映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

バード

2010年03月29日 | クリント・イーストウッド
お酒と麻薬はミュージシャンの必須アイテム?

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この作品、ここまでのクリント・イーストウッド監督作からすると異色ですね。
そうですね。ご当人が出ていませんし、アクション作品ではない。
ビ・バップと呼ばれる新しいジャズの中心的存在、
チャーリー・パーカー(愛称バード)のストーリーです。
サックス奏者なんですね。
そう、この方なんと34歳という若さで亡くなっているのですが、
その晩年を回想シーンを挟みながら描いているのです。
アメリカの実在のミュージシャンを主人公とする作品は、最近でも多いですよね。
でも、どれも共通しているのは皆、お酒と麻薬におぼれて身を持ち崩している・・・。
そうなんだよねー。
人の心を揺さぶる音楽には、まるでお酒と麻薬が必須アイテムだとでも言うようだ・・・。
そうした快楽と苦痛の狭間で生み出される音楽・・・というのが、
私たちの心のどこかを刺激するのかもしれないねえ・・・。
それで、このチャーリー・パーカーもまさに麻薬漬け。
麻薬を紛らわすためにさらにお酒漬け。
そのためもあってか、肝硬変に胃潰瘍。
さらには、まだ小さい子供を一人亡くしているんですね。
身も心もボロボロになりながらサックスを演奏し
・・・あげくに衰弱のあまりの心臓麻痺。
・・・と、なかなか壮絶です。


ジャズを愛する方にはまさにじっくり楽しめる作品でしょう。
演奏シーンがたっぷり入っていますからね。
イーストウッド監督はかなりのジャズファンと見受けられます。
ご子息、カイル・イーストウッドはジャズミュージシャンでもありますし。
だからこそ、出来た作品というわけか。
イーストウッド監督は、この作品でゴールデン・グローブ最優秀監督賞を受けています。
なるほど。ここのあたりを転機として、アクション作品に限らなくなってくるわけなんですね。
けど白状するとこの作品2時間40分もあるでしょう。
私はジャズにさほど興味があるというわけではないので、ちょっと苦痛だった・・・。
うむ。さほど刺激的シーンがあるわけでもないので、
よほどのジャズファンでなければ寝てしまう可能性も結構ありそうね・・・。


フォレスト・ウィテカーと言えば、最近「ラストキング・オブ・スコットランド」に出ていたよね。
こんな時から活躍してたんですねー。
にっこり顔だと、なんだかとても人の良さそうなおじさま・・・という感じです。
でも、ちょっとチャーリー・パーカーのサックスには興味が出てきました。
CDでなく、レコードで聴いてみたいなあ・・・。

1988年/アメリカ/160分
制作・監督:クリント・イーストウッド
出演:フォレスト・ウィテカー、ダイアン・ベノーラ、マイケル・ゼルニカー、サミュエル・ライト