と断っているが、本を燃やすとは

 

これは恐ろしい話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
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