映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

フライド・グリーン・トマト

2010年03月10日 | 映画(は行)
固定観念に縛られないで・・・自分なりに生きよう

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フライド・グリーン・トマト [DVD]

TCエンタテインメント

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中年主婦エブリンが老人ホームを訪ねると、一人の老婦人が話しかけてきます。
退屈な老人の繰り言・・・と思って聞いているうちに、
その老婦人の昔語りに次第に引き込まれてゆく。


南部の片田舎の出来事です。
男勝りのイジーとその親友ルースの特異で前向きな生き様。
精一杯生きた証の物語なんですね。


エブリンは、子供が独立して夫と二人暮らし。
夫は帰るなりテレビの前に釘付けでビールを飲んでいる。
自分の生き甲斐は何なのだろう・・・・。
所在なくついチョコバーを食べ続けて太ってしまっている自分に見切りをつけたくて、
いろいろなセミナーなどにも通っているのですが。
老婦人が語る強い女性や友情のこと、人との信頼のこと。
ニュースにも本にもならないほんの田舎の片隅の出来事だけれど、
いつでも、人々は一生懸命生きているんだなあ・・・。
エブリンも勇気をわけてもらった気がしてくるのです。

映画の始めと終わりのエブリンの服装や化粧の変化で、それは十分に伝わります。
それから、この老婦人が実は誰なのか。
たぶん私たちはラストを見るまでもなく気がつくのですが、この含みもいいですね。
つまり、イジーがその後どういう人生を歩んだのかも、それとなくわかるのです。
もちろん、イジーが本当に殺人を犯したのかどうか。
それも、最後まで秘密。

現代に生きる主婦エブリンの日常と、
約50年前の南部の伝統の中で新しい生き方を生きようとする2人の女性を
交互に描いていきます。


この作品には、
かつて幸せだったはずの結婚の末、倦怠に包まれている主婦。
幸せなはずの結婚が、暴力をふるう夫により地獄と化した女性。
そして、ハナから結婚には夢を持てない女性。
様々な形の「結婚」が描かれています。
結局、結婚=幸福という図式は幻想でしかない。
結婚という道を選択しようがしまいが、
幸福であるかどうかは全然別のことだと思うわけです。
結局、自分自身でどう判断してどう進むのか。
または、これではだめだと思ったときに、きちんと修正できるかどうか。
そういうことなんだろうなあ・・・。
だから、自分の道をきちんと歩んでるイジーがとても魅力的。
女性たちの様々な生き方に心打たれる感動作です。


さて、この題名のフライド・グリーン・トマト。
そのままずばり、イジーとルースが営んでいた駅前カフェの目玉料理、
青いトマトのフライですよね。
どうもおいしそうな感じがしないのですが・・・。
どうなんでしょうねえ・・・???

1991年/アメリカ/130分
監督:ジョン・アブネット

出演:キャシー・ベイツ、ジェシカ・ダンディ、メアリー・スチュアート・マスターソン、
シシリー・タイソン、メアリー・ルイーズ・パーカー