映画と本の『たんぽぽ館』

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「7人の名探偵」綾辻行人他

2018年01月12日 | 本(ミステリ)
京都大学ミステリ研!!


7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー (講談社ノベルス)
文芸第三出版部
講談社


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テーマは「名探偵」。
新本格ミステリブームを牽引したレジェンド作家による
書き下ろしミステリ競演。
ファン垂涎のアンソロジーが誕生!
綾辻行人「仮題・ぬえの密室」
歌野晶午「天才少年の見た夢は」
法月綸太郎「あべこべの遺書」
有栖川有栖「船長が死んだ夜」
我孫子武丸「プロジェクト:シャーロック」
山口雅也「毒饅頭怖い 推理の一問題」
麻耶雄嵩「水曜日と金曜日が嫌い --大鏡家殺人事件--」


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新本格ミステリ30週年記念の一巻として出された本です。
綾辻行人、歌野晶午、法月綸太郎、有栖川有栖、我孫子武丸、山口雅也、麻耶雄嵩という、
超豪華メンバーによる短編集。
テーマは「名探偵」で、しかもすべて描き下ろし! 
こんな本にはめったにお目にかかれませんなあ・・・。
私この中では唯一、麻耶雄嵩さんが馴染みがないのですが、
あとは好きな方ばかり。
それぞれの「名探偵」キャラクターが登場するのもウレシイ。


ということで、楽しみながら読んでいきましたが、
ラストが綾辻行人さんの「仮題・ぬえの密室」。
そもそも綾辻行人さんにはおなじみの探偵がいません。
あ、失礼。
「館シリーズ」には鹿谷門実という探偵役が登場しますが、
それほど世間への露出度は高くないですね。
そこで、どうしようかと悩んでいる綾辻行人さん、本人が登場するのです。
それだけではなく、我孫子武丸さん、法月綸太郎さん、
おまけに綾辻行人さんの奥様、小野不由美さんまで登場するなんて、
感涙の涙、涙・・・ですね。
つまりこの方々は京都大学のミステリ研究会つながり。
学年差があるのですが、1年間だけこの4名が一緒にミステリ研にいた時期があるそうで・・・。
すごいですね~。
漫画で言えばトキワ荘みたいなものですね。
ということで、本作はエッセイなのか・・・?
とも思われるのですが、一応一つの「謎」を追っていきます。
そのミステリ研時代に、「ぬえ」が登場する幻のミステリがあったはずなのだけれど、
誰もその本当のところを覚えていない、という謎めいた話。
一体どこまでが本当で、どこからが創作なのやら、
惑わされてしまいますが、しかし、
この本はダントツのピカイチで、新本格ミステリ30周年記念にふさわしいものでした。
でも、読みながら私は思ってしまったのです。
・・・惜しい。
ここにあと、有栖川有栖さんさえ登場すれば・・・と。
ところが・・・!!
なんと・・・!!
まあ、ぜひお読みください。


「7人の名探偵」綾辻行人他 講談社ノベルス
満足度★★★★★