映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「虹果て村の秘密」 有栖川有栖

2013年09月07日 | 本(ミステリ)
閉ざされた村で・・・少年少女活躍!!

虹果て村の秘密 (講談社ノベルス)
くまおり 純
講談社


* * * * * * * * * *

推理作家になるという夢を持つ12歳の秀介は、
同級生のと虹果て村で夏休みを過ごす。
「夜に虹が出たら人が死ぬ」という村の言い伝え通りに、
男性が密室状態の自宅で殺害される。
折しも土砂崩れのため犯人と共に村に閉じこめられた二人は
知恵を振り絞り謎に挑む!
本格ミステリの名手による珠玉の推理。


* * * * * * * * * *


有栖川有栖さんのジュニア向けミステリです。
だから残念ながら有栖川有栖も火村准教授も登場しないのですが、
子供が主役というのはやはり異例で、でも新鮮味があって良いものですね。


秀介はミステリが大好きで、将来の夢は推理作家。
一方優希は実際の事件の捜査にあたる刑事になりたいと思っているのです。
この二人の交流が微笑ましくて、
私などついニヤニヤしながら読んでしまいます。
ジュニア向けながら、やっぱり村は土砂崩れで遮断された閉鎖空間となってしまう。
被害者も犯人も探偵も閉じ込められた場で、
子どもたち二人の推理が光ります。


ダイイングメッセージ(実際には死んでいなかったのでしたっけ?)は、
やや不自然でしたが、
謎を解いたのは秀介の方ではなくて、優希の方。
そうでした。
この手のストーリーでは、推理作家はたいていワトソン役ですもんね。
これはしかたないよ、秀介くん。


この次はこの二人の20年後で、本格ミステリを是非お願い致します。
>有栖さま。


「虹果て村の秘密」有栖川有栖
満足度★★★☆☆