映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ヘイル・シーザー

2016年05月25日 | 映画(は行)
ヘボ役者が実は名探偵



* * * * * * * * * *

1950年代、ハリウッドの映画製作現場のストーリーです。
コーエン兄弟監督作品なので、一筋縄では行きません。



超大作映画「ヘイル・シーザー」の撮影中、
主演俳優の大スター、ウィットロック(ジョージ・クルーニー)が
何者かに誘拐されてしまいます。

スタジオの「何でも屋」(ジョシュ・ブローリン)が、事実を他の人々には伏せたまま、
誘拐犯の要求に応えて大金を用意しますが・・・。
他にミュージカル作品や、恋愛ドラマの撮影風景を交えながら、
悲喜こもごもの厄介事を片付けていく、
何でも屋の煩わしくもめまぐるしい3日間を描きます。



映画「ヘイル・シーザー」は、実はキリストの物語で、
本来キリストを捕らえる側のあるローマ兵が、キリストの言動に感化され、
磔にされたキリストを見て神の意図に打たれる・・・というようなストーリーのようです。
ちょっと面白そうですね。
予告編を見た限りでは、
このジョージ・クルーニー扮する大物俳優は実はヘボ?のように思えてしまっていたのですが、
イヤ、さすがに彼は実力のあるちゃんとした俳優なんですよ。
で、彼の誘拐を目論んだのは、共産主義の脚本家達。
彼らはスタジオの経営者ばかりが儲けて
自分たちにはろくな取り分がないのに不満を持っていて、このような暴挙に出た。
米国で赤狩りのあった時代ですね・・・。
映画製作者の中にも共産主義者として投獄された者もあったはず。
そんなことに皮肉を込めたストーリーなわけです。



さて一方、西部劇のカウボーイ役で人気が出始めたアクション俳優(オールデン・エアエンライク)は、
次に恋愛ドラマに抜擢されるのですが、なんとも訛りがひどいし、演技がド下手。
そんな撮影風景にはつい笑ってしまいます。
アクションだけが得意のお馬鹿・・・?と、思わせておいて、
実は鋭い推理と洞察力で、ウィットロックの行方を突き止めたりするのです。
なんとも意外でユニーク。



それからチャニング・テイタム演じる人気ミュージカルスター、
そのミュージカルの一シーンが素晴らしい。
なんともレトロ感たっぷりな歌と踊り、たっぷり楽しませてもらいました。
・・・が、しかし、この男が後にまた意外なところに登場したりする!!



50年代のハリウッドなど私でも知るはずはありませんが、
でもその雰囲気はしっかり感じられる。
面白い! 
つい、ニマニマとしてしまうシーンたっぷり。
私は好きです。


「ヘイル・シーザー」
2016年/アメリカ/106分
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、オールデン・エアエンライク、レイフ・ファインズ、スカーレット・ヨハンソン、チャニング・テイタム、ティルダ・スウィントン

時代性★★★★★
ユニーク・ユーモア度★★★★☆
満足度★★★★☆