映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アナザー・プラネット

2014年09月05日 | 映画(あ行)
もう一つの地球の自分

アナザー プラネット [DVD]
ブリット・マーリング,ウィリアム・メイポーザー,ロビン・ロード・テイラー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


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ある日空にポッカリと浮かぶ、地球にそっくりな星が出現。
そんな設定から始まるSF作品ですが、
これは純粋なSFというよりも、もっと人の内面を描いた作品なのでした。
先日見た「ザ・イースト」の製作・脚本・主役を務めていた
ブリット・マーリングが
同じく脚本を手がけ、主演を果たしています。
(こちらのほうが先)。
本作は日本では劇場公開はなかったのですね。
いい作品なのにな。残念。


17歳でMITに合格し前途洋々だったローダ(ブリット・マーリング)。
ある夜酒気帯び運転による事故で、妊婦と幼い子供を死なせてしまいます。
4年の刑期を終えたローダは、謝罪のため被害者家族のジョンの元を訪れます。
彼は妻子を失い、生きる意欲をなくし自堕落な生活を送っていました。
家も荒れ放題。
ローダは自分のことを言い出す事ができず、
清掃業者と偽り、家の清掃に通うようになります。
一方、空に浮かぶ地球そっくりな星には、
現在の地球と同じ人間が住むもう一つの地球であることが判明。
ローダはその惑星に向かう第一陣のメンバーに選ばれるのですが・・・。


あの地球とそっくりな星に、もう一人の私がいる。
あちらの自分がこちらの私を見たらどのように思うだろう。
「思うような道を歩んでいるか? 
間違ったことをしていないか?」
・・・作品中でも言っていました。
それは何もあちらの地球の自分ではなくても、
私達は無意識のうちにいつも自分にそのように問うているのではないか?と。
だから実は空に地球が浮かんだりしていなくても、
私達はこの胸の中にいつも別の地球を浮かべているのかもしれません。


自分の人生に後悔しか見いだせないローダが、
「別の地球」に憧れ、行ってみたいと思うのは無理もないことでした。
でもそれはやはり、「同じ」自分がいる地球なのではないか・・・。
ラストのほんのワンシーンが
実に雄弁にいろいろなことを物語ります。
それは非常に苦いのですが、それゆえにちょっと忘れがたい作品になったと思います。


私、もう一つつまらぬオチを考えつきました。
そっくりのもう一つの地球上の人々は、
やはりこちらと同じことを考え、実行する。
双方全く同時に探索船発射します。
そのコースまでもが対称的に同じなので、中間地点で衝突してしまう。
何度やっても同じ結果になってしまい、結局互いの星に行き着くことはできない。
・・・漫画的にすぎるかな???


ところで原題はAnother Aarthなのに、
なぜプラネットにしたのでしょう? 
もう一つの地球。
さにそのものずばりの題名なのに。


「アナザー・プラネット」
2011年/アメリカ/93分
監督:マイク・ケイヒル
脚本:マイク・ケイヒル、ブリット・マーリング
出演:ブリット・マーリング、ウィリアム・メイポーザー、ロビー・ロード・テイラー、クマール・パラーナ