古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

ニッポン居酒屋放浪記 疾風篇     太田和彦

2022-11-17 14:13:27 | 本の紹介

新潮文庫   平成13年

 

11都市で呑み食べ歩いておられる。太田氏の本は初読

 

だったが、初めて読んだときは、説明はあまり上手でな

 

いようだし、ぼくは酒はまったく吞まないから、いいや、

 

とほっぽり出していたのだが、じっくりと読んでみると

 

これがおもしろい。

 

巻頭に写真があり、色々読んでみて、記憶にある文章と

 

写真を見比べてみるというのはまた乙な作業だ。

 

特に記憶にあるのは、地酒を呑むなら、東京が一番だ、

 

というところだろう。まあ、そうなのか、そういうこと

 

になってしまっておるのね、と妙に納得したりして、

 

あと、大分でお食べになったフグの肝というのも、気に

 

なった。えっ、フグの肝を食べるなんて、一度も読んだこ

 

とないよ、すごい情報だな、と思った。是非一度、いやいや、

 

ヘタレのぼくはよう肝なんて食べませんよ、ごめんこうむ

 

ります、チーン。

 

   (読了日 2022年10・26(水) 21:58)       

 

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台所太平記      谷崎潤一郎

2022-11-15 10:41:05 | 小説の紹介

中公文庫       1974年(文庫版初版)

 

千倉磊吉(らいきち)という作家の元に来た女中たちの

 

物語。

 

米粒のような文字にも慣れてきたころに、読み終わって

 

しまった。久しぶりに文学の神髄に触れたような感覚。

 

ぼくは、あまり美人には興味がないんだが、磊吉は美人

 

が好きなようで、「銀」などを連れ回し、銀座などで遊

 

んでいる姿が描かれる。この銀はタクシー運転手光雄と

 

相愛になると、夢中になり、化粧などで鏡にばかり向かって

 

いるような女なのだ。

 

癲癇になる女中がいたり、ゲーッと吐くのが癖の女中がい

 

たり、女優のお付きになって、威張り散らす女中がいたり、

 

とその筆致は一様にねちっこい。丹念に描いていて、コンコンと

 

湧き出る泉のようだ。それが、同じようなことを書いている

 

ようで、違っていて、女中という生きものを描く上で必要な

 

手法なのだ、と納得できた。

 

        (読了日 2022年10・25 21:55)      

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肌じめり     宇能鴻一郎

2022-11-14 04:42:26 | 宇能鴻一郎

サンケイノベルズ      昭和49年

 

団地妻の性の冒険を描いた長編。

 

長編官能小説とある。芥川賞作家でもある宇能氏の官能小説は

 

はじめて拝読したと思うが、よかったですねえ。時代を感じさ

 

せるが、昔の、ダンナに養われている妻が、団地内で、デッサン

 

しあって、外人の裸見て、そこに、ほかの奥さんが入り込んで、

 

外人とセックス、なんて、ちょっと笑ってしまう展開。それに、

 

この主人公の奥さん、誰にでもひょこひょこついて行って、お

 

イタしちゃうとこがあって、なんかかわいい、というか、無防備

 

すぎる、というか。

 

ぼくはエロ小説はジョルジュ・バタイユ仕込みなので、相当、すご

 

いのでも平気な口なのだが、このエロ小説もなかなかエロかった。

 

これは今の時代には描けない世界だな、という感じ。ラストのスワッ

 

ピングのプロデューサーをTVプロデューサーだと思って、のこのこ

 

熱海までついていって、やっちゃって、あなたもスワップに参加しませ

 

んか、と言って、その参加者が老人ばかりというオチはなんともユカイ

 

だったなあ。

 

             (読了日 2022年10・23 5:23)

 

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ニュー・ヨークの焼豆腐    福田恆存(つねあり)

2022-11-13 10:09:08 | 本の紹介

「もの食う話」所収   「あまカラ」昭和30年6月

 

この「もの食う話」のトリをとる小品はすき焼きである。

 

ニューヨークでその当時、すき焼きをやらかそうという

 

んだからタイヘンだ。肉の切り方が、まず、だめで、

 

あっちは薄切りという概念がなかったらしい。

 

肉の塊をポンと出してきて、ステーキくらいの厚さ

 

に切ってみせて、おどけてみせる。それじゃあ、だめだ、

 

というと、槌をだしてきて、それで肉を叩いていく、

 

薄切り状のものはできたが、電熱コンロがうまくない、

 

といろいろタイヘンだったらしい。

 

昭和30年か、今でさえ、アメリカ人はすき焼きくらい

 

知っているのではないか、と思うが。

 

そういや、何年もすき焼きくってねえな、チーン。

 

     (読了日 2022年10・22 11:20)  

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果物地獄    直木三十五

2022-11-12 10:17:56 | 本の紹介

「もの食う話」所収   「新青年」昭和8年3月

 

直木氏の作品は初めて、拝読した。ユーモアがあって、スケール

 

の大きな人を感じさせる。マンゴー地獄とは、すごい表現だな。

 

ビン詰めを下に行くにしたがい、うまくなって全部食べてしまう。

 

六円五十銭。一か月で百九十五円、と計算する直木氏。

 

一晩、二三切れならいいだろう、ともうひとビン買ってくる。しかし、

 

子供が食べてしまっている。もうひとビン買ってきて、一日一切れ食

 

べよう、子供にも一切れしか食うな、と言い渡す。オレンヂを食うが

 

オレンヂはマンゴーじゃないし、甘酒を飲んでも、これもマンゴー

 

じゃない、阿片とはこんなものか、と思ってゐる、って、マンゴー

 

を阿片と同等に考えるのもどうかと思うが、それくらいマンゴーに

 

夢中になっている。ドリアンも食うと夢中になるのが怖いので、手を

 

出さないそうだ。

 

日本でマンゴーが育つなら、僕はマンゴー屋になる、と結んでいる。

 

でも、マンゴー屋、流行らないと思うよ、チーン。

 

       (読了日 2022年10・21 12:25)

 

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お八つの時間    向田邦子    

2022-11-11 10:16:13 | 向田邦子

「もの食う話」所収    「銀座 百点」昭和51年6月号

 

 

向田邦子はほとんど読んだが、これも読んだのだろうが、記憶には

 

なかった。当時の風景が甦るようにわかって、ほほえましい。父上が

 

カルメ焼きを焼いてくれるのだが、兄弟四人そろわないと機嫌が悪い。

 

母上にたのまれて、しぶしぶ並び、「これは邦子のだ」マジメくさって

 

言うので、私も仕方なく、「ハイ」などと、なるべく有難そうに返事

 

する、とある。

 

邦子さんは生涯結婚していなくて、ガンも末期だったらしいのだが、

 

飛行機事故で亡くなった。

 

この小品は、幼少のときの思い出が語られている。文学というのが

 

こういうところが、すごいなあ、とおもうところである。

 

         (読了日 2022年10・21 12:10) 

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夫婦そろって動物好き(抄)      近藤紘一

2022-11-10 05:03:25 | 本の紹介

「もの食う話」所収

 

「デザート」に分類された、これは「メーンディッシュ」な

 

話であろう。

 

近藤氏はベトナム女性と結婚されたらしいのだが、ベトナム

 

女性は誰よりも生き強い人種ということだ。その妻が、デパ

 

ートの屋上に毎日通い、半額にしてもらい、ウサギを二匹買

 

ってきた。そのうさぎをナンバー1、ナンバー2と名付けるも

 

畳を食べてしまうわ、大好きな美空ひばりの放送がある日に

 

テレビのコードを齧ってしまい、妻はブチ切れ、煮る? 焼く?

 

と謎の電話をかけてきて、近藤氏はグリルと答える。帰ると

 

ナンバー2がこんがりと焼かれて、でてきた。という。ナンバー1

 

もお釈迦様うんぬんと言って、食べてしまったそうだ。うーん、

 

怖いぞ、ベトナム女、おれっちは、こんな女ムリだ。

 

        (読了日 2022年 10・20 15:30)

 

 

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ビスケット     森茉莉

2022-11-09 07:50:24 | 本の紹介

「もの食う話」所収   昭和43年6月刊

 

この小品は、「私の美の世界」に収められたものだそうだ。

 

ぼくは読みづらいので、あまり茉莉さん、好きではなかった

 

のだが、最近はそれもいいかも、と思っている。文体の中で

 

生きる、という言葉があるが、たしかに茉莉さんは文体の中で

 

生きられるだけの文体を持っていると思う。

 

50過ぎて、ようやく認められたらしい。家事が不得手でも、

 

料理は大好きで、とある。これは有名すぎて、書くのもはばか

 

れるが、鴎外の溺愛した娘である。

 

ビスケットに並々ならぬ思い入れがあるらしい。アメリカ製では

 

だめらしい。古来の英国ビスケットでなくては、ビスケットとは

 

呼ばないのだそうだ。なんかちょっと怖えぇな。

 

         (読了日 2022年10・20 9:50)

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酢のはなし     森田たま

2022-11-08 01:58:26 | 本の紹介

「もの食う話」所収

 

「サラダ」に類されたこの小品、たしかに酢とサラダだけの

 

はなしである。

 

酢はたべなくてもすむものに属するらしい。米、味噌、うどん

 

じゃがいもは食べねば生きてはいけない、ものらしい。

 

日本人は酢の物嫌い、というが、昔の人はそうだったのだろうか。

 

なにせ1894~1970年に生きた人で、この作品は昭和34

 

年6月刊となっている。

 

洋行もしたらしく、北欧にいったとき、食べたサラダがすこし

 

甘みが勝っていた、という。

 

森田たまさんは森田草平氏に師事し、40過ぎて「もめん随筆」

 

みよって世に認められたという。参議院議員としても一期つとめて

 

いるという。

 

旧仮名遣いが、すごく様になっている文章で、すごくカッコ

 

いい感じだった。

 

          (読了日 2022年10・19 22:50)

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悲食記(抄)昭和19年の日記から  古川緑波

2022-11-07 03:11:38 | 本の紹介

「もの食う話」所収    昭和34年刊

 

戦中の日記と思われる。緑波氏は俳優であり、戦中でも

 

撮影していたらしく、ロケ先で、贅沢に飲み食いしてい

 

たことを綴っている。

 

空襲警報も頻繁にブーゥときたらしく、おもしろがってい

 

る節がある。ファンらしき、家に上がりこんでは、生卵から

 

ビフカツ、̪シチュウ、白米を満腹するまで食っている。

 

東京に帰ってくると、東京の飯は赤く黄色いと嘆いている。

 

この日記も15Pほどだから、いいが、全部読むのはきつい

 

のではないか、と思う。丁度、おもしろい部分だけを抜粋し

 

ているらしいので、助かる。

 

筆まめ、日記魔というところは、ぼくと重なるので、他人

 

とはちょっと思えないかな。

 

        (読了日  2022年10・19 22:23)

                       (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

 

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