中公文庫 「奇妙な味の小説」所収。 吉行淳之介・編
1988年に印刷されているこの本の活字が
とてもいいが、割れてしまった。一日、一遍
読もうと思っているが、完読できなかったのが
一遍あった。この阿川氏の作品は幻想とある通り
犬がホテルの一室にやって来て、追放しないでくれ、
と喋るのだ。スパニエルという犬の種類で、徹夜
明けの朝に吠えたりするので、女優さんと喫茶店で
偶然会った時に、あげてしまうことにするのだ。
犬の喋るのはあり得ないが、なにせ小説だ、なんでも
あり得る。けど、幻覚かと思ったら、そうとばかり
は言えないらしいところに、阿川氏のリアリズムの
煌めきがあるのではないか、と思った。
(読了日 2024年9・1(日)22:30)
(鶴岡 卓哉)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます