映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ミルカ

2015年08月18日 | 映画(ま行)
政治とは無関係でない、人の運命



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「空飛ぶシク教徒」と呼ばれたインドの国民的英雄
ミルカ・シンの実話に基づくストーリーです。
1960年、ローマオリンピック。
400メートル走で、インド代表のミルカはゴール直前で後ろを振り返ってしまい、
優勝を逃してしまいました。
帰国後、ミルカはパキスタンで開催されるスポーツ大会のインド団長に指名されるのですが、
拒否してしまいます。
インド首相秘書とミルカのコーチがミルカを説得するために、彼の暮らす町へ向いますが、
その列車の中で、コーチがミルカの半生を語りながらまた、
彼がパキスタンに抱く特別な感情をも説明するのでした・・・。



ミルカは少年時代、現在のパキスタン内に住んでいました。
けれど、インドとパキスタンの分離政策によって、その地はパキスタン領となってしまったのです。
宗教上の理由でその地にそのまま残ることは難しく、
村の人々はパキスタンの人々に略奪され命を落とし、
そんな中ミルカはかろうじて逃げ出して来たのです。
懐かしいはずの故郷の村なのですが、
パキスタンと聞くとその時の忌まわしい記憶が蘇ってしまう、そういうミルカでした。



人の運命というのは政治に大きく左右される物。
多くの戦争映画などは常にそれを訴えかけているわけですが、
そういうことを考えると、やはり安保法案については黙って見過ごしてはいけない・・・とふと思ったりして。



さて、だから確かに深刻なシーンもあるのですが、
インド作品の例に漏れず、やはり歌と踊り、ラブロマンスも挟み、
すごく楽しい作りになっています。
長いのに飽きさせない。
この辺はサスガです。



でも、この長さは、観る前にやはりちょっとの覚悟を必要とするのです。
この歌と踊りを省けばもう少しコンパクトにまとまるのでは・・・と思ったりもするのですが。
でもそうなるともうインド映画ではなくなってしまうかな?
多分インドの人々は、私達よりゆったりした時間の流れを過ごしていそうです。
その良さを活かして、これはこれでよし、ということにしましょう!



ミルカ [DVD]
ファルハーン・アクタル,ソナム・カプール,ディヴィヤ・ダッタ,アート・マリク
東宝


2013年/インド/153分
監督:ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ
出演:ファルハーン・アクタル、ソナム・カプール、ディビヤ・ダッタ、アート・マリック、ジャプテージ・シン
歴史再認識度★★★★☆
満足度★★★★☆