映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

カムイ外伝

2009年09月25日 | 映画(か行)
この貝を別々に持っていると、いつか一つになろうとする

           * * * * * * * *

さてさて、いよいよ観ました。
お待ち兼ねの「カムイ外伝」。
カムイは松山ケンイチ。
これ、なかなかいいですね。
これまでアニメとか劇画とかを見ても、
俳優が誰ってあまりピンと来ませんでした。
でも、これはいい。
カムイを演じるには裸体もきれいで、
褌姿がサマにならなければね・・・。
(どこ見てるんだか)


全体に、原作を忠実になぞっていると思います。
藩主は、原作ではもっと普通っぽい感じですが、
映画では異常性を強調していますね。
そしてそのあやしい奥方(愛人?)の存在とか、
謎の絵師とか。
ここは原作にはない部分ですが、いい味付けだと思いました。
腐敗した権力。
反骨精神たっぷりでね。


さて、実写としては忍者の動きをどのように表現するか。そこが問題です。
うーん、ワイヤーアクションにVFXですか。
いかにも漫画チックになっちゃいましたね。
まあ、それはもともと漫画なんだから仕方ないか・・・。
でも、そうでなければどうするのか・・・。
アクロバットもどきの動きをカメラワークで工夫して、
もっとリアルな感じにならないもんでしょうかねえ・・・。
そうは言っても鮫のシーンはやっぱり無理ですね・・・。
でも、「変移抜刀霞斬り」がイメージできたのはすごくいい。
すごく納得しちゃいました。
しかし、こういうシーンがあまり目立つと
お子様向け作品になっちゃうところですが、
でも、生と死の狭間で生きていく人々、
カムイの孤独と苦悩、
サヤカとカムイの気持ち・・・、
こういった部分がきちんとしているので、
結構見られる作品になっていたのではないでしょうか。
それから、白い鳩のシーンがありましたね。
あれ、ジョン・ウー監督を意識しているんですよね。
クスッとしちゃいました。

ラストはちょっと原作と変えてありました。
原作は、怒りに燃えたカムイが、かなり残虐になっちゃうんです。
そこがまた、常になく感情をたぎらせる部分で、圧巻のシーンなんですが。
今作では、意外とあっさりしちゃってる。
カムイをそこまで悪人にしたくないという意図なんでしょうねえ。
やや不満が残ります。

それにしても、月日貝。
この貝を別々に持っていると、いつかきっと一つになろうとする・・・・・・・



良い話だなあ・・・。涙。涙。

2009年/日本/120分
監督:崔 洋一
原作:白土三平
出演:松山ケンイチ、小雪、大後寿々花、伊藤英明、小林薫


【公式】 『カムイ外伝』予告編 最新映画 出演:松山ケンイチ