映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

カムイ外伝-スガルの島- 白土三平

2009年09月24日 | コミックス
カムイ外伝-スガルの島- (ビッグコミックススペシャル)
白土 三平
小学館

このアイテムの詳細を見る



「カムイ外伝」。
今回は、映画を見る前の予習と行きましょう。
私は以前に読んでもいるし、
特にこのストーリーは最も好きな部分なのですが。
・・・でも、また読んでしまいました!

私が「カムイ外伝」を知ったのは、実はアニメが最初ですね。
1965年~1967年、白土三平作のこのコミックが少年サンデーに連載となりました。
その後アニメ放送があったのが1969年。
ちょうどそのころ、サンデー掲載分が単行本となったものを買って読んだのだったと思います。
その初期作品にも、ちゃんとこのストーリーがすでにあって、
「月日貝」という題名だったと思うのですが・・・。
またこれがもう少し後で、ビッグコミックスに劇画として連載になりまして、
これが外伝だけで11巻出ています。

この本は丸ごと、今回映画化された部分の原作をピックアップしたもので、
カムイ外伝初心者にはお得です。


まず、カムイとは何者か・・・。
の村に生まれたカムイ。
少年カムイは、いわれなき差別をどうしても納得できない。
この差別から自由になるためには強くなることだ・・・、
そう思ったカムイは、忍者の道を選ぶ。
やがて天才的な忍者となったカムイは、
しかし、その忍者の世界も、権力者が支配する矛盾に満ちた世界であることに気づき、絶望する。
ついには、組織を抜けることになるが、これは忍びの世界では死を意味する。
自分が生き抜くためには、つぎつぎに襲い掛かる追忍を倒さなければならない。
逃亡者カムイの血にまみれた孤独は続く・・・。

この章は長いカムイの旅の、ほんの断片ではありますが、大変重要な部分。


カムイが流れ着いた島に、カムイと同じ「抜け忍」のスガルが漁師の妻として暮らしている。
カムイはこの一家や、この島に馴染んでいく。
特にスガルの娘サヤカの、純粋でまっすぐな好意をまぶしく感じてしまう。
しかし、この一家に迫る危機。
そしてまた、カムイとスガルに迫る追っ手・・・。


カムイはストイックで常に冷静。
そんなカムイがほのかな恋心を抱き、そしてこれまでになく、
自分の感情をあらわにするシーンがあって、ドラマチック。
カムイ外伝を映画化するとすれば、確かに、ここしかないのです。
特に月日貝のエピソードは心に残ります。
海に生きる人々の生活がリアルに表されていまして、
また、鮫や魚の躍動感、素晴らしいです。
こんなに完成されたものを、わざわざ映画化なんかしなくても・・・、
と思ってしまうのですが、
でも、観ないではいられない、ファンの心理・・・。
映画版、カムイはいかに・・・?!

「カムイ外伝」を読んだら、「カムイ伝」も読みましょう。

「カムイ伝講義」というのも、ありますよ。


満足度★★★★★