映画と本の『たんぽぽ館』

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俺たちに明日はない

2009年09月04日 | 映画(あ行)
俺たちに明日はない [DVD]

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元祖アベック強盗

       * * * * * * * *

1930年代、アメリカで実際にいたアベックの強盗ボニーとクライドの物語。
ウエイトレスをしていたボニーが、
強盗犯で服役し出獄したばかりのクライドと出会い、
行動を共にすることになります。
毎日の生活に倦み、将来も見えず
・・・そんなところから脱却したかったのですね。
さっそく強盗を披露してみせるクライドに魅せられてしまう。
車を盗み、銀行強盗をし・・・、
ついには人を撃ち殺しもしながら、彼らの逃走が始まります。
クライドの兄バックとその妻ブランシュ、
そしてC.Wが加わり5人組となって。


彼らは貧しい人からはお金を奪わないので、
大恐慌時代においてはロビンフッドのように
民衆のヒーロー的存在になっていきます。
ラスト、87発の銃弾を浴び絶命する二人のシーンが、かなり話題になりました。


・・・さてと、この作品はアメリカンニューシネマの先駆的作品として、
あまりにも有名なのですが、
今観ると意外に感動が薄い・・・。
当初この作品の暴力性とセックス描写は、
保守的評論家からかなり酷評を浴びたと言うのです。
しかしその斬新さゆえに絶大な人気をも集めた。
ところがですねえ・・・、
当時の斬新なシーンも、
今見ると、とんでもなく地味になってしまっているのです。
これは時の流れだから仕方ないですねえ・・・。
また、この二人の刹那的生き方は、当時は共感を得たかも知れないのですが、
私にはどうもしっくり来ない。
・・・まあ、この辺は受け取り手しだいでしょうけれど。

それとあの警官が、いきなり問答無用で射殺、というのはどうなんでしょう。
当時は実際にそんな風だったのかな・・・?
いきなり戦争みたいな銃撃の応酬には違和感があるし・・・、
逃亡する5人にあまり焦燥感が感じられないのもなんだか・・・。

映画の作り方、犯罪に対しての私たちの受け止め方、
微妙に時代の変遷を感じてしまう作品に思えてしまいました。
名作とされている作品に対して、ちょっと畏れ多いですけれど・・・。

ただ、古くても全く遜色なく感動する作品もありますよね。
こういうところを掘り下げて研究すると面白いかもしれません。

ところで先日見た「人生に乾杯!」も同じようなテーマだったのですが、
断然面白かった。
・・・とすればやはりその時代によって、
人々の求めるテーマは移り変わってゆくものなのかもしれません。
今は、どこの国も癒しを求めているようです・・・。

1967年/アメリカ/95分
監督:アーサー・ペン
出演:ウォーレン・ビーティ、フェイ・ダナウェイ、ジーン・ハックマン、エステル・パーソンズ