映画と本の『たんぽぽ館』

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日本のいちばん長い日

2015年08月15日 | 映画(な行)
70年前に思いを馳せる



* * * * * * * * * *

1945年8月15日。
玉音放送により日本の戦争降伏が国民に知らさせるまでの
歴史の舞台裏を描きます。



戦局が厳しい状況にある昭和20年7月27日。
日本は連合国からポツダム宣言の受諾を要求されます。
降伏か、はたまた本土決戦か。
議論は紛糾。
結論が出ないまま沈黙の日本に対して、
広島・長崎に原爆投下されます。
ついには御前会議にて天皇の御聖断を仰ぎ、ポツダム宣言の受諾が決定。
国民には、天皇の玉音放送にて敗戦を知らせることになりますが、
あくまでも本土決戦を主張する陸軍将校たちが、
放送局と宮城を襲撃しクーデターを図る・・・。


70年前のこの緊迫した一夜。
確かに日本の一番長い日なのかも知れません。
もしこの時に玉音放送の原版が発見されてしまったら・・・、
歴史は変わっていたかもしれませんが、
私達の知っている歴史以上に悲惨だったことは確かです。



本作は、出演者それぞれの力の入った演技が見どころです。

高齢で耳が遠く、ほとんどヨレヨレではありながら、
しかし自分が今の日本の命運を決定づけるのだという覚悟、責任感が読み取れ、
だからといって悲壮感がないのがまたなんとも言えない味のある鈴木総理(山崎努)。



慌てず騒がず、どっしりと安定感のある陸軍大臣・阿南(役所広司)。
何があってもとりあえずこの人がいれば大丈夫という気になります。
日本最後の“武士”ですね。



思慮深く物静か。
自愛に満ちた気品の人、昭和天皇は本木雅弘。
一番初めにこの配役を見た時には「え?」と思ったのですが、
なんともはまっていました。
今は他の人は考えられません。



ひたすら真っすぐ信念を貫こうとする若き将校・畑中少佐には松坂桃李。
とにかく負けず嫌いなんでしょうねえ・・・。
ポツダム宣言受諾を決定したと聞いた時の彼の悔しさ、というよりも怒りですね、
額に青筋が立っていた、迫真の演技の松坂桃李さんに圧倒されました。


このように非常に重いトーンの中で、
どこかひょうひょうとした迫水書記官(堤真一)や
宮城の侍従たちのいかにも人がよく、緊迫の中にもふと緩む空気感、
それも良かった。


ところで本作は1967年、岡本喜八監督による同名作品の焼き直しということになります。
そちらのキャストは
鈴木総理に笠智衆、
阿南陸相に三船敏郎、
畑中少佐に黒沢年男、
ほかに宮口精二、山村聰、志村喬など・・・
さすがにそうそうたるメンバー。
私などの年ではやはりこちらのほうが「昭和」の手触りが生々しく感じられそうな気がします。
今度見てみようかなあ・・・。
(多分TVの放映で、みたことはあるはずですが)

「日本のいちばん長い日」
監督・脚本:原田眞人
原作:半藤一利
出演:役所広司、本木雅弘、松坂桃李、堤真一、山崎努

歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆