記憶が現実とは限らない
* * * * * * * * * *
「ミレニアム」シリーズでおなじみのノオミ・ラパス出演、
ということで興味を持って見てみました。
札幌では一週間限定上映。
夫の暴力・虐待から逃れ、8歳の息子アンデシュとともに
郊外のアパートに越してきたアンナ。
夜の間、子供部屋の息子の様子を知るために
チャイルドコール=監視用音声モニターを買い求めます。
うんと小さいうちから子供を一人で寝かせる習慣のある欧米ならではのものですね。
つまりトランシーバーのようなもので、
子供部屋の音を同時に母親が寝室で聞くことができるわけです。
普通赤ん坊に使うもので、8歳の子供にというのは異例。
いくらなんでも過保護で神経質というアンナの問題もかいま見えるのです。
ところがある夜、チャイルドコールから子供の悲鳴が聞こえてくる。
慌てて息子の部屋へ行ってみると、すやすや静かに寝ています。
機械を買った電気店の店員ヘルゲに聞いてみると、
どこか他の部屋の音が混線して聞こえているのではないかという。
しかしまたある時、何か争うような音が聞こえ、
その後、アンナは駐車場でブルーシートに包んだ大きな荷物を車に積んだ男を目撃してしまう。
このアパートの一角で、何か恐ろしいことが行われたのではないか・・・
そう疑うアンナですが、彼女の身辺では他にも不可解な出来事が発生します。
そして彼女は自分の記憶がところどころ途切れていたり、
記憶違いがあったりするのを自覚します。
森の小道を抜けると、そこにあった静かな沼。
しかし、次のとき、沼はすっかり消え去っているのです。
これには私達もガーン!とショックを受けてしまいます。
まさに、アンナが味わったショックを。
自分が正常でいなければ、息子を父親に取られるかまたは施設に入れられてしまう
・・・そう思えば思うほど過敏になり、混乱していくアンナ。
これはオカルトなのか、
それとも壊れた心のなせる技なのか・・・。
次第に私達も混乱してきます。
アンデシュが連れてくる友人というのが、なんだか嫌な雰囲気をまとった子で、
彼は一体何者なのか?
・・・おそらく彼こそが、今虐待を受けている子らしいとまでは想像がつくのですが・・・。
実は本作のオフィシャルサイトに、
非常に詳細なこの作品の読み取り方がのっていまして、
私はこれを読んで、自分がなんと何も見ていなかったのかと、
愕然としてしまいました。
もっとも、完全ネタばらしとなっていますので、
やはり映画を見る前には読まないほうが良さそうです。
ヒントはつまり、本作は全てアンナ目線で語られている、というあたりでしょうか。
ここまでアンナが混乱しているのは、
虐待は父のみならず、ある意味自分も加担していた
(かばうことができなかったということも含めて)、
そういう自責の念が根底にあるような気がします。
どこまでが現実なのか。
そうでないのか。
アンナのみならず、ヘルゲも混乱している部分があり、
現実を見ているはずの彼も又、何か別のものを見ていたりするのです。
全く持って、ミステリアスな作品であります。
「チャイルドコール 呼声」
2011年/ノルウェー・ドイツ・スウェーデン/96分
監督・脚本:ポール・シュレットアウネ
出演:ノオミ・ラパス、クリストファー・ヨーネル、ベトレ・オーベンニル・バリング、
スティーグ・R・アンダム、マリア・ボック
ミステリアス度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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「ミレニアム」シリーズでおなじみのノオミ・ラパス出演、
ということで興味を持って見てみました。
札幌では一週間限定上映。
夫の暴力・虐待から逃れ、8歳の息子アンデシュとともに
郊外のアパートに越してきたアンナ。
夜の間、子供部屋の息子の様子を知るために
チャイルドコール=監視用音声モニターを買い求めます。
うんと小さいうちから子供を一人で寝かせる習慣のある欧米ならではのものですね。
つまりトランシーバーのようなもので、
子供部屋の音を同時に母親が寝室で聞くことができるわけです。
普通赤ん坊に使うもので、8歳の子供にというのは異例。
いくらなんでも過保護で神経質というアンナの問題もかいま見えるのです。
ところがある夜、チャイルドコールから子供の悲鳴が聞こえてくる。
慌てて息子の部屋へ行ってみると、すやすや静かに寝ています。
機械を買った電気店の店員ヘルゲに聞いてみると、
どこか他の部屋の音が混線して聞こえているのではないかという。
しかしまたある時、何か争うような音が聞こえ、
その後、アンナは駐車場でブルーシートに包んだ大きな荷物を車に積んだ男を目撃してしまう。
このアパートの一角で、何か恐ろしいことが行われたのではないか・・・
そう疑うアンナですが、彼女の身辺では他にも不可解な出来事が発生します。
そして彼女は自分の記憶がところどころ途切れていたり、
記憶違いがあったりするのを自覚します。
森の小道を抜けると、そこにあった静かな沼。
しかし、次のとき、沼はすっかり消え去っているのです。
これには私達もガーン!とショックを受けてしまいます。
まさに、アンナが味わったショックを。
自分が正常でいなければ、息子を父親に取られるかまたは施設に入れられてしまう
・・・そう思えば思うほど過敏になり、混乱していくアンナ。
これはオカルトなのか、
それとも壊れた心のなせる技なのか・・・。
次第に私達も混乱してきます。
アンデシュが連れてくる友人というのが、なんだか嫌な雰囲気をまとった子で、
彼は一体何者なのか?
・・・おそらく彼こそが、今虐待を受けている子らしいとまでは想像がつくのですが・・・。
実は本作のオフィシャルサイトに、
非常に詳細なこの作品の読み取り方がのっていまして、
私はこれを読んで、自分がなんと何も見ていなかったのかと、
愕然としてしまいました。
もっとも、完全ネタばらしとなっていますので、
やはり映画を見る前には読まないほうが良さそうです。
ヒントはつまり、本作は全てアンナ目線で語られている、というあたりでしょうか。
ここまでアンナが混乱しているのは、
虐待は父のみならず、ある意味自分も加担していた
(かばうことができなかったということも含めて)、
そういう自責の念が根底にあるような気がします。
どこまでが現実なのか。
そうでないのか。
アンナのみならず、ヘルゲも混乱している部分があり、
現実を見ているはずの彼も又、何か別のものを見ていたりするのです。
全く持って、ミステリアスな作品であります。
「チャイルドコール 呼声」
2011年/ノルウェー・ドイツ・スウェーデン/96分
監督・脚本:ポール・シュレットアウネ
出演:ノオミ・ラパス、クリストファー・ヨーネル、ベトレ・オーベンニル・バリング、
スティーグ・R・アンダム、マリア・ボック
ミステリアス度★★★★☆
満足度★★★☆☆