映画と本の『たんぽぽ館』

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「カウンター・ポイント」サラ・パレツキー

2017年10月08日 | 本(ミステリ)
巨悪に立ち向かうウォーショースキー

カウンター・ポイント (ハヤカワ・ミステリ文庫)
山本 やよい
早川書房


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25年前に起こった殺人事件。
元恋人からその再調査を依頼された探偵ヴィクは、
事件関係者に渦巻くウォーショースキー家の人間への敵意を感じ取る。
どうやら彼女のいとこにして地元のヒーロー、
ブーム=ブームと何か関係があるようなのだが……。
生まれ育った街の暗部と過去の因縁に、ヴィクが毅然と立ち向かう!

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ようやく、V・I・ウォーショースキーシリーズの最新刊にたどり着きました。
と言っても発行されてから1年も経っているのですが・・・。


今回のヴィクへの依頼人は、
なんと昔ヴィクが付き合っていたことがあるという男性、フランク。
彼の母親ステラは自分の娘アニー(フランクの妹)を
虐待し殺してしまった罪で実刑を受け、
この度25年の刑期を終えて出所してきたところなのですが、
なんと自分は無実で犯人は他にいる、と言い出したというのです。
この事件を調べなおしてほしいというフランクの依頼ですが、
あの粗暴な母親が犯人に違いないとヴィクには思えたし、
第一、犯人が刑期を終えて出所、何もかも終わったはずのことで、気が進みません。
けれどフランクのたっての願いで、しぶしぶ仕事を引き受けたヴィク。
ところがそんな矢先、その母親ステラが娘の日記を発見し、
地元のアイスホッケーヒーローのブーム・ブームが犯人だと言い出したのです。
このブーム・ブームこそは、ヴィクのたった一人のいとこで、
ある事件で若くして亡くなっているのです。
大好きだったいとこの名誉を傷つけられ、ヴィクの心が燃え上がります!!


ヴィクの身近な事件が発端ではありますが、それは次第に巨悪とつながっていきます。
地元の名士と言われ、警察でさえ手出しはできない人物の暗部・・・。
相手がこういう人物であればあるほど、ヴィクは燃えますよねえ・・・。
しかしこれは大変に危険なことで、
案の定、ヴィクは一度ならず生命の危機に晒されます。
この何者にも立ち向かっていくヴィクがなんとも言えずカッコよい!!
これこそ、初代エイリアンと対峙したシガニー・ウィーバーのイメージ。
そういえば本作、映画化はされていないのですね。
面白いのになあ・・・。


相変わらず元気いっぱいのミスタ・コントレイラス、
音楽家であるヴィクの恋人ジェイク、
そして2匹のワンちゃん、みんな大好きです。


「カウンター・ポイント」サラ・パレツキー ハヤカワ文庫
満足度★★★★☆