少女に教えられたこと

* * * * * * * * * *
アメリカの田舎町、マッキンリー。
不況にあえぐ農場主からシェールガスの掘削権を買い上げる
エネルギー会社のエリート社員、スティーヴ(マット・デイモン)。
この街の仕事も簡単にケリが付くはずでした。
ところが、ある老教師が住民投票を呼びかけたことから、
次第に苦戦を強いられるようになっていきます。

そもそもスティーヴは自分の仕事に誇りを持っていました。
こうして貧しい町にお金を落とすことで
町が豊かになり、住民の幸福につながる。
そう信じているからこそ、これまで業績を積んでこられたのです。
それは自分の出身した小さな町が、
中心となっていた工場の閉鎖によりすっかり廃墟になってしまったという
体験によるものでもありました。
ところが、ガスの掘削によって環境汚染が引き起こされるという話が広まっていきます。
環境活動家があらわれ、以前自分の住んでいた町で牛が死んだ
・・・などと吹聴して歩きます。
会社からはそんな話を聞いたこともなかったスティーヴは、
戸惑い、自身の仕事への信念や情熱が揺らいで行くのですが・・・

本作は企業の環境破壊を決めつけ、
断固反対するという立場はとっていません。
結局住民投票でどうなるのかの結果も出ていません。
ただ言えることは、
目の前の大金に目が眩んで、結論を急ぎすぎてはいけないということ。
じっくり時間をかけて論議し、住民が自ら答えを出さなければならないのだ、
ということです。

大変不幸なことではありますが、
原発を受け入れた町の末路の一例というのを
私達も目の当たりにしているわけで、この町の話も他人事ではありません。
現代社会に一石を投じる良作です。

25セントのレモネードを売る少女に
「誠意」を教えられる終盤のシーンがよかった。
住民投票を呼びかけた教師も、
何もスティーヴに悪気があったわけではありません。
住民が豊かになることを止められるものでもないし、
しかし、本当にいいことずくめの話だとも思えない。
少し慎重に考えた方がいいのではないか
という問題提起。
いつしかスティーヴも彼に共感していくわけです。
しかしそれはこれまでとこれからの自分の人生にも関わること。
そうではあっても自分の心に素直になることも大切ですね。

ところでこの町のいわば「まちおこし」のヒントは
結構初めから提示されていましたよね。
牧場で可愛らしい馬を増やして、
そうして人を呼びこむ方法を考えていけば・・・
しかしそれはまた、別の話。
アクションなしのマット・デイモンもよいものです。
「プロミスト・ランド」
2012年/アメリカ/106分
監督:ガス・バン・サント
脚本:マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー
出演:マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー、フランシス・マクドーマンド、ローズマリー・デウィット、スクート・マクネイリー
問題提起度★★★★★
満足度★★★★☆

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アメリカの田舎町、マッキンリー。
不況にあえぐ農場主からシェールガスの掘削権を買い上げる
エネルギー会社のエリート社員、スティーヴ(マット・デイモン)。
この街の仕事も簡単にケリが付くはずでした。
ところが、ある老教師が住民投票を呼びかけたことから、
次第に苦戦を強いられるようになっていきます。

そもそもスティーヴは自分の仕事に誇りを持っていました。
こうして貧しい町にお金を落とすことで
町が豊かになり、住民の幸福につながる。
そう信じているからこそ、これまで業績を積んでこられたのです。
それは自分の出身した小さな町が、
中心となっていた工場の閉鎖によりすっかり廃墟になってしまったという
体験によるものでもありました。
ところが、ガスの掘削によって環境汚染が引き起こされるという話が広まっていきます。
環境活動家があらわれ、以前自分の住んでいた町で牛が死んだ
・・・などと吹聴して歩きます。
会社からはそんな話を聞いたこともなかったスティーヴは、
戸惑い、自身の仕事への信念や情熱が揺らいで行くのですが・・・

本作は企業の環境破壊を決めつけ、
断固反対するという立場はとっていません。
結局住民投票でどうなるのかの結果も出ていません。
ただ言えることは、
目の前の大金に目が眩んで、結論を急ぎすぎてはいけないということ。
じっくり時間をかけて論議し、住民が自ら答えを出さなければならないのだ、
ということです。

大変不幸なことではありますが、
原発を受け入れた町の末路の一例というのを
私達も目の当たりにしているわけで、この町の話も他人事ではありません。
現代社会に一石を投じる良作です。

25セントのレモネードを売る少女に
「誠意」を教えられる終盤のシーンがよかった。
住民投票を呼びかけた教師も、
何もスティーヴに悪気があったわけではありません。
住民が豊かになることを止められるものでもないし、
しかし、本当にいいことずくめの話だとも思えない。
少し慎重に考えた方がいいのではないか
という問題提起。
いつしかスティーヴも彼に共感していくわけです。
しかしそれはこれまでとこれからの自分の人生にも関わること。
そうではあっても自分の心に素直になることも大切ですね。

ところでこの町のいわば「まちおこし」のヒントは
結構初めから提示されていましたよね。
牧場で可愛らしい馬を増やして、
そうして人を呼びこむ方法を考えていけば・・・
しかしそれはまた、別の話。
アクションなしのマット・デイモンもよいものです。
「プロミスト・ランド」
2012年/アメリカ/106分
監督:ガス・バン・サント
脚本:マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー
出演:マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー、フランシス・マクドーマンド、ローズマリー・デウィット、スクート・マクネイリー
問題提起度★★★★★
満足度★★★★☆