少年は大志を抱く
* * * * * * * * * *
退屈な毎日を持て余す高1の泳。
サーフィンをしている瞬間だけは、全てを忘れられる気がした。
そんなある日、泳は"終わらない波"ポロロッカの存在を知る。
「この波に乗ってみたい―」。
こみ上げる想いに、泳はアマゾン行きを決意する。
アルバイトや両親の説得を経て、退屈な日常が動き出す。
降り立った異国が出会ったのは、様々な価値観と強烈な個性を持った人々。
泳はもがきながらも、少しずつ成長していき…。
* * * * * * * * * *
本作、つまりは冒険の物語です。
高校生の泳(エイ)が、アマゾンへ行って、
ポロロッカの波でサーフィンをするという。
けれども、この冒険を志したところから本番までの準備段階、
そしてもちろん現地へ赴いてからのことも、とても丁寧に書かれていまして、
ただ、ダラダラと両親の庇護のもと生活していた泳の
成長の物語であることがわかります。
文庫としてはかなりのボリュームなのですが、あまりにも面白くて一気読み。
まさに、夏休みの読書にはうってつけです。
ところでポロロッカとは・・・。
詳しい理屈は私にも良くはわからないものの、
アマゾン河口などで大潮の時に起きる巨大な波のことで、
それは河を何キロにもわたって逆流していく。
それはもう、ほとんど「終わらない波」。
この波が退屈な毎日を送る泳の心に火をつけるのです。
すごい、行ってみたい!
そこでサーフィンをしたい!!
ちょうど泳の母の弟(つまり叔父)が仕事でブラジルにいるので、
現地の宿泊などは何とかなりそう。
それにしても、旅費は自分で何とかしなければ・・・。
そして、もちろん危険を伴うことでもあるので、両親を納得させなければならない。
(彼にはこれが一番重荷のようでしたが。)
そこそこ裕福な家のようなので、甘えれば旅費くらいは出してもらえたのかもとも思います。
でも彼はこの旅はそれではダメだと、始めから思ったのでしょうね。
はじめてのバイト。
いろいろな体験をして、働くことは人と人とが関わっていくことだとわかってきます。
引越し屋さんの荷物運びのバイトの下りなどは、
ちょっぴり「ワーキング・ホリデー」も思い出したりして。
実のところ本作、サーフィンの冒険物語というところで
「え?これが坂木司??」と思ったのですが、
こういう「お仕事」のくだりでは、
なるほど、やっぱりね。と思えたのでした。
そして念願かなってブラジルへ行けばもうラストかと思えば、
ここもまた、彼が参加することになったサーフィンのチームのことも詳しく書かれています。
まさに、人は一人では成長できない。
いろいろな人と人との関わりの中で成長していくわけですね。
それから、ブラジルという国の事情も少々。
日本がいかに豊かで平和かということもわかります。
アマゾン河の最も広い河口付近の川幅は、
東京~京都間の距離と同じくらいなどという話にも度肝を抜かれました。
それが河ですかい?!
すでに海なのではと思ってしまいます。
日本のスケールで考える事自体が間違ってますね。
少年は旅をすべきです。
たくましくなった泳くんが眩しい!!
ところでYouTubeなどを見ると実際、ポロロッカのサーフィンの映像を見ることができます。
青い海ではなく茶色に濁った大きな波。
川岸では木々が波になぎ倒されたりしています。
これは自然現象というよりむしろ災害だ。
しかし、それでもなおかつ波乗りをしてしまおうというガッツ、貪欲さ。
何にしても凄い、としか言い様がないですね。
「大きな音が聞こえるか」坂木司 角川文庫
満足度★★★★★
大きな音が聞こえるか (角川文庫) | |
坂木 司 | |
KADOKAWA / 角川書店 |
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退屈な毎日を持て余す高1の泳。
サーフィンをしている瞬間だけは、全てを忘れられる気がした。
そんなある日、泳は"終わらない波"ポロロッカの存在を知る。
「この波に乗ってみたい―」。
こみ上げる想いに、泳はアマゾン行きを決意する。
アルバイトや両親の説得を経て、退屈な日常が動き出す。
降り立った異国が出会ったのは、様々な価値観と強烈な個性を持った人々。
泳はもがきながらも、少しずつ成長していき…。
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本作、つまりは冒険の物語です。
高校生の泳(エイ)が、アマゾンへ行って、
ポロロッカの波でサーフィンをするという。
けれども、この冒険を志したところから本番までの準備段階、
そしてもちろん現地へ赴いてからのことも、とても丁寧に書かれていまして、
ただ、ダラダラと両親の庇護のもと生活していた泳の
成長の物語であることがわかります。
文庫としてはかなりのボリュームなのですが、あまりにも面白くて一気読み。
まさに、夏休みの読書にはうってつけです。
ところでポロロッカとは・・・。
詳しい理屈は私にも良くはわからないものの、
アマゾン河口などで大潮の時に起きる巨大な波のことで、
それは河を何キロにもわたって逆流していく。
それはもう、ほとんど「終わらない波」。
この波が退屈な毎日を送る泳の心に火をつけるのです。
すごい、行ってみたい!
そこでサーフィンをしたい!!
ちょうど泳の母の弟(つまり叔父)が仕事でブラジルにいるので、
現地の宿泊などは何とかなりそう。
それにしても、旅費は自分で何とかしなければ・・・。
そして、もちろん危険を伴うことでもあるので、両親を納得させなければならない。
(彼にはこれが一番重荷のようでしたが。)
そこそこ裕福な家のようなので、甘えれば旅費くらいは出してもらえたのかもとも思います。
でも彼はこの旅はそれではダメだと、始めから思ったのでしょうね。
はじめてのバイト。
いろいろな体験をして、働くことは人と人とが関わっていくことだとわかってきます。
引越し屋さんの荷物運びのバイトの下りなどは、
ちょっぴり「ワーキング・ホリデー」も思い出したりして。
実のところ本作、サーフィンの冒険物語というところで
「え?これが坂木司??」と思ったのですが、
こういう「お仕事」のくだりでは、
なるほど、やっぱりね。と思えたのでした。
そして念願かなってブラジルへ行けばもうラストかと思えば、
ここもまた、彼が参加することになったサーフィンのチームのことも詳しく書かれています。
まさに、人は一人では成長できない。
いろいろな人と人との関わりの中で成長していくわけですね。
それから、ブラジルという国の事情も少々。
日本がいかに豊かで平和かということもわかります。
アマゾン河の最も広い河口付近の川幅は、
東京~京都間の距離と同じくらいなどという話にも度肝を抜かれました。
それが河ですかい?!
すでに海なのではと思ってしまいます。
日本のスケールで考える事自体が間違ってますね。
少年は旅をすべきです。
たくましくなった泳くんが眩しい!!
ところでYouTubeなどを見ると実際、ポロロッカのサーフィンの映像を見ることができます。
青い海ではなく茶色に濁った大きな波。
川岸では木々が波になぎ倒されたりしています。
これは自然現象というよりむしろ災害だ。
しかし、それでもなおかつ波乗りをしてしまおうというガッツ、貪欲さ。
何にしても凄い、としか言い様がないですね。
「大きな音が聞こえるか」坂木司 角川文庫
満足度★★★★★