映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スター・トレック イントゥー・ダークネス

2013年09月03日 | 映画(さ行)
惜しみなく3D



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風邪で体調が悪く、2週映画館に行けないでいたので、
久しぶりの新作です。
見たいものは色々あったのですが、
まあ、病み上がりのこんな時には
単純でわかりやすくて、スカッとするものがよろしかろうと、本作を選びました。
しかも奮発してIMAXの3D。
いやあ、やっぱりいいですねえ。巨大画面。


本作は2009年の「スター・トレック」の続編となっていますが、
そちらを見ていなくても全然大丈夫です。
私などほとんど忘れ果てておりましたが、何の問題もありませんでした。


本作は、いきなりカーク(クリス・パイン)が
見知らぬ星で未開の異星人達に追いかけられているというスリリングなシーンから始まります。
辛くも危機を脱したカークは、
今度はスポック(ザッカリー・クイント)を救わなければならなくなる。
しかしそのためには重大な規則破りをしなければならない。
いわずとも想像がつくとおり、
カークはこういうときためらわず、規則を破ります。
そんなものは仲間の命とひきかえにできない、と。



カークのお陰で助かったスポックですが、
なんとそのことをしっかり上に報告してしまうのです。
それでカークはエンタープライズ号の艦長を降ろされてしまう。
すっかり腐ってしまうカーク。
・・・というのがオープニングストーリー。
このことがカークとスポックの関係を如実に表しています。
カークは直情的で直感に基づいて多少のことも無理してやってしまう。
スポックはいつも冷静沈着。論理的に規則に従う。
二人はまるで水と油のように相容れないのですが、
逆に言うと二人一組で非常にいい化学反応が現れるんですね。
互いにクサし合いながら、
でもどこかで自分に欠けているものを補ってくれていることをわかっている。
だからいいんですよねえ、このコンビ。
ヘンに仲が良いよりずっと面白い。



さて、前置きが長くなってしまいました。
ここからが本筋。
ロンドンの艦隊基地が爆破されるという事件があったのですが、
犯人は艦隊士官のジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)だということが
簡単に割れてしまいます。
カークは宇宙へ逃亡したジョン・ハリソンを捕えるよう特命を受け、任務につきます。
しかしそのためには、現在地球と関係の悪化している星の領内を通らなければならない。
ということで大変危険を伴います。
そして又、ジョン・ハリソンとは果たして何者なのか?



今人気上昇中の、ベネディクト・カンバーバッチ。
彼が当面の敵となるわけですが、この人物像がなかなか深い。
彼は圧倒的な身体能力を身につけた超人類ともいえる人物だったのですが、
非情に徹し、成し遂げねばならない事があった。
そんなところにも説得力があり、
壮絶な魅力を放っているのです。
単純な善と悪という図式にならないところがいいし
また、カークの自分の身を呈してもクルーたちを救おうとする自己犠牲の精神、
これもやはりいい。
かっこよすぎなくらいですけど。



そして、3Dのアクションはスリル満載。
「いやあ~、空の上で決闘するのなんかよしてよ~」と、
高所恐怖症気味の私はつぶやいてしまう。
宇宙船であるエンタープライズが一度重力の制御を失うとどうなるのか。
あのタイタニックのシーンを思い出しますが、
高い天井、長い廊下、
そういうものが一瞬にして命を奪う恐ろしい場所と化してしまう。
う~ん、映像が3Dというだけではなくて、
ちゃんと舞台装置自体が3D仕様となっていた気がします。
人の動きも又3Dなんですよ・・・。
ほんと、よく出来た作品でした。
たっぷり楽しみました。

「スター・トレック イントゥー・ダークネス」
2013年/アメリカ/132分
監督:J.J.エイブラムス
クリス・パイン、ベネディクト・カンバーバッチ、ザッカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、
ジョン・チョウ

男の友情度★★★★☆
3D度★★★★★
満足度★★★★☆