わたしが一番きれいだったとき
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/30/c059aadd3a498b42baebc82d3657f528.jpg)
* * * * * * * * * *
この日は、本作と「日本のいちばん長い日」の2本立て。
私の中では終戦記念日特集でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/0b/d3374f34560976bffa7c1d0258f5dd14.jpg)
昭和20年。
19歳里子(二階堂ふみ)は、東京の杉並で母と暮らしています。
隣家は妻子を疎開させた銀行支店長の市毛(長谷川博己)、一人住まい。
里子は何かと彼の身の回りの世話をするようになります。
日に日に戦況は悪化し、度々の空襲に脅かされる毎日。
「そろそろお年ごろね」と、周りの人に言われるのですが、
そもそも若い男性は皆戦争に行ってしまっている。
このまま自分は男性を知らないままに死んでいくのだろうか・・・
女として成熟しながらも、
持って行きようのない官能のうずきを彼女は持て余しているのです。
そんな彼女が、市毛に惹かれていくのも無理のないことでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/83/dd75b0c133889d59e46d3cb63b56964f.jpg)
ある夜、衝動的にトマトを市毛のもとに持っていく里子。
「冷やしておいて朝食べるよ」という市毛に
「いえ、今すぐに食べて」
直接的に言えない思いを伝える、名シーンです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/ff/4608afbb3a7548c32d9d94c958aa5435.jpg)
それにしても、関係ができた後の里子の
なんと甲斐甲斐しい市毛への気の使いよう。
これでは母も叔母もすぐに気がついたことでしょう。
わかりやすすぎ!!
けれど、このあまりにも奥さんみたいな気配りは馴れ馴れしさと裏表で、
私は男性にとって重荷なのではないかと、若干危惧を覚えてしまいました。
本作は市毛が新聞記者からの情報で14日のうちに日本の敗戦を知る
というところで終わっています。
けれどそれは市毛の妻子の帰宅を意味するわけで、
里子の複雑な心中を描写するところで終わっているのですが、
本作をみる限り絶対に里子の勝利にはならないだろうということを予感します。
「美しい。」
「君のことしか考えられない。」
男はそんなことを言いますが、
言葉で語れば語るほど不実が透けて見えるような気がする。
こいつはダメです。
どちらかを選ぶということができない。
奥さんが帰ってきても、きっとダラダラと関係を続けようとしますよ・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/55/8111228fc353867bd628bde6aba91168.jpg)
でもまあ、本作でこの2人の行く末を思うというのは
実は必要ないことなんですよね。
「戦争」という抑圧された状況での男女の性愛を描いているわけなので。
つい下世話な想像までしてしまう、私でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/a3/bf9aa55d12a99848a8d9da54a6dba072.jpg)
それにしても、私、長谷川博己さんの大ファンで、
だからこそ本作を見ようと思ったわけですが、
こういう不実を匂わせる男の演技というところが、凄いんですよねえ・・・。
一方、二階堂ふみさんも、この肉感的なところが凄い。
変に可愛い子ちゃんでも清純でもなく、
肉体を持った女で、でもどこか透き通った精神性、
寄りかからない自己。
そんなものを感じさせる。
多くの映画監督が彼女を使いたい理由が分かるような気がします。
「わたしが一番きれいだったとき」、
朗読される茨木のり子さんの詩が、胸にしみます。
「この国の空」
2015年/日本/130分
監督・脚本:荒井晴彦
出演:二階堂ふみ、長谷川博己、富田靖子、工藤夕貴、利重剛、上田耕一
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/30/c059aadd3a498b42baebc82d3657f528.jpg)
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この日は、本作と「日本のいちばん長い日」の2本立て。
私の中では終戦記念日特集でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/0b/d3374f34560976bffa7c1d0258f5dd14.jpg)
昭和20年。
19歳里子(二階堂ふみ)は、東京の杉並で母と暮らしています。
隣家は妻子を疎開させた銀行支店長の市毛(長谷川博己)、一人住まい。
里子は何かと彼の身の回りの世話をするようになります。
日に日に戦況は悪化し、度々の空襲に脅かされる毎日。
「そろそろお年ごろね」と、周りの人に言われるのですが、
そもそも若い男性は皆戦争に行ってしまっている。
このまま自分は男性を知らないままに死んでいくのだろうか・・・
女として成熟しながらも、
持って行きようのない官能のうずきを彼女は持て余しているのです。
そんな彼女が、市毛に惹かれていくのも無理のないことでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/83/dd75b0c133889d59e46d3cb63b56964f.jpg)
ある夜、衝動的にトマトを市毛のもとに持っていく里子。
「冷やしておいて朝食べるよ」という市毛に
「いえ、今すぐに食べて」
直接的に言えない思いを伝える、名シーンです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/ff/4608afbb3a7548c32d9d94c958aa5435.jpg)
それにしても、関係ができた後の里子の
なんと甲斐甲斐しい市毛への気の使いよう。
これでは母も叔母もすぐに気がついたことでしょう。
わかりやすすぎ!!
けれど、このあまりにも奥さんみたいな気配りは馴れ馴れしさと裏表で、
私は男性にとって重荷なのではないかと、若干危惧を覚えてしまいました。
本作は市毛が新聞記者からの情報で14日のうちに日本の敗戦を知る
というところで終わっています。
けれどそれは市毛の妻子の帰宅を意味するわけで、
里子の複雑な心中を描写するところで終わっているのですが、
本作をみる限り絶対に里子の勝利にはならないだろうということを予感します。
「美しい。」
「君のことしか考えられない。」
男はそんなことを言いますが、
言葉で語れば語るほど不実が透けて見えるような気がする。
こいつはダメです。
どちらかを選ぶということができない。
奥さんが帰ってきても、きっとダラダラと関係を続けようとしますよ・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/55/8111228fc353867bd628bde6aba91168.jpg)
でもまあ、本作でこの2人の行く末を思うというのは
実は必要ないことなんですよね。
「戦争」という抑圧された状況での男女の性愛を描いているわけなので。
つい下世話な想像までしてしまう、私でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/a3/bf9aa55d12a99848a8d9da54a6dba072.jpg)
それにしても、私、長谷川博己さんの大ファンで、
だからこそ本作を見ようと思ったわけですが、
こういう不実を匂わせる男の演技というところが、凄いんですよねえ・・・。
一方、二階堂ふみさんも、この肉感的なところが凄い。
変に可愛い子ちゃんでも清純でもなく、
肉体を持った女で、でもどこか透き通った精神性、
寄りかからない自己。
そんなものを感じさせる。
多くの映画監督が彼女を使いたい理由が分かるような気がします。
「わたしが一番きれいだったとき」、
朗読される茨木のり子さんの詩が、胸にしみます。
「この国の空」
2015年/日本/130分
監督・脚本:荒井晴彦
出演:二階堂ふみ、長谷川博己、富田靖子、工藤夕貴、利重剛、上田耕一