映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

舞妓はレディ

2014年09月20日 | 映画(ま行)
京都の雨は盆地に降る



* * * * * * * * * *

本作は題名を見ただけでも明らかですが、
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の日本版ともいうべき作品です。



舞妓が一人しかいなくなってしまった京都の小さな花街、下八軒。
老舗のお茶屋・万寿楽に、
どうしても舞妓になりたいという少女、春子(上白石萌音)が訪れます。
しかるべき人の紹介が必要ということで追い返される春子ですが、
鹿児島弁と津軽弁の入り混じった彼女の言葉に興味をもった
言語学者京野(長谷川博己)のとりなしで、
舞妓としての修行を積むことに。
実のところ「彼女がちゃんと舞妓になれるかどうか」
という賭けのネタなのですが・・・。
お茶屋の厳しいしきたりや稽古、なれない言葉遣い・・・
そんな毎日の中で、春子は突然声が出なくなってしまいますが・・・。



オードリー・ヘップバーンのミュージカル映画「マイ・フェア・レディ」が大好きな私は、
本作も非常に楽しんで見ました。
京野の研究室の様子は、ヒギンズ教授の書斎の雰囲気にとても良く似ています。
あの中で、京都の雨は盆地に降る・・・
とかななんとか言って傘を広げるシーンがありますよね。
「マイ・フェア・レディ」を知らない方は、唐突に感じたと思うのですが、
あれは完璧に「マイ・フェア・レディ」を踏まえたシーン。
私の大好きな曲のシーンでもあります。
イライザが美しい標準語を話すための練習の言葉が
「スペインの雨は主に平野に降る」というものなんです。
詳しくはこちらを→「マイ・フェア・レディ」



で、まずまず楽しめる作品だったと思います。
映画を見ていた方々の年齢層は結構高く、皆さん満足していたようです。
・・・それこそ「マイ・フェア・レディ」をご存知の方々かな?



それにしても「舞妓さん」の文化というのは私達にはちょっと遠い。
作中、濱田岳さん演じる京野の助手・西野が言っていたいろいろなことが
すべて私達の実際の感覚に近いと思いました。
滅び行く文化を語る作品・・・という意味もありそうです。
私は白塗りの舞妓さんをあまり「美しい」とは感じ難いのですが、
それでも草刈民代さんの白塗り芸姑姿は
なんとも艶めかしく、美しかった・・・。
これはさすがに凄かったです。
ミュージカルということで、日本舞踊のみならず、時には大胆なダンスもあり。
作品中に歌や踊りが入るのは近頃インド作品でなれていて、
それからすると、盛り上がりにはいまいちかけている気がちょっとしました。
周防監督で京都・・・やはりお上品。
いっそ園子温監督ならどんなことになったか・・・・?
そんなものも見てみたい気がします。
(怖いもの見たさ)



「舞妓はレディ」
2014年/日本/135分
監督・脚本:周防正行
出演:上白石萌音、長谷川博己、富司純子、田畑智子、草刈民代、濱田岳

ミュージカル性★★★☆☆
満足度★★★☆☆