「素敵な活字中毒者」 椎名誠・選、所収。 集英社文庫
昭和五十二年
父親が広島出身で殿山氏自身は銀座で少年時代を
過ごしたそうだ。
だが、エッセイの中でも時たま、広島弁が顔を出す。
俳優で、もし名前を知らなくても、顔を視れば、あぁ、
この人ね、と映画好きなら分かるはず。もっとも、
映画好きなら、勿論、ご存じのはずだ。
中国に召集されて行ったが、帰って来て復帰。
日活ロマンポルノから、巨匠の作品まで幅広く出演
した。三文役者を自称し、フリーの名脇役として、
異色の俳優人生を歩んだ。
1989年に亡くなっているので、この本の出版
された1983年にはまだご存命だった。訳本の洋書の
ミステリーを数多く読んでいたようで、この頃はいい
本がたくさん出版されていたようで、点数を付けているの
だが、95点が結構出ている。
口語体で話しかけるような文体だ。ここまで読んで来て、
思ったのは、優れた書き手は既に皆、死んでしまった、と云う
想いだ。73歳で亡くなっている。1989、4・30。RIP。
(読了日 2024年11・27(水)21:15)
(鶴岡 卓哉)