映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

テルマ&ルイーズ

2012年03月02日 | 映画(た行)
がんじがらめの“社会”からの開放

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親友同士の平凡な主婦テルマ(ジーナ・デイビス)と
ウエイトレス、ルイーズ(スーザン・サランドン)のロード・ムービー。
しかしその旅は決してお気楽なものではなく、犯罪がらみの逃走劇。
アメリカン・ニューシネマを思い起こしますが、時代はもっと新しい。


妻を女中代わりくらいにしか思っていない夫の元を離れたテルマは、
開放感ですっかりハイテンション。
しかし、楽しくつきあっていたはずの行きずりの男にレイプされかけ、
逆上したルイーズが彼を射殺してしまいます。
そこから二人の逃走が始まるのです。
お金がなくなったり、警官に尋問されたり・・・
目先のピンチから逃れるために、また新たな犯行に手を染めてしまい、
雪だるま式に膨らんでいく罪。
しかし、この破滅に向かう二人に感じるのは、悲壮感や哀れみではなく、なぜか壮快感。
というのもこの二人、
日頃、男性社会の中で自分らしく生きることができていないと思われるのですね。
自分を縛り付けようとする夫や社会。
そういうものに対しての反逆という意味合いが感じられるからなのかもしれません。
そしてそれはまた、「女性」性に限らず、
あらゆる制度にがんじがらめの社会の中で人間性を剥奪されている「私たち」の解放でもある。
深夜、アメリカの広大な荒野のど真ん中で、
車を止めてふとその光景に見入っているルイーズの姿に、
そんなことが思い起こされました。


テルマとルイーズの関係性も面白いのです。
どちらかと言えばルイーズの方が積極的で行動的。
おとなしいテルマを引っ張るのがルイーズの役目。
そんな風なのですが、あるところからそれが逆転します。
最後には一心同体となり突っ走っていく。
・・・いずれにしても女は強い!と言うことでしょうか。


途中で登場するヒッチハイクの青年が、なんとまだ駆け出しの若々しいブラッド・ピット!
一見真面目な学生なのですが、
実はとんでもない、食えないヤツなので、要注意ですよ!
しかし、そんな役はいかにもブラピらしくて、笑っちゃいます。


さすが、リドリー・スコット監督作品、名作です。

テルマ&ルイーズ (スペシャル・エディション) [DVD]
スーザン・サランドン,ジーナ・デイビス,マイケル・マドセン,ブラッド・ピット
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


テルマ&ルイーズ
1991年/アメリカ/128分
監督:リドリー・スコット
出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス、ハーベイ・カイテル、マイケル・マドセン、ブラッド・ピット