古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

バシリスク ハーラン・エリスン

2024-08-17 11:04:27 | 小説の紹介

深町真理子・訳 「SF戦争10のスタイル」所収。

 

いつものエリスンの文体で攻めて来る。

 

暴力描写に満ちていて、想像力の斜め上をゆく。

 

エリスンの文体は、よくわからない、という特徴

 

があるが、ぼくもこれを一読して、うおっ、と

 

思ったが、よく分からなかった。かといって、もう

 

一度読もうとは思わなかった。読書というものが、

 

理解の上に相互のコミュニケーションの取れるもの

 

だとすると、これは一方通行のコミュニケーション

 

のようだ。なんか飛んでもないことを言っているよう

 

だが、よくは分からない。

 

このSF戦争10のスタイルはSFで戦争というもの

 

について考えて行こうという趣旨のもののようである。

 

(結局、SFのスタイルに慣れていないだけで、読後は

 

1、2を争うくらいに面白かった)

 

(読了日 2024年7・30(火)22:54)

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異国の窓から 宮本輝

2024-08-16 07:22:52 | 本の紹介

角川文庫 1988年

 

ドナウ川を巡る紀行物語。大上記者との

 

小競り合いがひとつの読みどころとなって

 

ゆくのか。っていうか、大上記者との小競

 

り合いしか心に残らへんかった。あわわ。

 

あと、留学生を東京に3年だったか引き受ける

 

くだりね。

 

ぼくのお脳が悪しきものなのか、一冊の本を

 

読んでここまで心に響かなかった本も珍しい。

 

いや、面白くないわけじゃないんだけど、文体

 

なのかね。なんかよう分からんが心に響かへん

 

かったわ。あっ、そう言えば、輝氏も大阪弁やった

 

わ。って、わし大阪人とちごうたわ、あい、睡魔

 

篇。チーン。

 

(読了日 2024年7・25(木)20:36)

               (鶴岡 卓哉)

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ロゼアンナ マイ・シューヴァル、ペール・ヴァールー

2024-08-15 07:53:37 | 小説の紹介

高見浩・訳 角川文庫 1965年

 

ヴァールー=シューヴァルとは夫婦であり、

 

ノルウェーの人ということだ。ノルウェーの

 

お作品を読むことになろうとは思わなかった。

 

カフカという米人の助けを借りて、そう書いて

 

あったので、アメリカから馳せ参じるのかと

 

思ったら、電話とかだけの参戦だった。

 

ロゼアンナとは、遊覧船で殺されたアメリカ人女性

 

の名前で、この女性は船上で殺され、投げ捨てられ

 

その犯人を追う、サスペンスといった感じの作品

 

だ。ラストは息詰まるような感じで、この読み物を

 

楽しんでやったという想いのあるぼくだった。

 

うーん、展開は単調だし、ずっと話が停滞して

 

いる印象だった。訳が高見浩で、それがよかったの

 

かな、と思う。

 

(読了日 2024年7・24(水)0:28)

              (鶴岡 卓哉)

 

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垂直の死海 森村誠一

2024-08-14 11:15:43 | 小説の紹介

青樹社文庫 昭和58年

 

冒頭、ヘッセの詩なんかがのっていて、すごく

 

文学的に始まる。それが、菱星(りょうせい)

 

自動車の不正部品を使ったクルマによる事故死

 

から、その未亡人に頼まれて、千野順一は

 

事件に巻き込まれてゆく。大会社による資本

 

の犯罪という視点はさすが社会派だ。

 

殺人も当然の如く起こり、そこいら辺はちょっと

 

込み入っていて分かりにくいのだが、ストーリー

 

テリングの妙で、話はつつがなく進んでいく。

 

最後は首相も出てきて、話は日本全体に及んで

 

ゆくあたり、スケールの大きさをほのめかせる。

 

うーん、単純に好きか嫌いかで言ったら、好みでは

 

ないかな。悪魔の飽食が良かったので、ちょっと

 

読んでみようか、と思い立ったのだが。

 

(読了日 2024年7・23(火)20:20)

                (鶴岡 卓哉)

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こんなこと 幸田文

2024-08-13 04:24:02 | 本の紹介

新潮社文庫 昭和25年

 

「父」と「こんなこと」が収録された本書。

 

本書についての考察は塩谷登氏の解説をお

 

読みになるといいだろう。獅子が子を谷に

 

落とすようだ、という指摘は、まさにその

 

通りだ、と思う。露伴氏に仕込まれて、か

 

なり痛い目にあったようだが、ぼくの父は

 

なんちゃって作家なのだが、そう大してう

 

るさいことは言わなかった。いびられては

 

いたが。まだ、健在だが露伴氏とは比べる

 

べくもなく小人だ。文氏はお正月を恐れて

 

いたそうで、露伴氏が不機嫌でやねこかっ

 

たらしい。性教育についても言及していて、

 

文氏はなかなか初心らしからぬところもあ

 

ったようだ。すべて作品の出発点となった

 

本書。文氏の入り口としてはよかったので

 

はないか、と思っている。

 

(読了日 2024年7・22(月)23:20)

 

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父   幸田文

2024-08-12 11:30:36 | 本の紹介

新潮社 昭和24年

 

文女史は露伴の娘であり、その父を看取った

 

ことが描かれている。たいてい、誰もが親を

 

看取ることになるだろう。文女史の場合、

 

文豪の気難し屋とあってはいろいろ悩みも

 

多かったようである。いろいろ我が儘を露伴

 

は言ったらしく、例えば、氷を食べたいと

 

言えば、文さんは氷を駆けずり回って、手に

 

入れたという。愛憎入り混じった感情が渦巻

 

いていて、読むのもなかなかにして辛いも

 

のがある。決して、楽しい読書というわけ

 

にはいかない。苦読である。読書というものは

 

耐えるということでもある、ということを

 

教えられた気がする。文豪を父上に持つ悲哀

 

というか苦労、悼み入ります。

 

寝たきりになって、その大変さが身に沁みて

 

分かってくる。

 

ああ、わしの親も寝たきりにならなければい

 

いなあ、と思った。

 

(読了日 2024年7・18(木)23:20)

                (鶴岡 卓哉)

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河童のタクアンかじり歩き 妹尾河童

2024-08-11 10:59:28 | 本の紹介

南海トラフも注意報が出てますね。いやですね、来て

 

欲しくないです。被災された方々はすごく暑いのに気

 

の毒です。

 

まあ、あんまりくるくると神経質になり過ぎて病気にな

 

っちゃうとあれなんで、河童さんのレビューでも、どうぞ。

 

文藝春秋 1983年

 

なにを隠そうこのぼくはタクアンが大好きで、食卓には

 

必ず寒干しのタクアンが並ぶのだ。

 

1983年当時、タクアンと言えば、塩と麹で漬けたもの

 

だったそうだが、今のスーパーのどこに行っても、麹で

 

漬けた本式のタクアンはどこにもない。調味液に漬けた

 

ものがほとんである。タクアンを通して、社会を見る、

 

という試みはとても面白く、刑務所や洋上にまで話は飛び

 

飛び飛びに飛んで、話は一見するとタクアンとは関係なく

 

なっちゃってくる。けど、はっきりとしたのは、タクアン

 

大好きがどうなるかと言うと、自分で漬けちゃう、という

 

のは共通してあるようだ。ニューヨークでタクアンを食べる

 

必要があるのか、ちと疑問だが、タクアン好きは世界中に

 

いらっしゃるようだ。

 

(読了日 2024年7・15(月)23:15)

               (鶴岡 卓哉)

 

 

 

 

本文とは一切関係ないんですよ。昔、行った日御𥔎ですね。

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猫の客 平出隆

2024-08-10 05:07:44 | 小説の紹介
河出文庫  2001年

ぼくは平出隆(ひらいで・たかし)氏と言う人を

存じ上げなかった。フランスでの成功、といって

も単行本3695部というから、大した成功でも

ないだろう。日本での知名度も著しく低いだろう。

この「猫の客」も説明が複雑で分かりにくく、ス

トーリーも極めて凡一。大して変わったことは起

こらない。チビと呼ばれる猫が隣りから半日以上

遊びに来ていて、その猫が神秘的なところのある

猫として描かれている。その猫も交通事故で突如

死んでしまう。不思議な死に方だったという。

現れ出たところと同じ場所で事故にあったのか、

ぐったりとしていたらしい。猫との出会いと別れ

を日本的な視点から描いたのが、フランスの親日

家にウケたのだろう。ぼくは、けっこう、退屈し

ないで読めたが、人によっては違った意見も出て

くるかもしれない。

知名度の低いのもなんとなく頷けるかもしれない。

1950年生まれの75歳。この本が代表作らしい。

(読了日 2024年7・11(木)19:48)
                (鶴岡 卓哉)       
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銀座旅日記 常盤新平

2024-08-08 05:46:58 | 本の紹介
ちくま文庫  2006年

2003年から2006年までの三年半、「ダカーポ」

に連載していた日記。

山口瞳氏を師匠に持ち、銀座を遊びの主戦場にしてい

た新平氏。

とんかつばっかり食べている印象。あと、朝食に塩鮭ね。

粉を吹いたようなのがお好みだったとか。

広島にも訪れていて、ぼくもよくいくアカデミイ書店も

でてくる。

愛猫家としても知られ、ブラッキーという猫もかわいが

っていらした。あと、好きなものは、シチリア。ゴッド・

ファーザーⅠ・Ⅱ・Ⅲを一日かけて見たりしている。

当然、旅行もされていて、2006年ころには胃癌手術を

受けて、タバコも止められている。2013年に亡くなられ

ている。享年82歳。

(読了日 2024年 7・9(火)15:05)
                (鶴岡 卓哉)   

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吉野葛 谷崎潤一郎

2024-08-06 23:52:01 | 小説の紹介
新潮社 昭和6年

P65ほどの短編だが、字がちっこい故に

読み応えがあった。

いろんなところで読んだが、白潮公園はじめ、

ウォンツのトイレでも読んだが、トイレはか

なりうるさくて、ほとんど読めなかった。

たまき歯科の前でも読んだが、ここは暑かった。

たまき歯科のロビーが一番よかったが、すぐ名前を

呼ばれてしまった。

葛と国栖というのは有名らしい。旅行記とも

とれるし、いろいろくずについて、調べていくう

ちにお和佐さんがついに、津村夫人になるという

顛末でオチが付いている。兎に角、文体に秀でていて

読んでいるだけで夢中になれた。おもしろかった

が、なにがおもしろかったのか、熟柿の描写とか、

食べ物がおいしそうで、そんな感じでした。

いや、本書と同様よくわからない文章になってしまっ

たです、はい。

谷崎の傑作短編でした。

(読了日 2024年7・5(金)21:10)
               (鶴岡 卓哉)
  




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