「本当の自分」の行き場を見失ったとき・・・
* * * * * * * *
映画を先に見るべきか。
本を先に読むべきか。
近頃悩んでしまうのですが。
最近一つの結論に達したように思いました。
映画を見てから本を読むべし。
映画はとりあえず、本を読んでいない人でもわかるように出来ているわけですから、
エッセンスが凝縮して、入りやすいことは確かです。
それで、納得してから本を読む。
すると映画にはなかったエピソードなどが出てきてまた楽しめる。
映画で登場人物のイメージがはっきりしているので、わかりやすい。
映画との違いなども見つかるとそれはそれで興味深い。
・・・と、結構利点はあります。
これが逆だと、
膨大なストーリーを2時間足らずの映画にまとめたことの欲求不満や物足りなさを感じたり、
自分の中のイメージと映画のイメージの差にとまどいを覚えたりすることが多いですね。
でもなおかつ、このような障害を乗り越えて、よいと思えるものもあります。
「風が強く吹いている」とか・・・。
「のだめ」とか・・・。
・・・で、この本、自分で先に映画を見る方がいいと言いつつ、
結局本を先に読んでしまいました。
前おきばかり長くなってすみません。
とりあえずはどうでもいい話なのですが、
映画の「パレード」の記事で、続きをお話ししますね。
さて、このストーリー。
都内の2LDKのマンションに暮らす男女4人プラス1人のストーリーです。
この部屋はネット上のチャットとか掲示板のようなもの。
と、彼らの一人は言います。
決して本当の自分は出さない。
うわべだけうまく合わせて生活している。
それが嫌なら出ていくしかないし、居たければ笑っていればいい。
物語中のサトルの言葉によれば、この部屋の住人はこうです。
ふぬけの大学生。良介。
恋愛依存気味の女。琴美。
自称イラストレーターのおこげ。未来。
健康おたくのジョギング野郎。直輝。
かくいうサトルは、なんと宿無しの男娼。
彼らは冗談めかして軽く笑える失敗なら話はできるけれど、
本当の自分の芯にあるつらさや悩みは口に出すことが出来ないのです。
いえ、それを口にしてはならない、という不文律を守っている。
だから表向きは楽しく揺らめいている・・・。
けれども、風穴を求める心の行き所がない。
その行き場のない心が積もりに積もった時・・・・。
思わぬところにほころびが出る。
この文庫の解説で川上弘美氏が
「怖い小説だ。」と評しています。
まさしく、その怖さは最後の最後までわからないんですよ。
えっ?! この小説って、こういう話だったの???
予期せぬラストに驚愕し、そして次には心が冷えていきます。
途中では、「上辺だけの付き合い」と言いながら、
実はこれは互いの友情あるいは疑似家族的な絆を育てていくストーリーなのか、
と思ってしまっていたくらいでしたので・・・。
そんな甘さとは無縁でした。
まさしく、「怖い小説」です。
満足度★★★★★
* * * * * * * *
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映画を先に見るべきか。
本を先に読むべきか。
近頃悩んでしまうのですが。
最近一つの結論に達したように思いました。
映画を見てから本を読むべし。
映画はとりあえず、本を読んでいない人でもわかるように出来ているわけですから、
エッセンスが凝縮して、入りやすいことは確かです。
それで、納得してから本を読む。
すると映画にはなかったエピソードなどが出てきてまた楽しめる。
映画で登場人物のイメージがはっきりしているので、わかりやすい。
映画との違いなども見つかるとそれはそれで興味深い。
・・・と、結構利点はあります。
これが逆だと、
膨大なストーリーを2時間足らずの映画にまとめたことの欲求不満や物足りなさを感じたり、
自分の中のイメージと映画のイメージの差にとまどいを覚えたりすることが多いですね。
でもなおかつ、このような障害を乗り越えて、よいと思えるものもあります。
「風が強く吹いている」とか・・・。
「のだめ」とか・・・。
・・・で、この本、自分で先に映画を見る方がいいと言いつつ、
結局本を先に読んでしまいました。
前おきばかり長くなってすみません。
とりあえずはどうでもいい話なのですが、
映画の「パレード」の記事で、続きをお話ししますね。
さて、このストーリー。
都内の2LDKのマンションに暮らす男女4人プラス1人のストーリーです。
この部屋はネット上のチャットとか掲示板のようなもの。
と、彼らの一人は言います。
決して本当の自分は出さない。
うわべだけうまく合わせて生活している。
それが嫌なら出ていくしかないし、居たければ笑っていればいい。
物語中のサトルの言葉によれば、この部屋の住人はこうです。
ふぬけの大学生。良介。
恋愛依存気味の女。琴美。
自称イラストレーターのおこげ。未来。
健康おたくのジョギング野郎。直輝。
かくいうサトルは、なんと宿無しの男娼。
彼らは冗談めかして軽く笑える失敗なら話はできるけれど、
本当の自分の芯にあるつらさや悩みは口に出すことが出来ないのです。
いえ、それを口にしてはならない、という不文律を守っている。
だから表向きは楽しく揺らめいている・・・。
けれども、風穴を求める心の行き所がない。
その行き場のない心が積もりに積もった時・・・・。
思わぬところにほころびが出る。
この文庫の解説で川上弘美氏が
「怖い小説だ。」と評しています。
まさしく、その怖さは最後の最後までわからないんですよ。
えっ?! この小説って、こういう話だったの???
予期せぬラストに驚愕し、そして次には心が冷えていきます。
途中では、「上辺だけの付き合い」と言いながら、
実はこれは互いの友情あるいは疑似家族的な絆を育てていくストーリーなのか、
と思ってしまっていたくらいでしたので・・・。
そんな甘さとは無縁でした。
まさしく、「怖い小説」です。
満足度★★★★★